軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

024 第十階層の突破とアリスとの攻防

オークの雄叫びをかき消すような轟音がボス部屋を支配する。

その瞬間、二体のハイオークが消し飛んで白い煙と消えた。

オレがやったことは簡単だ、収納空間からクロスボウのボルトを撃ち出す“ショット”を多重展開しただけである。それはあたかもショットガンのようだったので、オレはこの技を“ショットガン”と命名した。

その効果はオレの予想以上に甚大だった。まさかハイオークが消し飛ぶとは思わなかったな。ちょっと数を撃ち過ぎたかもしれない。

でも、数をケチってアリスの前でカッコ悪い姿を見せたくないし……。まぁ、倒せたんだから結果オーライにしておこう。

「GA……!?」

奥にいたオークジェネラルが驚いたように身動きを止めていた。ダンジョンのモンスターでも驚くことがあるんだね。

「えいっ!」

そして、その隙を見逃すアリスではない。アリスの投げた発火ポーションはオークジェネラルに命中し、オークジェネラルは勢いよく燃え上がった。

だが、混乱していたダンジョンの道中のオークたちとは違い、オークジェネラルは燃え上がっているのにもかかわらず、バルディッシュを片手に突進してきた。その狙いはアリスだ。

「ダブルブロー!」

オレはアリスに向かって駆けるオークジェネラルを横からぶん殴る。オークジェネラルの狙いがアリスからオレに変わったことがわかった。

「えいっ!」

そのタイミングでアリスが次のポーションを投げる。ポーションはオークジェネラルの顔に当たると割れて、その中身をぶちまける。中に入っていたのは、透明な液体だ

「GUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!?」

だが、オークジェネラルは激しく反応する。オークジェネラルの顔を見れば、その左半分がひどく爛れていた。火によるものじゃない。おそらくアリスの強酸ポーションだろう。

錬金術師だけは敵に回したくはないな。

そう思いながら、オレは暴れているオークジェネラルの顔をダブルブローで連打する。タスラムの追加魔法攻撃も発動した四連撃だ。

「Gua…………」

さすがにHPを削り切ったのか、オークジェネラルはボフンッと白い煙となって消えた。オレたちの勝利だ!

「お兄さま!」

テンションが上がっているのか、アリスが抱き付いてきた。ちょっとドキドキしてしまう。ひょっとしたら顔も赤くなっているかもしれない。仮面を着けててよかった。

「ああ! アリス、よくやった! いいポーション選択だったね。おかげで戦いやすかったよ」

「本当ですか? よかったです!」

オレに抱き付きながらぴょんぴょん跳ねるアリス。アリスの嬉しさが伝わってくる。オレも嬉しい。嬉しいけど、これはマズいかもしれない。

しっとりと汗のかいたアリスの甘い匂い。体に伝わるアリスの温かい体温と柔らかさ。その……、アリスがぴょんぴょん跳ねるから、アリスの胸の感触がけっこうダイレクトに感じてしまう。

「あ、アリス、アリスはすごいなー!」

オレはそんなことを言いながらそっとアリスの肩を掴んで体を離した。

「お兄さま?」

アリスが不思議そうにオレを見上げていたが、ある一点、オレの耳辺りを見るとニヤッといたずら好きな猫のような笑みを浮かべる。

「アリス? いや、アリスさん……?」

「いいえ、なんでもないですよ、ジルベール様」

なんだかニコニコしたアリスの顔が怖い気がした。

わたくし、アリス・エローはダンジョンから帰ってきて、アトリエで錬金術をしていました。今回は発火ポーションを多く使ったので補充しないと。

「それにしても……」

思い返すのは、ダンジョンでのジルベール様の姿でした。わたくしを守るように立ち回ってくださって、怖いダンジョンの中でもわたくしは安心感を感じていました。

「ふふふっ」

そして、今日発見したジルベール様の弱点。

たぶん、ダンジョンの中で仮面を着けていたから気付けたのでしょう。ジルベール様は感情の高まりが耳に現れます。

ジルベール様は耳が弱いのです。耳元で囁くだけで耳が真っ赤になります。

いつもの真面目そうな澄ましたお顔も好きだけど、その裏で耳を赤くするほど動揺していたなんて! かわいすぎます!

これからはジルベール様のお耳は要チェックですね!

それから、わたくしが第十階層のボスを倒せてはしたなくもジルベール様に抱き付いてしまった時……。この時もジルベール様のお耳は真っ赤でした。

やっぱりジルベール様はえっちなことに興味津々なんだと思います。

最近はありませんでしたけど、以前はわたくしの胸をいつも触ってきましたし!

以前なら嫌だったけれど、今のジルベール様になら少しくらいなら触られても……。いいえ、触ってほしい……。

「ッ!? わたくしったら、なんてはしたないことを……」

でも、いつも思わせぶりな態度でわたくしをその気にさせてなにもしてくれないのですもの。わたくしも少し、いいえ、だいぶ思うところがあります。

わたくしをこの屋敷に引き取るために、ものすごくお強い弟君と試合までしたのになにもないなんて。

これからはわたくしの方から仕掛けるんだから!