軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

48.眠り対策と耐性熟練度

軽く会話を交わして、またよろしくお願いしますと店を出た。

ちなみに爺さんのお名前はカクさんだった。……定食屋の親父の名前、スケさんなんだよな……。昔諸国巡ってないだろうなぁ。

冒険ギルドへ向かいながら、『ネタクナイノダ』が出来たとクランチャットで連絡を入れたら、またまたポータルとんぼ返り。緑水晶だっけ? 大丈夫なのかな?

『どこまでの効能かはわからないけど、この瓶のキャップ1杯で1時間。2時間持たせたいから2杯飲むのはダメだって。キャップ1杯って、こぼれそうだけど』

『一升瓶じゃ……』

『あー、そこはゲーム的に大丈夫だと思う』

ちなみに一升瓶5つもらった。眠り薬の瓶て、本当に小さな、栄養ドリンクくらいの瓶なのに、採ってきたドルミレ草半分くらい残っている。

それでここまで増えた。怖い錬金術! 質量保存の法則が無視されている気がする。だって泡でもなし液体なのだよ。

『す、すごい!! 1時間、睡眠耐性20%付与、だって! 2割底上げ!』

『こっちもアクセサリ作りたいって返事もらった。新規アイテムだし、取引契約をギルドで交わしながらの取引になるから、1度アランブレに戻らないといけない。俺なしでソーダの耐性上げてるか? 転がるかもしれないから経験値もったいないけど』

すでに耐性度5割まで来ているソーダ以外の面子は、これを飲めば7割。アクセサリができあがれば低品質でも8割まで伸びる。

耐性系は5割から上げるのが大変だそうで、6割になって、ネタクナイノダと通常品質のアクセサリがあれば10割。つまり100%耐性で無効化となる。

『経験値より時間。ボロもうけの予感しかしない』

『同意なのじゃ! クラン資金補充しておかないと、絨毯買えぬ』

『テーブルクロスも! 藍染め予想以上に可愛かったし、重すぎないのが多かった! 藍染めで揃えるのはかなりありよ!」

ここでくるりとこちらを向き直るソーダ。

『今の狩りなら経験値関係ないからセツナも行こうぜ』

八海山はアランブレに戻り、俺はみんなから渡された耐久性を上げる装備をゴリゴリに着込んで山へ。

それはもうひどい有様。

『ネタクナイノダ』を飲むのは半蔵門線、案山子、柚子の3人。俺はソーダの後ろに。半蔵門線が連れてきたフェアリーサルース1体を、ソーダが挑発で引き寄せて、スリープサイクロンを2人で全身に浴びる。

基本的にフェアリーサルースは、スリープサイクロンしかしてこない。何か別のモンスターといるのだが、それを上手に半蔵門線が1匹だけ連れて来る。

そしてマップの端で、延々とスリープサイクロンを浴びるだけのお仕事が始まる。

とは言え、起こしてもらわないとまたかかることができないので、案山子と柚子がこちらに石を投げてくる。そのダメージと、スリープサイクロンに含まれるダメージがある程度溜まってきたところを、ポーション瓶を投げつけられるのだ。

スリープ状態に陥ると、まぶたが閉じる。そして不思議と立ったまま動けなくなるし、周りの音も次第に消えていく。

が、すぐさま石が当たって起きる。

初めはなかなか当たらなかったが、【投擲】が生えてきて今は命中率100%になったと、2人は自慢げに言う。

『寝不足寝起きの不快感がものすごい』

『セツナ殿www』

『わかりみしかない……』

ぁぁぁ眠いのにぃぃ、せっかく眠れたのに起こされて不快感ぐぬぬぬぬ!! みたいな。

ストレスがヤバイことになってる。

ただ、熟練度はメキメキ上がっている。

おかげさまでもうすぐ5だ。ソーダはまだ6にはならないらしい。

熟練度6、かかりにくくなってるからこそ、なのかもしれない。

八海山∶

アクセサリー依頼完了。材料集めを手伝って欲しいとのこと。

ピロリ∶

了解。何が必要なのかな?

品質向上と成功率を上げるために加えるとよいとされている素材を取りに行かないといけないと。結構高レベルの狩り場らしいので、またもや俺はお留守番だ。

取引契約は、ユーザー同士の持ち逃げ系いざこざを防ぐための処置らしい。

取引台に素材を置いて、相手が加工し、再び取引台へ戻す。品物の加工には数日かかることも多く、アイテムを渡された側は行動に制限がかかる。品物を戻さないと街から出られない。

そして、加工後の金額に折り合いがつかない場合、取引中止が行える。その場合、なんと品物は元の素材に戻るという。

その代わり、このユーザー同士は今後一切取引することは許されない。

品物の出来が悪かったので取引中止にし、再び取引をし直すということはできないのだ。器用さや、用意した素材の善し悪し、さらにそこに確率という要素がプラスされるので、どんなに万全に用意しても思ったものにならないこともある。それがゲームだ。

とはいえ、万全の準備をすることが、出来の良いものを得る近道なので、ソーダたちは素材狩りへと旅立った。

運営も、この手のいざこざを散々経験してきているのだろう。できうる限りの予防措置は考えているようだ。

所詮ゲームと考えるにはVRの市場が拡大しすぎていた。

そして俺は最近通えていないアンジェリーナさんに会うために、アランブレへ帰ってきていた。

ゆっくり本を読みたいのでハザックへハトメール。即返信。アンジェリーナさんの貸本屋の手前にあるからこれでよし。おうちの前で待っていましたよ。親方。

「とりあえず2本です。大事に飲んでくださいね」

あと少しで解放されるし、そしたら割引がなくなると思う。それから大量購入しよう。たぶん俺の【持ち物】だけじゃ足りないだろうから誰かに手伝ってもらおうかなぁ。それかまあ、何度かに分ければいいか。

緑水晶、俺も集めないとな。

一緒に飲まないのかという台詞に、親方の飲む分が減ると言ったら、誘ったくせにちょっと言葉に詰まっていた。わかりやすすぎて可愛いまであるな。

ドアベルが鳴ると、カウンターの奥で本を読んでいたアンジェリーナさんが、視線を上げて口元をほころばせた。

「いらっしゃい」

「お邪魔します」

いつものやりとり。

幸せを噛みしめながら、俺は読書を始めることにした。