軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

51 最高評価

質屋の親父は軽い感じでエクスを讃えたが、エクスは別の場所で、思いもよらぬ正式な最高評価を受けていた。

「「いったい誰なんだ?」」

魔術師の 庵(いおり) に張り出された大魔導師の就任発表に誰もが凍りつく。

それもそのはずで、彗星の如く誰も知らない名前が現れたのだから。

現役序列11位、延長のエクス。

詳細不明。

活動停止中。

推薦者・第三王女ルーラ

・・・・エクスって誰?

「はあ?誰なんだ?エクスなんて聞いた事がないぞ?」

「どうやって王族に取り入ったのだ?」

「王族の隠し子か何かなのか?」

魔術師の庵は、冒険者ギルドと対を成す組織であり、それなりに大きい。

その頂点の椅子へ何者かがひょっこり現れて座った。これが気にならない訳がない。

「いったい誰なんだ?」

「調べろ」

醜い嫉妬が渦巻く。

「姫様のお戯れにしては度が過ぎている」

「そうだ!本人に会って辞退するように説得しなければ」

直ぐに名簿を調べだしたが、不思議な事に何処にも名前が載っていない。これまで魔術師の庵に登録された形跡が無いのだ。

・・・意味が分からない。

「見つかりません!」

名簿を魔法で捲っていた新米魔法使いが悲痛な声をあげた。

「馬鹿な!?もう一度、最初から探せ。他所いや他国にも問い合わせろ!」

「まぁまぁ、私が調べてあげましょうぞ」

慌てる幹部を宥めるかのように、のんびりした声が響いた。

「あぁ!それは心強い」

「任せてくだされ。エクス、今の組織。ワールドサーチ」

彼の命題は検索。

ドヤ顔で、エクスの謎のベールを暴き始めた。

『検索結果はありません』

「ふむ。活動停止中でしたな。心配無用ですぞ。エクス、前の組織」

返ってきた答えは

『エクスの前職は、冒険者ギルドrank:E、title:欠陥魔法使いです』

ざわり

どよめいた。

「おかしい。ハックされたのか?」

「いえ、落ち着いてください。カモフラージュのため一度、入っただけかもしれません。次で化けの皮が剥がれますとも。その前の組織!」

騙されるものかとニヤリと笑って、検索魔法の答えを待った。しかし・・・

『エクスのその前の職業は、冒険者ギルドrank:D、title:欠陥魔法使いです』

明かされる事実。

だが、大魔導師になった男が冒険者ギルドをDからEに降格した?

こんな事実を信じる事は、頭が良い彼らには無理だった。だから、こう思う。

「これ。調べる対策をされてるっ!完全にっ、遊ばれてるよぉぉーーーー!」

「しかし待て、どういう魔法トリックだ!?精神ハック系か?それとも視覚操作?」

もっと探せばエルフのエリーゼまで辿り着いたのだが、人は信じたいモノを簡単に信じてしまう。

謎の男エクスのありもしない精神系攻撃魔法に怯えた魔法使い達は、キョロキョロと辺りを警戒しだした。そして、魔法で解決しようとする。

「カウンターマジック(対魔法)」

「アナライズ(解析)」

「ターンアンデッド(浄化)」

「ホーリーライト(聖なる光)」

「トゥルーアイズ(真実の目)」

真実を求めてさまざまな魔法が飛び交うが、残念ながら事実のため正解は変わらない。

なぜエクスが魔術師の庵に登録されていないかというと、魔法はエリーゼ個人から学び、この街で魔術師の庵に入ろうとしたら初級魔法縛りという犠牲を鼻で笑われて冒険者ギルドを勧められた過去があるからだ。

「「大魔導師エクスっ!いったい我々に何をしたーー!?」」

くちゅんとエクスが、くしゃみをした。

彼は何もやっていない。

「ふっふふー」

やったのは、このお方。

可愛い善意の悪戯だった。

しかしながら、大いなる名声は悪意のある者を引き寄せてしまう。

これは幼い故の誤算。

産まれながらの高貴なる者は気付かなかったのだ。

黒い虚ろが魔界新聞を読みながらパタパタと羽を動かす。

「うぷぷ。大魔導師エクス。調子にのってると思わない?ねえフール」

自国の領地を滅ぼした魔王フールは、暗い目で立ち上がった。