軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

117 新しい朝2

朝市でゲットした食事を抱えて家へと戻る。サプライズにルカはどんな反応を見せるだろうか。

「アニキー。家の前で待ってていいか?」

「いいけど」

おこぼれが待ちきれないのか家まで着いてきたロイが屋敷を見てはしゃぐ。

「それにしてもアニキの家は大きいな!凄っええ~!」

「ふふっありがとう」

嬉しい。

彼とは仲良く出来そう。直ぐに身長も抜かれそうだけど今は少しお兄さんぶりたい。

「嘘だろ、あの馬小屋は俺らのアジトより快適そう。なーなー大魔導師の家って皆こうなのか?」

「さあね。良かったら家でお茶飲んでいく?」

良いのか?と少年の顔が輝いた。

もちろんだよ。

家の中も案内してあげよう。

「ただいまー。うわっ!」

扉を開くとルカとライ姉が現れた。

ルカの不意打ち!ライ姉とお揃いの服を着たルカが襲ってきた。

「エクス遅い!どこ行ってたの!?」

はぁー。

何で玄関先にいたんだろう。

知ってれば連れ込まなかったのに。

「奥さま!?」

トラップカード「予定外の客人」が発動。

ルカがびくんっと硬直。

内弁慶なルカを倒した。お供のライ姉もわたわたと混乱。

頼りになるのは、くま吉。

「相棒。そいつはいってえ誰なんでい?」

「彼はスラムチームのリーダーのロイ。ん?ロイ?」

ルカ達に、紹介しようとしたらまさかロイも真っ赤な顔で固まってる…だと?

麻痺2名、混乱1名。

頼りのくま吉は!と見ると、うんうん頷いて良い仕事をしたぜいと満足そうに離脱。

つまりパーティは僕ひとり。

この状況から全員を生還させるには。

リーダーには非情な判断も求められる、許せ。

「ごめん!ロイ。お茶会はまた今度」

「え???あ、アニキー!」

ぐいぐい押して追い出すと切なそうな表情を見せたけど、ルカが優先なので!埋め合わせは必ずするからっ。

パタンと扉を閉めて知らない人を隔離するとルカが生き返った。ふぅー。

「エクス、酷い!私達を置いていくなんて」

「でも朝市は人が多いからルカには無理だよ」

痛いところを突いてしまい、むぐっと黙らせてしまう。

「ほら、ルカ。美味しそうな朝食を買ってきたからこれで機嫌直して」

何が気に入らないのか、むっと唇を尖らせた。

ええー?

こんなにあるのにまだ気に入らないの?

さすがお嬢様。

「こんなに食べれない」

「ご、ご主人様。私っガンバリマス」

あっ……買いすぎたからか。

ライ姉なんて全部食べる気なのか悲壮な覚悟を決めてぐっと拳を握りだすし、くま吉が心配してわたわたしだすけど、それは誤解だよ。

「違いますー。余りは彼らにあげる約束で、わざと多めに買ってきたんだ」

喜ぶ顔が見たかっただけなのに、限度を越えてしまったせいで喜ばれなくて悲しい。はぁ。

「相棒の考える事はよく分からねぇぜ」

ルカが何かを考えてるみたいに、目を閉じた。彫刻のように美しい瞼がカッと開き、澄んだ目が光る。

「分かった!クレイジーベア。 ふふっやるじゃないエクスぅ。スラムの子に仕事を作ってあげたんだ。そういうのは大昔の貴族しかしないのに」

「相棒、やる事が粋だねえ」

「ご主人様、流石です!」

うーん。欲しかった反応とは違うけど、まぁいいか。それより、お腹も減ったし食堂へと言おうとして危機感を感じた。

何か…引っ掛かる。

「どうしたの?エクス」

不思議そうにこくりと首を傾げた見慣れない服装のルカに見つめられても、得体のしれない危機感は消えない。

このままでは不味いような。

そんな気が。

ルカが玄関先で待ってたのは何でだ?

寂しいからは違う、最近はライ姉にべったりで以前より明るい。

んんああ??

これかっ!

初めて見るお揃いのキュートな部屋着。

僕の目は節穴じゃない。

「ルカ、ライ姉。そのお揃いの服、とても可愛いね。2人によく似合っているよ」

ルカが嬉しそうに、びくんっとした。

ビンゴ!

あ、危なかった~。

「奥さまっ!良かったですね。ご主人様の為にお洒落しむぐっ」

ふにゃけた顔のルカがライ姉の口を封じて、ぼそぼそ何か言ってくる。

「もぅ。この子は。…エクス、朝早くから私の為に買い物に行ってくれてありがと」

ふふっ可愛い。

これを言って欲しかったんだ。

もしかしたらルカもさっきの言葉が欲しくてそわそわと2人で玄関先で待ってたのかな。

お互いに欲しかった言葉の取引が成立すると不思議と何かが満たされた。

これが与える喜び。

しかし世の中には奪う事を生業とする輩も。視界を小さい物が横切る。

「うわっ」

うさぎ部隊にボックスを奪われた。

山賊よろしく何匹かで頭上に戦利品を掲げて、楽しそうにてとてと食堂へと走っていく。

「びっくりした」

「楽しみね」

「ご主人様、早く食べたいです」

うさぎ部隊の背中を追うと、テーブルにじゃんじゃん料理を並べているので待つことに。

「ところでニトラは?」

「逃げられたの!変身の途中だったのに」

「奥さまが構いすぎるので」

ブラッシングしようとブラシ片手に追いかけるルカと、嫌がるニトラを想像してしまいくすりと笑う。

ぺこりとうさぎがお辞儀した。

おぉ~、朝から何だか貴族みたい。

食事を並べ終わると壮観だ。

これは、定食屋の調子乗り事件を思い出す。

「懐かしい景色ね。こんなに楽しい気持ちになったのは初めてだけど」

「そうなんだ」

ルカにも色々あるのか。

触れてはいけない過去もあるよね。

気分を盛り上げる!

劇の始まりを告げるように、両手を広げて声を出す。

「さあ!新しい日常の始まりだ。好きな物を好きなだけ、パーティーを始めよう!」

ところが、歓声の代わりに返ってきたのは嗚咽。

「ううっ」

なぜかライ姉が突然泣きだした。

「だ、大丈夫?」

えええ?どこで地雷を踏んだのか全然分からないんだけど!?

パーティーに何か悲しい思い出でも?定食屋調子乗り事件で、巻き込んだからいけなかったのか。

ルカに助けを求めると、机にあった布を優雅に広げだした。ライ姉がガチ泣きする中、さすがルカは落ち着いてる。

そして、布を優雅に畳みだした。

ん?

そしてまた優雅に広げ。

あっ!ダメだ。

いくら優秀でもぼっちだったルカに解決策なんて分かる訳がない。

僕がなんとかしないと。

冷静になれ。

ハンカチを渡して優しいトーンで声をかける。

「ライ姉、落ち着いて。ゆっくりでいいから話せる?どうしたの?」

うるうるした瞳で見上げてきた。

「ご主人様に拾われて良かったです!ひぐっ。奥さまも優しいし。これから毎日。こんなに料理がたくさん。夢のようで」

優しく、しっとりした髪を撫でた。

あぁ分かるよ僕もそうだったから。もっと美味しい物を食べさせてあげたい。ルカもこくこくと頷いた。

「これが今日からの日常だよ」

「はいっ」