作品タイトル不明
161 フール(ゼノ)の反応
魔王フール。
勇気を願った愚か者へと視線を移そう。
「エクスくぅん」
なんか可哀想で見ていられない。
大量の黒い感情を吸い朦朧とする魔導師の横で、黒幕のゼノはぱたぱたと浮かれていた。
「おいちぃぃぃい。僕ちん頭いいーー。人間牧場からは誰も逃げられないっ」
マーラを殺害しその死骸を広場に展示するという鬼畜の所業で大きな絶望を集めていたのだが·····
「ち、力が抜けるよ?」
突如、注がれていた恐怖という感情が霧散した。
「ンア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛僕ちんの人間牧場が!」
すると、エネルギーが枯渇したため街を囲っていた茨の柵も朽ちていく。
「なんで?なんで?」
慌てて、魔界テレビを取り出して街にチャンネルを合わせると人々が笑顔だった。
「フール。大した事ねえな」
「マーラ様が復活されたし」
画面向こうの会話に、お目目をぱちぱちし広場を見るとマーラのいた場所には水たまり。
「復活?ウソだ!えええ?なんで!?」
「凄かったよな、復活の炎。さすがは、マーラの師匠の大魔導師さまよ。えーと、名前は?」
「エクス。小いせぇのにでっけえ男だぜ!」
「ふふふふざけんなーっ!」
ゼノが、ごうっと怒りの炎を纏い、エクスを殺害するべく屋敷に向かい飛び立った。
光の帯を描きながら、ぐんぐんと加速し、
「んぅぅぅ!殺してやるぅぅ」
ベチンっ!と見えざる結界に阻まれた。
おおぅ、痛そう。
どうやら·····スタンピードを起こさなければ街に入れない事を忘れていたようだ。
「痛いよおおおおおお。なんで?なんで?どーどーなってんの!エクスは、初級魔法使いじゃなかったのかよおおお」
地面をゴロゴロし、ハッ!と気づき、再び魔界テレビを取り出して、チャンネルを変えると、王城が写った。
そこには、頭を抱える爺や、おろおろするシロン、ご機嫌なルーラ。
「分かりませんな。もしかしたら、ご自分の命を分けたのかもしれませぬ」
「そんなっ!一刻も早く保護しませんと」
「ふっふふー。落ち着いてくださいまし。大魔導師さまをもっと信じてくださいな」
姫様が正解を出されたが誰も納得しない。
「ここじゃないっ」
切り替わったのは、魔術師の庵。
円卓を鎮痛な顔で囲む魔法使い達の話題は、ここでもエクス。
「マーラが復活したらしい」
「死んでなかったのでは?」
「ありえない!アイスコフィンを食らっていたのだぞ」
こくこくと頷くゼノだが、画面の向こうが何だか変だ。何かに怯えているような。
「やはり、エクス大魔導師がまた何かしたのか?」
「くそっ、どうなっておる。今回もまるで分からん。魔導の壁が分厚く立ち塞がる」
「·····そういう事か」
一人が何かに気付いたらしい。
視線を集め、静かになった中、ガタリと立ち上がった。その目は追い詰められた者特有の揺れる目線だが、大丈夫だろうか?
「分かってしまった。以前、ここにいる我々全員は欺かれた。凄い?そんなものでは無い。良いか。あの日の出来事を前提に考えると色々と見えてくる。つまり·····エクス大魔導師は、我々だけでは無く、死をも欺いたのだ!」
?????
「死をも!?」
「そうか、全てが説明がつく。納得した」
「反則だ、魔王以上の存在」
駄目だ。何を言っているのか分からない。
あー、ただの初級魔法だと認めてしまうと、自分達が初級魔法使い以下の存在になるから認められないのか。
ローブを目深に被った魔導師が話を締めるようだ。
「結論。彼は初級魔法使いでは無い!超級の大魔導師」
人はフィルターを掛けて物事を見る。
大魔導師という姫様がつけたフィルターにより大きく誤解し、ゼノもひっかかる。
「ずるい、ずるい、ずるい。そんなのずるい。ムノーのやつ何も出来ない風にずっと僕ちんを騙してたんだっ!」
最後にエクス家に、チャンネルを合わせると、写ったのはクイーンとイチャつくムノー。
「クイーン?騙されてるん!そいつは嘘つき」
「ゼノ?」
追いかけてきたフールを見て何かを思いついたようだ。契約者のエクスは?とチャンネルを変えると、ルカ達と部屋で何かをしているようだ。
「相棒、騙したな?」
「ふふふ、まだまだ甘いね」
クレイジーベアがジョーカーを引いてじたばたしていた。トランプ?
「こいつ、嘘つきだ。だよね?フール」
「エクスくん?」
ここに来て契約者を馬鹿にした弊害が出てしまい、遊びであると理解出来ない。
「やばいよ、やばい。スタンピードが起こせなかったら死んじゃう。僕ちんは初級魔法使いという甘い餌に釣られたんだ。んぅぁああああ!」
フールの周りをぐるぐると飛ぶゼノ。
エクスのファイヤーボール1発(初級)で、形勢は逆転。