軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

158 傷心マーラ

「さすがはっエクス大魔導師!復活の炎を使えるとは」

「ちっ違います」

なにそれ!?

「分かってますよ。弟子のために自らの命を分けたんですよね」

「何を? 僕は初級魔法しか使えません」

そんなの禁呪じゃんと首をぶんぶん横に振っていると、マーラがふらふらと立ち上がった。

期待の視線が集まる中、気持ち悪そうな顔で動きがピタッと止まる。

オロロロロロ

き、汚ねえ。

「誰かクリーンを!」

「は、はい。クリーン」

反射的に魔法を使ってくれたメイド姿のお掃除ギルドの人へ、お礼を言って特別料金の銀貨1枚を投げ渡す。

「ありがとうございました」

「え?」

不思議な顔で代金をキャッチされたけど、僕はクリーン(中級魔法)を使えないんだって。

真っ白な顔色のマーラに、金持ちそうなおじさんが近づいた。

「マーラ様! どうか魔王フールを倒してくださいっ」

うぇ。マーラも復活するなり大変だな。

まぁ好きでやってるんだし、ウィンウィンの関係かと、ちらりとマーラを見たらぎょっとした。

「むり」

「な、何故?」

弱弱しい泣きそうな顔。

「私はもう魔法を使えない」

「「えっ???」」

ざわざわとざわめきが大きくなる。

「超効率化から、私は逃げた。魔導師の自信が揺らいだ私に何が出来る?」

絶望の表情が見ていられなくて、僕は手を差し伸べた。

「マーラ、もういいよ」

僕が守る。

「ひぐぅっ。エクスぅ」

「家においで」

お前は頑張った。

休んだっていい!

しんみりした空気の中、マーラに無茶苦茶なお願いをした人が今度は僕へターゲットを変えてきた。

「ちょっと待ってくれ」

「何ですか?」

冷たく見つめる。

「なら誰が魔王を倒すんだ?お前か?」

「貴方が倒せば良いんじゃないですか?」

おぉーっ。

そのまま言葉を返しただけなのに、びっくりした顔でお口をぱくぱく。

まるでリフレクの魔法みたい。

しかも、ノーコスト。

「そうだぞ! 商会長それはあんまりだ」

「マーラ様は復活されたばかりなのに酷い」

「「そうだ! そうだ!」」

町の人たちの思わぬ援護射撃の声にドキリとした。なんだか最近味方をされる事が多いような気がする。

ん?領軍の人まで目配せしてきたぞ。

「フォレストエンドの皆さま。こちらは領軍です。現在、イゼルが援軍を要請しています。もう暫く辛抱してください」

安堵の空気が流れて、ぞろぞろと野次馬は解散。

ふぅ。これで、一件落着だよね。

マーラの手を引っ張る。

「さぁ帰ろう」

「·····うん」

冒険譚のようにお姫様だっこで連れ去りたいけど、筋力的に無理なので。

それに身長差もあるせいか僕がお母さんの手を引っ張る子供みたいになっているような気も。

あと·····ルカが気になる。

まるで、捨て犬を拾った気分だ。

家主は僕なのに、なぜか叱られる気がして、ぶるりと震えた。

「う〜ん。どうしよう」

「迷惑?」

えっと。

「気にしないで、マーラは僕の弟子らしいから」

「でし?」

手を離して、ルカの真似。

しゅしゅしゅと、シャードーボクシング。

「マーラに酷いこと言うやつは、僕がやっつけてあげるから!」

「ありがとう」

これ言われて嬉しかったんだよね。なんだか周りの微笑ましい視線を感じたので魔法を唱える事に。

「レビテト」

「うわっ!?」

靴に掛かけた魔法で2人はふわりと浮く。

「行くよ」

「うん」

再び手を取り、足から魔法を放つ。

「ダブルウインド」

高くは飛べないけどふわふわと空を浮かび家へと帰ろう。

微笑ましい視線を、驚きと羨望へ変えて。

びっくりした顔の子供がお母さんをぺしぺし叩いて見てくる。

「ママ、見て見て!飛んでる」

「凄いわね」

ふふっと笑って空いた手を振ってあげた。

気持ちいい~!