軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第23話 推しヒロインとデート

ショッピングモールにつき、俺と七瀬はウィンドウショッピングをしたり、ゲームセンターに行ったり。学生らしい遊びを満喫していた。

今は手を繋ぎながら、アイスクリームを食べている。

ショッピングモールデートは順調……と言ってもいいだろう。

ただ、アイスクリーム屋の店員さんの目、すごかったな。

お前この前と違う女の子連れてきてるじゃねーかと言いたげな視線……あれは完全に女の敵を見る目だった。

それにしても……手、まだ繋いだままなんだよな。正直、1度離したらもうそのままだと思ってたのに。

都度都度、七瀬の方から手を繋ぎ直すよう催促される。

「そういえば、私の誕生日プレゼントってあそこで買ってくれたんだよね」

七瀬の指さした先には以前、芹澤さんと行った雑貨屋さんが。

「うん。そうだよ」

「ちょっと寄っていい?」

頷くと七瀬さんに手を引かれながら雑貨屋さんへと入る。

ここで芹澤さんとプレゼントを買ったのも、1ヶ月以上前になるのか。少し懐かしさを感じながらも棚に飾られている商品を見渡す。

「あ、もしかして……これ?」

七瀬の視線の先には俺がプレゼントしたアロマストーンセットが並べられていた。七瀬はアルマストーンの隣にあるアロマオイルを見る。

「文くんがくれたアロマストーン。毎晩勉強する時に使ってるよ。ありがと」

「使ってくれて何よりだよ。……もしかして、アロマオイル切らしちゃった?」

「まだあるよ〜ちょっと香りの種類を増やしたくて、ゆっくりくつろぎたい時に使う香りが欲しいんだ〜」

「……なるほど」

「そういえば、みんながくれたプレゼント。リラックス効果のあるものばっかりだったんだけど……なんでだろ?」

そういうことです。

七瀬はアロマオイルのサンプルで香りを確認しながら物色する。

「うーん。あんまりよくわかんないなー文くんはどういうのがいいと思う?」

「そうだな……七瀬さんが落ち着く匂いとかってある? それに似たような香りを選べばいいんじゃない?」

「私が落ち着く匂いか……あ」

七瀬は何か閃いたような顔をして俺の顔をじっと見つめる。

「文くん、ちょっと動かないでね……えい」

「え? ちょっ!? ふぁ!?」

いきなり抱きついて来た七瀬。思わず変な声が出た。さらに、スンスンと鼻を鳴らす。

「な、なにをしてるの?」

「文くんの匂いを嗅いでるの」

「な、なんで?」

「文くんの匂い、すごく落ち着くから、似たような香りにしようかなって」

なるほど、よくわからん。

よくわからんが……おっぱいがめちゃくちゃ当たっているので、まぁいいか。

「…………………………まだかかりそう?」

「ん〜? んー……」

……あの、七瀬さん。そろそろ周りの目が。

「私、文くんの匂いすきだな〜」

やめて、そんなこと言いながら顔をぐりぐりとしないで、変な気分になりそうだから。

数十分後、気に入った香りのアロマオイルを購入し、店を出た。

……店員さんの見る目が、なんか怖かったな。

「文くんはどこか行きたいところとかないの?」

「そうだな……あ、じゃあ、1つだけ」

訪れたのはモール内にある猫カフェ。

俺と七瀬は木のベンチに並んで座りながら猫と戯れていた。

実は最初に来た時から気にはなっていた。でも、ネコカフェって男一人で入るにはハードルが高過ぎるから諦めていたのだが……

「ミー……」

「か、かわいい……」

俺の膝の上に飛び込んで来た猫ちゃんの可愛さに思わず、頬が緩む。

猫ちゃんを撫でていると店員さんが注文した猫のラテアートを持ってきた。

「わぁ……!! 七瀬!! すっごく可愛くない!?」

「うん。そうだね。かわいいね。文くんが」

この感動を残す為に、スマホで写真を取っておく。正直、崩したくないほどのクオリティーだったが、いずれは崩れてしまうし何より作り手の気持ちを考えてありがたく頂いた。

「もー文くん口元に白いおひげが付いてるよ」

ラテアートの飲みながら、猫たちと戯れていると七瀬が口元をごしごしと吹いてくれた。

「え、あ……ありがとう」

照れ臭くて、思わず七瀬から目を背ける。

すると、先ほどまで膝の上にいた猫がささっと七瀬の膝を上に移動してしまった。

「お、俺の猫が……とられた」

「ぷ、文くんっそんなに悲しそうな顔しなくても……」

これがNTRってコト……?

ショックを受けていると、すすっと新しい猫が俺の膝の上にやってくる。

頭を撫でてやると本格的にくつろぎ始めた。

プロフィールを見ると、名前は『ひよりちゃん』らしい。

先ほどの猫よりも堂々と膝の上で丸まっている。まるでここは私の居場所だと言わんばかりだった。

ふむふむ。

「……ひよりちゃんは独占欲が強いのかな?」

「えっ……! そ、そんなことないよ!?」

「え?」

「え? ……あ、いやなんでもない」

どうやら、自分のことだと思ったのだろう。七瀬は恥ずかしそうに顔を背けた。

俺はひよりちゃんへと視線を戻し、再び頭を撫でる。すると気持ちよさそうにごろごろと喉を鳴らした。

なんか、この人懐っこい感じは七瀬に似てる気がする。

ひよりちゃんだけじゃ足りない。もっとたくさんのねこと戯れたい。

「……あ、そうだ。これがあるんだった」

カフェラテとセットでついてきた猫のおやつを左手で持つと他の猫たちが寄って来た。

なるほど……これがモテ期ってやつか。

右手でひよりちゃんの撫でていると、不意に隣から頬を突かれた。隣を見るとムスっと頬を膨らませている七瀬の姿が。

「文くん、さっきから話しかけてるんですけど……」

「え、あ……ごめん」

そうだったのか、ひよりちゃんに集中して気づかなかった。

「デート相手の私をほったらかして、猫のひよりちゃんとよろしくですか〜?」

「いや、言い方……でも、まぁ……気づかなかったのはごめん。なんだった?」

「……なでなでプリーズ」

「……はい?」

「今日の分、まだだったよね? 頭ナデナデタイム」

嘘だろ……? この前のアレ、本気で言っていたのか?

「撫でて」

「えと……」

ぐっと顔を近づける七瀬。あまりの近さにたじろいでしまう。

「撫でてっ!」

業を煮やしたのか七瀬はがっと俺の右手を掴んで、自分の頭に置く。

前と同じように優しく、七瀬の頭を撫でる。

「いひひ……」

満足そうに微笑む七瀬さん。

「……みー!」

あ、ひよりちゃんがナデナデの催促をしているっ!

左手は……まだ猫たちがおやつを食べている。

となれば、仕方ない。俺は右手を七瀬の頭から離す。

「……あっ」

七瀬はパッと離した俺の右手を慌てた様子で掴み、再び自分の頭に戻した。

……七瀬が満足するまで終われないみたいだ。

『ひよりちゃん』に謝り、七瀬の頭なでなでを再開しつつあたりを見渡す。

幸いここはガラス窓にはなっておらず、この店に入って来ない限り俺たちの姿は見られることはない。

こんなところ、知り合いにでも見られたら……

「文くんー? 手が止まって……」

「………………」

「………………」

視線を前に向けたらそこには天馬と一花カップルの姿が。

天馬は呆れながらニヤニヤ顔で、一花さんは目を輝かせながらスマホで写真を連写している。

「「ち、違うから!!」」

二人の言いたげな視線に俺と七瀬は慌てて叫んだ。