軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

076 みんなでダンジョン

存分に女の子たちにモフられた後、オレたちは冒険者ギルドで冒険者の証を手に入れて、ついにダンジョンに入った。

「久しぶりのダンジョンです」

「わたくしも久しぶりです」

「ワシも久々かな」

エグランティーヌ、エヴプラクシア、コルネリウスがそれぞれダンジョンに入った感想を述べる。

やっぱりこの三人、ダンジョンに潜ったことがあるらしい。たぶん、オレと同じように護衛付きで潜ったのだろう。

そうだよな。じゃないとあの強さは説明できない。

その後、オレたちは潜ったことのある階層を確認し合い、第十七層からの攻略となった。みんなけっこう潜っているみたいだな。

ダンジョンオブジェに触って第十七階層にワープすると、さっそく戦闘なのだが……。人数が増えてさらにサクサク進むかに思えたダンジョン攻略は、ちょっとした問題を抱えてしまった。

「せやあ!」

「うお!?」

オレが狙っていたオークを、先にエグランティーヌが攻撃した。それ自体はいいのだが、オレの進路を塞ぐようにエグランティーヌの片手剣が走る。危うく斬られそうだった。

オーク自体はその後エグランティーヌとオレによってすぐに倒されたのだが、これは問題だ。

「すみませんでした、ジル。怪我はありませんか?」

「大丈夫だ。だけどこれは……」

オレたちは今日結成したばかりの新パーティだ。連携のれの字もない。むしろ、お互いの動きを邪魔してしまう始末だ。

これはどうすればいいんだ?

ゲームではこんなことはなかったのでゲーム知識では解決できない問題だ。

「しばらくは声をかけ合おうか。自分がなにを狙っているか。どうしたいのか」

「おう」

「わかりました」

「わかったよ」

前衛陣の了解を得たことでホッとする。

「アリスやシアは大丈夫か?」

「その……」

「射線に入ってくるのはいただけないわね。危うく同士討ちしそうだったわ」

アリスが口ごもり、エヴプラクシアがハッキリ言う。前衛陣も困ってるんだ。後衛も困るよなぁ。

「アリスもシアも魔法を使う時は掛け声を頼むよ。それだけでだいぶ変わると思う」

「はい」

「クー!」

「わかったわ」

クーがわかったのかわかっていないのか、宙を楽しそうに飛んでいた。

まぁ、しばらくは掛け声をかけ合うことで対処しよう。たぶん、掛け声が不要になった頃には連携というものができるようになるのだろう。

「俺は左を叩く!」

「では、わたくしは中央を!」

「ワシは右に行くよ!」

「オレはエグランティーヌの援護に回る!」

その後、前衛陣は声を出し合って、お互いの邪魔をしないことを学んでいく。まだ連携と呼べるほど高度なことはできないが、それはゆくゆくだな。

そうして、だいたいの戦術が自然と確立してきた。最初はアリスとクー、エヴプラクシアによる遠距離魔法攻撃でモンスターの数を減らし、残ったモンスターを前衛陣で叩くというスタイルだ。

これはなかなか上手く機能した。

そんな調子でダンジョンの第十七階層、十八階層を攻略した。

十八階層を攻略すると、ちょうどのお腹が空いてきたのでお昼休憩だ。

オレは例のごとく収納空間からご飯を取り出し、皆にご飯を配っていく。

「食事の準備は必要ないとは聞いていましたが……」

「あなたのギフトってその、柔軟性があるのね……」

「まだ温かい……。驚いたよ」

「どうだ! すげーだろ!」

エグランティーヌ、エヴプラクシア、コルネリウスが呆れたような驚いたような表情を浮かべていた。そして、なぜかコレットがドヤ顔している。

「でも、粗野な食事が多いのね? これはどうやって食べるの?」

エヴプラクシアが手に持った肉の串焼きを睨んでいる。その横では、エグランティーヌも不思議そうにシーフードの串焼きを見ていた。

「そのまま噛り付くんだ。残念だが、ここにお上品なカトラリーはないぞ?」

「そうなのね……」

「これも経験よ、シア」

エグランティーヌとエヴプラクシアは、意を決したように串焼きに噛り付いていた。大袈裟に映るかもしれないが、こう見えて二人はお姫様と侯爵家のご令嬢だしね。こんな食事方法は初めてなのだろう。

「うめえ!」

逆にコレットは慣れた手つきで次々に串焼きに手を伸ばしていた。

「クー!」

その横では、クーがアリスに魔力を補充されて嬉しそうに鳴いていた。人工精霊に食事は必要ないが、魔力は補充しないといけない。言わば、魔力がクーにとっての食事だ。

「アリス、クレープなんてどうだ?」

「ありがとうございます、ジル様。いただきます」

串焼きの他にも食事系のクレープや、サラダスティックなんかも収納空間から出しつつ、食事を続けていく。

驚いたのがコルネリウスの食べる量だ。オレの倍くらいは食べたんじゃないかな。

まぁ、コルネリウスは体が大きいしね。前衛だから体も動かすし、腹が減っていたのだろう。

「よし。じゃあ、行こうか」

食事も終わると、オレたちは第十九階層を目指して歩き出した。