軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

152 連撃のマーラ VS 魔王フール

馬に乗ったマーラが子爵家を出ると、玄関前には町人が集まっていて歓声が上がった。

「「マーラ様だ!」」

冷たい表情の背の高い赤髪の女の巨乳が、馬の揺れに合わせてゆさゆさ揺れる。

その後に援軍と冒険者が意気揚々と続き、戦争でも始めるかのような雰囲気。

「「頑張ってください!」」

「「頼んだぞー」」

声援を背に受け、魔の森側の門に到着すると、森林警備隊が仲間になった。

イゼルが擦り寄る。

「マーラさん。今日はよろしくお願いします」

「·····」

この男、勝ち馬に乗りに来た。

「緊張しておられるのかな。はっはっは、安心してください。私がついています」

「邪魔はしないでくれ」

一団が、門を潜ると森はかつての神秘的な雰囲気は無く、焼け野原といった様相だ。

出口付近で、援軍副長から作戦が告げられる。

「それではフール討伐作戦をお伝えします。魔王は強く、これは戦争です。五人で一組で戦い、お互いを一つの」

「違う!」

即、却下したのはマーラ。

「な、なぜ?まだ説明の途中ですが」

「これはキツネ狩りだ」

聞いていた人達はきょとんとし、アリエスちゃんが無意識に質問する。

「キツネ狩り?」

「知らないか?貴族の遊びで、猟犬が隠れたキツネ追い立てて、逃げ出したところを弓で射るのを」

聞きたかったのはそうではなくて。

「それは知ってますけど」

「焼けた森を見ろ。エクスとベストパートナーの私なら·····魔王でも削り殺せる」

焼失した森を見てアリエスちゃんが納得。

「皆さーん。フールを炙り出してください。あと、射線には入らないでくださいねー」

一同はぶるりと震えて頷く。

マーラが場を支配し、右手を挙げ叫ぶ。

「集いし勇者達よ。突撃!」

「「おおーっ!」」

振り下ろすと、冒険者達が土煙を上げて雄叫びとともに焼け野原へ突っ込んでいった。

「うおおおおっフールなんて怖くねえ」

「エクスぅぅぅ俺と替われッ!」

「手柄を立てるぞっ」

寄せ集め冒険者達は我先にと放射状に駆け出し、残ったのはアリエスちゃんと森林警備隊。

「あのー、行かないんですか?」

「儂らはまだ出番では無い」

マーラはそんな彼らに関心を示さず、じっと無言で森を見つめる。

気まずい時間が流れ。

しばらくして、

ギィィイン!キンキン!

剣戟が聞こえた。

誰かが発見して交戦したらしい。

人々が音の方向へ群がると、交戦音は大きくなり黒い影が逃げるように空に飛んだ。

「マーラさん!」

隣のアリエスちゃんが叫ぶ。

すかさずマーラの構えた右手が明滅!

「逃がすか!」

放たれた連撃が空中に弾痕を描きながら徐々に逃げる黒い影に近付いていき命中!

ズガガガ!とヒットすると、黒い影が燃えながら地に墜ちた。

追い詰めるように、地面に手を下ろしかけて空中で急停止。

「くっ·····邪魔をするなと言ったのに」

連撃の魔法弾は虚空へと吸い込まれていく。

チャンスとばかりトドメを刺そうと走り出した森林警備隊の背中が射線上に入ったため、追撃を断念せざるを得なかった。

「ああっ!もう役立たずの森林警備隊はっ!」

「大丈夫だアリエス。また追い立てればいい」

地団駄を踏むアリエスを優しく諭す。

「そうですけど」

チャンスを決められなかったのは痛い。

土煙の中から魔王フールの笑い声が響く。

「ハハハハハハハ!」

次のチャンスを待ってると、空間が歪みフールが現れた。

「凄い威力だね。エクス君はどこだ?」

整った顔をした魔王フールは、大魔導師を探す。

「エクスは家で寝ている」

「おおおお、可哀想に。君は騙されている」

フールが泣いた。

「は?」

「私もそうだった。人は醜い。聞けっ!私は元勇者だ」

何かを伝えようとしているが、狂っているだけの可能性も。

「だから?」

「このままでは君は私と同じ未来を辿る。魔王を討伐し帰還した私の身に何があったかを、あれは」

フールが目を閉じて内情を吐露する。

辛かった過去、また犯行動機を語ろうとしたが、無慈悲なマーラは空いた口に連撃を叩き込んだ!?この女はこういう事をする女。

「死ね!」

「ぶほっ貴様ァァァ話は終わっていないぞおおぼっぼっ」

最大効率を求めた効率厨は、会話を当然のようにスキップ。

驚くフールの口の中に、ヒット!ヒット!ヒット!

「おぼぁごふっ、汚いぞ」

端正な顔が歪む。歪む。歪む!

アリエスちゃんも口をあんぐり。

「このまま死ね!」

一方的な展開になってきた。

アリエスちゃんが気付く。

「凄い、連撃のノックバックで、ずっとマーラさんのターンです」

防いだ時に発生する硬直により攻撃はおろか逃げる事すら出来ない。

これぞ、連撃の真骨頂!

「·····やっちゃうかも」

フールはただ無意味に耐える。

裸の王様は見せ所も無く、なぶり殺されるかと思われた矢先。

「マジックシールド!」

!?

魔法を唱えられないはずのフールの前に、魔法の盾が現れ連撃を防ぎだした。

誰もいないのに?

「ハイヒール」

まただ。今度は回復魔法。

マーラにギッと睨まれたアリエスは、泣きそうな顔で首をふるふると横に振る。