軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

107 ルカとライ姉2

深夜、息苦しくなり目覚めた。

「ぐえっ」

遮光板を開くと、キャッキャッと鬼ごっこをしてる犯人達を発見。どうやら、うさぎ達に踏まれたらしい。

「エクスさん。…悪いわね私の部下が迷惑かけて」

「はぁ。いいよ気にしないで」

クイーンに謝られたけど、鬼役は僕の虚ろだから。あいつぅぅ。睨むとしゅんとしたけどどうしてくれよう。

「それにどうやら、エクスさんから漏れる魔素のせいで虚ろの国と繋がりが増して中途半端に覚醒したみたいだわ」

「うぐっ」

僕のせいでもあるのか。

クイーンが僕の虚ろをまじまじと見る。

「エクスさんの契約者は、もしかして無能のエテン?」

僕の虚ろは悲しい顔をして、つい口調がキツくなる。

「クイーン、誰がなんと言おうと僕はエテンを選んだんだ」

「違うわ。噂なんてアテにならないわって言おうとしたただけよ」

「つまり?」

意外な風向きに虚ろがきょとんとして、僕らはクイーンの言葉を待つ。

「酷い噂を聞いてたけど実は凄かったのね。もしかして、貴方が空白の虚ろの王かしら?まさかね?これでも感謝してるの。ルカとお喋りできて私は幸せ。ありがとう」

「えへへ」

褒められて嬉しそう。

おっ!期待の目で見上げてきたのでゴーサインを出す。やりたい事は分かってる。存分におかわりするといい。

「エテンいいよ。解放して」

「うん。ありがとー」

「エクスさん!?」

驚くクイーンを尻目に、僕の虚ろが嬉しそうにこくこくと頷き調子乗りタイムが発動!

目標は兵隊うさぎ達、全員っ。

全員、幸せにしてやんよ。

「サポート1……!」

エテンが魔法を連発してすぐにMPが1まで底をつき、地べたを這うような感覚が継続して精神疲労で目が死んでいく。

だけど、不思議と口元は笑っていた。

「エクスさん、無理しないで!エテンの暴走を止めさせて」

「いいんだ、僕らはやりたくてやっている」

「サポート1……!」

調子に乗った僕の分身が魔法を唱え続けて、びくんびくんとうさぎ達が次々と跳ねて存在が一段階ずつ上がっていく。

瞳が濁りきった時にようやく仕事が終わると兵隊うさぎ達が整然と一列に並び、エテンに感謝の敬礼して悪くない眺め。

じー。

それだけで満足しないエテンが追加報酬を求めて邪悪にニタリと笑った。

僕達の視線がクイーンに突き刺さる。

「あ、ありがとう。恩に着るわエテンとエクスさん。お礼はいずれ必ず」

「えへへへへへ」

「良かったな、エテン」

イイネを貰い邪悪に笑う虚ろをぐりぐりとエア撫で撫でしてやった。さてと、睡眠に戻らせて。ふわーぁ。

「これからは寝室の外で遊ぶように!散開っ」

ビシッと敬礼したうさぎ達とエテンが楽しそうに出ていったのを見送ると、再びひしっとクイーンが抱き着いてイチャイチャしてきた。

「エクスさんありがとう」

「いいよ」

何体かは残るらしく、静かに扉を締めてくれたので、ピロートークをしながら眠りにつく。

「お礼は何が良いかしら?何でも言って。貴方なら身体を許してもいいわよ」

「そうだね、ニトラ達と仲良くしてあげて」

「いけず」

縫いぐるみのくせに。

いや、気が向いたらモフらせて貰おうか。

でも本命は君だよとスライム枕に顔を埋めたら睡魔が戻ってきた。すやぁ。

チチチと鳥が囀り、陽射しが差し込み僕の新たな1日が始まる。

「んううう!」

ぐいーっと背伸びをすると、一晩中遊んだのか力尽きたうさぎ達の山とすぴすぴ寝るエテンがいた。

「全くだらしないわね」

「ふわぁ、楽しんでくれたら僕はいいよ。ご飯に行こうか」

「ええ喜んで」

クイーンを肩に乗せて、少ない部下を引き連れて食堂へ。

うっ…なんかいた。

食堂に向かう途中に不審人物が。

まぁルカなんだけど。

入口の前で入れなくて、うろうろしていたらしく、僕の気配を感じてびくんっと怯え、僕だと分かると近付いてきた。

「エクス、遅い!」

「えぇー」

むうっと見られたけど悪くないよね?

「待ってたのに」

「ごめんごめん」

「なんでクイーンといるの?」

「えーお腹減ったから入ろっか」

やれやれ前途多難だな。

「御主人様と奥さま、おはようございます!」

「おはよう」

元気なライ姉と、座ったままぴくぴくと尻尾だけ動かしたニトラに挨拶する。

ルカ?

人見知りのルカは僕の裾をぎゅっと握ってるだけみたい。

「今朝の朝食です!」

向かい合って着席すると、席の目の前には銀のドーム。

仕掛けられた朝食の中身に、ちょっとドキドキする。赤い丸ごと果実の確率50%。

ドヤ顔メイドのライ姉がオープン!

中身は何だ?

「ほう…こうきたか」

「相棒、これはいってえ?」

白い皿の上に鎮座する、黄色の弓なりの果実が目に飛び込んできた。やはり今回も調理されていない。

お嬢様なルカがナイフとフォークを持ったまま斬新な朝食に若干引いている。

「バナナだよ。食事にしようか」

ナイフとフォークとスプーンが傍らに置かれてるけど、これは飾り。

くま吉も困惑してるようだし、ここは男らしくリードしよう。むんずと掴みムキムキしてぱくりと食べるのが正解。もむもむ。

ほらルカも真似して?ちらりと、ルカを見るとフォークでバナナを刺した。

「!?」

や、止めるんだ無謀な真似を!

ごくりっと唾を飲み込む。

「ふふっ」

ルカは僕のお節介に微笑んだ。

カチャカチャと小さな音を奏でナイフで服を脱がすように優雅に皮を剥いていく。

な、なんだと。

美しい。

繊細な指が皿の上で踊り素材を料理へと姿を変えた。僕の野蛮な食べ方はなんだ?

等間隔に輪切りにしていき、どこからか取り出したポーションをトロトロとかけると、貴族風バナナのカットソテーに。

「御主人様!はわわ素敵な奥さまです」

ただ飯を食べてるだけなのにライ姉が興奮するのも分かる。

優雅に1枚ずつ口元に円形の料理が消えていく。ルカの周りにだけ、お洒落で張り詰めた優雅な空気が漂う。

「なんだこれ?」

くま吉が洒落た仕草でグラスに炭酸水を注ぐとルカが喉を潤した。ぷるりとした唇に視線が奪われる。

♪〜

ぎょっとしていきなり鳴りだした音楽の発生源を見ると、親衛隊うさぎが楽器を弾いていた。

人見知りのルカに、部屋の空気を支配された!