軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

68.アクセサリー発注完了

待ち合わせは店舗予定地。

何人か 長耳族(エルフ) がファマルソアンを囲んでいた。

背の高い彼らはこちらに気づくのが早い。

「セツナさーん」

イケメン 長耳族(エルフ) (男)に笑顔でブンブン手を振られる俺。

「こんにちは」

「遅いですよ〜内装はもうほぼ決まりました。酒の手配もあらかた終わりましたし、奴らに思い知らせてやりましょう!」

「あの、これ以上仲が悪化すると酒屋の経営にも関わるので、俺が話しますから」

「まあ、かまいませんが。セツナさんのアクセサリーですからね」

ここでへそを曲げられたら困るから! おだまり!!

例の酒盛りストリートに入り込むと、俺たちの姿に気付いた 小人族(ドワーフ) たちが店の中から顔を出し、後ろをぞろぞろとついてくる。

「そこの角の右手の店です」

ファマルソアンに案内され、店の前まで来ると、ルンゴが現れる。

「こんにちはルンゴさん」

「おう! 来たってことは目処が立ったか?」

「はい。このイェーメールにニホン酒を扱うお店ができます」

地鳴りがした。

いや、 小人族(ドワーフ) たちの雄叫びだ。

やっぱりこれ、購入制限つけないとだめなやつだろうな。

「それで! いつから!!」

「アクセサリーが出来上がってからですね。あと品物も揃えないとだし……ファマルソアンさん、最短でどのくらいですか?」

「店の形もないんだぞ? 店が完成してから2週間といったところか」

「けっこうかかるんだな」

明らかに周囲が気落ちしてるんだけど、普通に家って建てるの大変だろうよ。

「まあ、わかった。つまり、腕のいい建築士に店を建てさせれば酒が手に入るのも早くなると」

「もういくつか当たっているから、横やりはごめんだぞ」

ファマルソアンが不機嫌そう。まあ、 小人族(ドワーフ) たち、酒のためなら夜通し仕事しそうだしな。

「ハザックならどうだ」

ルンゴの台詞にファマルソアンが顔色を変えた。

「……いや、建物の金額ももうだいたい出ている。彼に頼めば今の倍かかるだろう」

「そんなの聞いてみないとわからんだろう! アランブレに店ができるわけじゃないが、イェーメールまではそんなにかからない。ローレンガからの酒を待っているよりはここに店ができる方が現実的だ」

見える!! 酒につられてお安くお店建てちゃいそうなハザックの姿が!! いや、さすがにないか。

「まあ、俺の仕事はアクセサリーを作ることだな。よし、セツナ! 宝珠を預かろう」

今日はこの展開があると思って持ってきている。

俺は、【持ち物】から宝珠を取り出す。オレンジ色をした丸い手のひらサイズのものだ。

「セツナは宝珠の専用アクセサリーの特性は知っているか?」

「いえ、まったく」

俺が素直に答えると、ルンゴは頷く。

「宝珠はほら、かなり大きいだろ? いくつも持ち歩くのが大変だ。そんな時に専用アクセサリーがあれば、宝珠はそのアクセサリーに合わせて好きな大きさに変わるんだ。つまり、小さな粒のネックレスや、指輪にだってなる。さらにその時専用の触媒を加えて、最大限に力を引き出せるようになる。そうやって手を加えないと、力は引き出せないようになっているんだよ。それだけ十二神の宝珠は特別で強力な力があるということだ」

なるほど。アイテム重量ゼロで常に【持ち物】に入れているかみのけ座の宝珠とは全く別物なのか。

「さて、セツナ。アクセサリーはどんなタイプにする?」

選べるやつ!!

「ええっ……どうしよう。まったく考えてなかった……」

「ちなみにそこの長耳野郎が3連宝珠のブレスレットをしてるな」

すると、ファマルソアンさん、袖の中に隠していたブレスレットをチラ見せしてくれた。3つの小指の爪以下の小さな玉が金の環にそれぞれはまり、それがまた連なっていた。

「あんなに小さくなるんですね」

「おう、不思議なもんだろ?」

あまり見せない方がいいとも言われたし、懐にしまっておけるのがいいなぁ。

懐……懐かぁ……。

「ちょっとご相談なんですけれど……」

ゴニョゴニョと己のイメージを伝える。ふむとか、んん、とか悩んでいたが、いつの間にか側に来ていた職人が、それなら手伝うとか言い出して、どうやらイメージのものを作ってくれるらしい。

「面白い仕事になりそうだ」

《クエスト: 小人族(ドワーフ) のアクセサリー職人をクリアしました》

ここでクリアなのか。出来上がってからだと思っていた。

「とても儲けがありそうな商売ができそうだ。セツナさんには感謝ですね。また珍しいものを見つけたらぜひ!!」

クランで酒を運ぶ件も契約を結んだ。ソーダがやってきて、書類にサインをする。

「それではよろしくお願いします」

特に断りもなく店舗へ運べばいいらしい。数が多いからこれ以上は運ばなくてもよいというときは、運んだその時に知らせてくれる。次は何日以降でと言われるそうだ。

ただし、初回は店舗ができてから、とのこと。

『酒の運び屋とか、悪い商売みたいだな』

『禁酒法時代…… 小人族(ドワーフ) の暴動が起こるな』

『間違いない』

そんな話をしながらクランハウスへひとっ飛び。

やっぱりテーブルがあるのはいいことだ。

生活感が出て、素敵だと思う。

いつの間にかカーテンもクッションもテーブルクロスも揃っていた。藍染めで作られているから、たぶんトウヤくんちで買ったのだろう。

俺はこのあと最後のニホン酒の運び屋仕事を終わらせる。

ハトメールぽーいって、秒でお返事が来た。

クランのストレージを漁って、少しだけつまみを持っていくことにした。カツがまだまだあるな……あとは、チーズがそのまま入ってる。クリームチーズ。ニホン酒に合うっちゃ合うが、食べるかなぁ?

家に着くと、ノックする間もなく開く。

「よく来たな!」

「お邪魔します」

いつものリビングのソファに招かれる。

「ちょうどよかった。明後日から仕事でイェーメールに行くことになってな」

「……酒屋の仕事請け負いましたね?」

「おう! あっちのやつと共同作業だ。なに、俺のスキルがあれば家を建てるのなんて一瞬よぉ!」

タダで仕事受けてそうだが、そこは、本人が満足してるならいいや。

俺はアイテムポーチから酒を次々に取り出す。

「イェーメールでもニホン酒を買えるようになりますからね、今回はあまりその店でも扱わない高級品を買ってきました。なので預かったお金は全部使い切りましたよ!!」

「おおお! 美味そうだなぁ……」

当然のように封を切る。まあ、通されたテーブルにすでにコップが用意されてたからな。

「カツと、クリームチーズ食べます?」

「つまみか! ありがとよ!」

くぅ〜と、グビグビ飲んでいる。大変満足そうなので、まあよかった。

俺も高級品一口いただく。

抜ける酒精とか、表現どうなってるんだろ……完全に日本酒だった。しかも美味い!

少しだけと思っていたが、結局1時間ほど付き合ってしまった。