作品タイトル不明
オリガ王女の狙い3
ドロガンの街で、その付近の魔物退治を行なっている間でも、オルデンスク国の侵攻の話は聞かなかった。
本当に自国内のことで手がいっぱいなのか、従来ならかけてきていたちょっかいも全くなくなったようであり、酒場での冒険者たちの気の緩んだ発言もよく聞くようになった。
なんとなく街の中の緊張した雰囲気もゆるんでいる感じがする。
「じゃあ、俺たちはこれで。また王都アンダロフの方に戻るな」
「本当に“選ばれた盟友”の皆様にはお世話になりました。ありがとうございました」
ドロガンの冒険者ギルドでは、いつもの受付嬢だけでなくこの街のギルドマスターであるという厳つい顔の男性にまで、丁寧なお礼を言われてしまう。
まだまだそういうことに慣れないシミリートたちは、照れながらギルドから逃げ出してしまう。
「シミ、あそこは代表して堂々と言葉を受け取らないと」
「そうなんだけど、照れ臭くて」
「そういうところが格好良くなると、モテるかもしれないぞ」
「なに!本当か!」
「さぁ。かも、だよ」
サンダーにからかわれていると気づいていないシミリートは、真剣な顔をして、あのような言葉を言われたときに返す言葉の練習を、 戦馬(バトルホース) の上で行なっている。
サンダーに、合図を送られたことに気付いたユリアンネだが、苦笑いだけ返している。
王都に戻る途中でも、見かけた魔物のうち角兎だけは住民や避難民のために残しておき、ゴブリンなどを優先して狩っておく。
「ただいま。もう北方の魔物もだいぶ目処がついたと思うよ」
「じゃあ、いよいよこの国ともさよならか」
ジーモントが調理した上位ハイオークの肉を楽しみながらの会話である。