軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

脇役剣聖、ダンジョン狩りをする

「さて、今日から俺たちは、ギルハドレット領地にあるダンジョンで狩りをする」

サティ、エミネム、フルーレ。そして荷物持ちのヴォーズくん。

俺たちはハドの村の入口に集合し、俺はこれからの予定を説明していた。

まず、ヴォーズくん。

「ヴォーズくん。パン屋で忙しいのに、俺の頼みを聞いてくれてありがとう」

「いえいえ。お世話になっていますし、部隊長たちの頼みとあらば!! それに、パン屋は彼女の幼馴染夫婦が手伝ってくれますし、彼女も『世話になったお方の手伝いしなさい』って!!」

ほんと、ヴォーズくんっていい人だ。

ヴォーズくんは収納系スキルを持っており、背負っているデカいリュックは一部屋分くらいの広さがあり、旅の道具や食材などが山ほど入っている。

エミネムは言う。

「ヴォーズさん。私はもう部隊長じゃありませんよ」

「あ、すみません。その、癖で……」

「ふふ、まあいいですけどね」

坊主頭を押さえ照れるヴォーズくん。

さて、これからの予定を説明する。

「まず、これから俺たちはギルハドレット領地を回り、各地に存在するダンジョンを踏破することになる」

ダンジョン。

現在、ギルハドレット領地で三十四のダンジョンが発見された。小規模なのが二十、中規模が十、大規模なのが四つ……長年放置されていた四つのダンジョンが少しずつ規模を広げ、小さなダンジョンがあちこちに発生しているようだ。

まず、小規模ダンジョンは全て潰す。中規模は半分残し、大規模なのは一つだけ潰す。

残りは、『冒険者ギルド』がギルハドレット領地に支部を作り管理することになる。

「冒険者ギルド……しかも、大規模なダンジョンが三つもあるなら、かなり賑わいそうね」

「ああ。フローネのヤツが喜んでた。ギルドができれば領地は潤うしな」

地図には、潰すダンジョンと残すダンジョンの位置が記されている。

ギルハドレットの街から遠いダンジョンは全て潰し、近場にあるダンジョンを残していく。すると、冒険者ギルドはギルハドレットの街に建設され、冒険者たちはギルハドレットに集まる。街はさらに大きくなり、さらに開拓も進む……という計画だ。

「ったく、開拓開拓、儲け儲けばかりで領地がドンドン騒がしくなっていく」

「師匠、嫌なんですか?」

「嫌じゃないが……仕事は増えるし、最近はのんびり過ごすこともできない」

「フン、領主なんだからシャキッとなさい」

フルーレに怒られてしまった。

まあ確かに、今までがサボリまくってたからな。忙しいのは甘んじて受け入れる。

「よし、馬車に乗って、さっそく一つ目のダンジョンを踏破するぞ」

◇◇◇◇◇◇

小規模ダンジョンのほぼすべてが、低階層の単純迷路型ダンジョンだ。

階層は最大でも十階層程度。出てくる魔獣は多彩で、最深部にいるボスも中級魔族程度。熟練冒険者チームなら、そう苦労することはない。

ダンジョンは、最下層にいるボス魔獣を倒せば崩壊する。

小規模ダンジョンは数が多く踏破が推奨されているが、中規模~大規模ダンジョンはそうではない。踏破してしまえば消滅するので、冒険者たちにとって稼ぎ場がなくなるということ。

そのそも、中規模ダンジョンは熟練冒険者チームでも踏破が難しく、大規模となるともう何年も踏破されていない。最後に大規模ダンジョンが踏破されたのはもう十年以上前……ああ、これ俺だ。

「ってわけで、小規模ダンジョンは踏破しまくるぞ。とにかく魔獣を倒しまくって、戦闘を経験しろ。強い魔獣、弱い魔獣と戦いまくって、どう動けば効率的か、技の規模、思考の柔軟性を身に付ける……この訓練が終わるころ、お前たちの力はアップしているぞ」

「よーし!! ワクワクしてきました!!」

「ダンジョン……うちの近くにもあったわね。おじいちゃんと一緒によく入ったわ」

「……強く」

エミネムは、やや俯いていた。

俺はエミネムに聞く。

「エミネム。枷を外す覚悟、できたか?」

「……その」

「怖いのは当然だ。でも、その恐怖を乗り越えた先に、更なる強さがある……お前が真に力を求めたいなら、これは乗り越えるべき壁だぞ」

「……はい」

「ま、ゆっくり考えて、覚悟が決まったら言え。でも……これだけは言うぞ。この訓練が終わった後、お前とサティの間には、決定的な力の差が出る」

「……っ」

厳しいようだが、伝えておく。

それくらい、枷を外した神スキルの成長は異常なのだ。

「それともう一つ。この訓練が終わったら、ハドの村じゃなくてギルハドレットに行くぞ。そこで、お祭りに参加しよう」

「お祭りですか?」

「ああ。ギルハドレット領地も人が増えてな……ここらで景気づけの祭りをやろうって話になってる。準備の指示は出してきたから、訓練が終わるころに開催されるぞ。いっぱい強くなったあとは、いっぱい楽しんで英気を養おう」

「お祭り!! やったあ!! フルーレさん、エミネムさん、楽しみですねっ!!」

「そうね」

「は、はい……」

「あ、ヴォーズくん。勝手だけど、きみの奥さんもギルハドレットで合流させるよう、お願いしてきた。夫婦で祭りを楽しむといい」

「ら、ラスティス様……!! お心遣いありがとうございます!!」

飴と鞭、ではないが……みんな若い子たちだし、楽しみは必要だろう。

それから数時間ほど馬車が進み、一つ目のダンジョンに到着した。

馬車から降り、ダンジョンを眺める。

「ここが一つ目のダンジョンだ」

どう見てもただの『ほら穴』だ。

でも、小規模ダンジョンはこんなものだ。

入口に、フローネの指示で設置した『踏破予定ダンジョン①』と看板がある。

地図を確認し、これが踏破していいダンジョンだと確定。

「よし、さっそく行くぞ。目標踏破時間は一時間以内だ」

「「「い、一時間……」」」

「俺も行くが、基本的に手は出さない。じゃあ行くぞ」

俺が先陣を切ってダンジョン内へ。

サティが続き、フルーレ、エミネムと続く。

ヴォーズくんは御者と一緒に留守番。ちなみに御者はフローネの部下だ。

洞窟内は薄暗く、天井に大量のコウモリがいた。

「さ、前を行け。魔獣が出たらとにかく倒せ。あと、言い忘れてたけど……」

すると、ダンジョンの前方から、大量のゴブリンが襲い掛かって来た。

「小規模ダンジョンは弱い魔獣がとにかくたくさん出る。さあ、戦おう」

「な、なんか前に挑んだダンジョンと違います!!」

「以前、修行したダンジョンは中規模だったからね……小規模ダンジョンは初めてよ」

「来ます!!」

三人娘たちは武器を構え、襲い掛かってくるゴブリンと戦い始めた。