作品タイトル不明
30.Sランクな旧友との再会、およびスカウト
ある日のこと。
飛竜から、獣人国の外れで、魔物に襲われている人間達がいると報告があった。
俺は地竜に乗って素早く現場へ急行する。
雷狼(ライガー) 。
電撃を放ってくるAランクの狼モンスター。
それが30体という、かなりの数まとまって、人間達を囲っていた。
人間達の武装を見るに、冒険者だろう。
だがすでに戦闘が長引いていたのか、だいぶ疲弊している様子だった。
「ガォッ……!」
雷狼の1匹が、赤髪ポニーテールの冒険者に襲いかかろうとする。
「【 麻痺(パラライズ) 】」
スキルが発動すると、雷狼がその場で麻痺して動けなくなる。
「え、Aランクモンスターを麻痺させるなんて……! いったい……って、おまえは!」
驚き、目を見開く赤髪の美女。
「さがってろ、すぐに終わらせる」
ぐるる、と雷狼たちが威嚇しながら、俺を取り囲む。
「あ、あぶねえぞ兄ちゃん! あんたひとりでこの数の相手は……」
冒険者のひとりが、俺の身を案じて声をかけてくる。
だがポニーテール美女が、それを制する。
「心配ねえ。【ジーク】に任せとけ」
「リーダー……でも……」
「ウチの知っているジークなら、これくらい余裕さ」
雷狼たちが、口から電撃を放ってくる。
俺はその軌道を見切って、上空に飛ぶ。
「雷狼の高速の雷撃を見切って避けただと!? す、すごすぎる!」
俺は空中で雷狼たちを視界に捉え、スキルを発動させる。
「【 麻痺(パラライズ) 】」
バシッ……! と雷狼たち全員が、その場で崩れ落ちる。
「す、すげえ……Aランク30体を一発で麻痺させるなんて……!」
「どうだ、すげーだろ。ジークは昔っからすげーやつなんだよ!」
俺は地上へと着地し、【 眠り(スリープ) 】で雷狼たちを眠らせる。
「よっ、ジーク。ひっさしぶりじゃねーか!」
赤髪ポニーテール美女が、俺の肩をバシバシと叩いてくる。
「え? だ、だれだ……おまえ?」
きょとん、と美女が目を丸くするが、すぐに得心がいったようにうなずく。
「ウチだよ、ウチ。【リズベット】」
「リズベット……って、ええ!? お、おま……あのリズか!?」
やれやれ、とリズが呆れたように首を振る。
「親友の顔を忘れるたぁ、ひっでえじゃねーか」
彼女は俺が王都にいた頃の、古い友人だ。
「いやおまえ……昔は髪の毛短かったし、それに……今のおまえ美人過ぎてわからなかった」
「ふぇ……!?」
かぁ……! とリズが顔を真っ赤にする。
「へ、へ、へんなこと言うなよぉ~♡ ばか~♡ も~♡」
くねくね、とリズが身をくねらせる。
「あ、あのリーダー……もしかして、このお人が、リーダーの言っていた逸材っすか?」
仲間らしき冒険者の男に、リズがうなずく。
「そ。こんだけ強きゃ文句ねーだろ」
「え? 何の話だ?」
リズは俺を見て、真面目な顔で言う。
「ジーク、聞いたぜ? あんた宮廷獣医をクビになったんだってな。だからウチは、あんたをスカウトに来た」
「スカウト?」
至極真面目な顔で、かつての親友は言う。
「単刀直入に言う。ジーク。ウチはあんたが欲しい。一緒に冒険者としてパーティを組まねーか?」
「冒険者……そういやリズ、おまえ今冒険者やってるんだったな」
「そ。あんたのことは宮廷獣医だった頃からずっとずっと狙っていた。あんたのその強さは、冒険者として生かすべきだよ」
リズは右手を差し伸べて、こういった。
「ウチらSランクパーティ、【黄昏の竜】に、是非とも入っちゃくれねーか?」
「すまん、無理だ」
「えええ!? どうして!?」
「いや、もう獣人国で獣ノ医師やってるもので……」