作品タイトル不明
183.VS黒獣
騒ぎを聞きつけて、俺たちは外に出る。
「逃げろ-!」「黒獣だぁ……!」
大穴から湧き出てきたという黒獣。
一体何なのだ……?
騒ぎの中心へと向かうと、四つん這いになった黒い人間のようなものがいた。
『うぐるぐうううううう!』
その尻からは5本の触手が伸びている。
「ぼ、坊主! 逃げろ! その触手に触れるな……!」
エナのおじさんが俺に忠告してくる。
『ぐろぁああああああああ!』
びゅっ、と音を立てながら、凄まじい早さで触手が伸びてくる。
俺はそれを見切ってかわす。
ガォンッ! と空気を切り裂く異音。
「! こいつは……」
触手が通った後、そこには何も残っていなかった。
雪が、地面が、そして建物が……削り取られている。
「黒獣の体は触れたもの全てを食らう! だれもかなわん」
「じ、ジークさん! 逃げてなのですー!」
だが俺は臆することなく、黒獣へと近づく。
ぎゅんっ! と触手が俺に向かって伸びてくる。
だが、それを俺は正面から素手で受け止めた。
「「なにぃいいいい!?」」
エナとおじさんが驚いている。
「ど、どうなってやがるんだに!」
「兄さんの神魔の右手は世界最高の神聖魔法が使えます。あの程度の攻撃、ダメージすら与えられないですよ」
「触れたもの全部消し飛ばす力を、凌駕するっていうんのかや……す、すごすぎる……」
俺は触手を引き寄せて、黒獣の腹に一撃加える。
すると黒獣は体を【く】の字に折り曲げて消滅した。
「「…………」」
エナ達、そして周囲にいたドワーフたちが目を丸くして、口をあんぐり開いている。
「し、しんじられない……」「あれだけおれたちが苦しめられてきた黒獣を、一撃で……?」「何者なんだに、あいつは……?」