軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

357.第7都市でミラエノラン

飛行船の発着場は都市から少し離れた場所に作られている。

それでもすぐそばなので移動に苦痛は感じない。木々が青々と茂る中に突然現れる大きな門。射手座の門だ。門扉だけがどんと森の中に現れる感じ。そしてそこは、来訪者でごったがえしていた。

開いているので門扉の絵が見えない。あとで神殿にも行ってみよう。

『セツナ、射手座のキーワードは?』

ソーダに言われて知識の項目をチェックする。

『ええと、弓、馬、音楽、そして軽率』

『軽率は何由来なんだろうな』

わからないのもたまにあるからなんとも。半身半馬のケイローンを射ったヘラクレスは軽率だと思いますが。あとはケイローンではなくケンタウロスたち全体的に野蛮なイメージが多少はあるからそこら辺から?

アンジェリーナさんのところで読み込む暇がなかったのが悔やまれる。

とにかくマイナスイオンが出まくってそうな森林浴するならここ!! な都市の外観だ。 門兵と軽く話すことで第7都市へ入ることを許可される。

門より内側は森感は薄れる。家も一般的な石を積んだものが多い。アランブレとそう変わらない。ただ、至る所に木や花が植えられている。道は荷馬車も通るので舗装されているが、道の脇には必ず木々があった。

「さあ、お宿はどうされます? 我が家の客間もお貸ししますよ」

「ファマルソアンさんの家凄そう」

ちょっと見てみたい。

「豪邸の予感なのじゃ」

「ダンジョン! ダンジョン探したいっ!」

「食材探し行くッ!」

「拙者ちょっと師匠から言付かっていることがあるでござる……」

「まてまてまてまて。ミラエノランは逃げない! 先にやることがあるだろうが」

暴走しそうなクランメンバーを引き留めるソーダ。

「クランハウスの内覧だな」

「やはりそこが気になりますよね。カランちゃん、手配してくれる?」

「了解いたしました」

「まずは森の方へ行きましょうか。先に行くからよろしく、カランちゃん」

みんなそれぞれ行きたいところはあるが、まずはクランハウス。ソーダがロジックや深淵と話すにしても、希望がどこと言えなければ仕方ない。

『クランハウススレによると、この案内を手に入れるのにクエストがあるらしい』

『あら、私たちはすっとばしたのかしら』

『ファマルソアン様様なのじゃ~』

自然と都市の融合が大成功しましたといった感じの町並みで、歩いていて気持ちがいい。人は確かに多いけど気にならない。

先に注意されていなければ、うん、採取したかも。道ばたに咲いている花を【鑑定】すると、『回復薬に入れると効果UP』とか書いてある。

『見たことない植物たくさんあるッ! これ、薬師系大興奮案件!』

『薬師の先の職業……?』

『いや、生産職は先とかないだろ。作る物が増えるんじゃないか?』

『上級回復薬的なやつでござるよ』

しばらく歩く。飛行船発着場は街の東にあり、入り口は東の門。南、つまり聖地へ向かう方が山となっていて今はそちらに向かっている。

家の外壁の色は白が多いが、レンガのような赤茶も多かった。

軽くお散歩気分で歩いていると、段々草木が多くなる。

「この辺りは森林地区ですね。建物も丸太を使ったりして景観に合わせたものが多いです。商業地区ではないので店はありません。隣人とは仲良くすべきですね」

坂道には石で階段が作られていた。少し行くと、ログハウス風の小屋が並んでいる。

『結構小さいのじゃ』

『いや、向こうにもあるぞ。あちらは大きい』

八海山の言うとおり、道の先をさらに折れて上に行ったあたりにあるログハウスはこの辺りのものの倍はある。窓の数が多い。

『アランブレでもそうだけど、1階のリビングの広さが外観に引きずられるんだよ。この辺りのログハウスだと、5人が限度じゃないか?』

それくらい小さなものだ。正面に扉と窓。ほぼ正方形で2階も同じ形をしている。

『2階がだいたい個人の部屋だな。部屋数は異次元になってクランメンバー分作れる』

俺が入った時、新しく扉が出現したそうだ。

先を行くファマルソアンが振り返って笑う。

「みなさんはもう少し上のものも購入できるのではありませんか?」

ファマルソアンから、この辺りの家は最近新しく開拓した場所で、近々入札で決まることになったと言われた。必ずクランハウスは進呈するが、欲しいものがあるならば入札に参加してくれとのこと。

つまり、第2のクランハウスは運営の方で確実に与えるが、えり好みをするならば正規の方法で手に入れろとのことだ。

せっかくなら景色のいいところがいいな。アランブレは建物が隣接していて窓からは壁が見える。

ファマルソアンは健脚だ。ずんずん歩いて行く。

ようやくかなり登ったところにひときわ大きなログハウスがあった。

「あら素敵!」

声を上げるピロリにファマルソアンが頷く。

「ここ一帯の中でも1番のオススメですね。大きな屋根と広いリビング。キッチンがそのまま続いているんですが……あ、きたきた。カランちゃんこっちです」

結構な速さでカランさんが道を駆け上がってきた。そして家の正面の扉に鍵を差し込む。そうか、鍵を取りに行ってくれたやつか。

「さあどうぞどうぞ。この正面玄関上がガラス張りになっておりまして、採光は抜群です。10名くらいまでなら2階のテラスでお食事もできます。もちろん、リビングでもね」

中に通されたらもう、ほーとか、はーとか、わぁーしか声が出ない。

2階建てに見せかけて、リビングは天井までぶち抜いてある。1階のキッチン上にぐるりとまわる階段から上って、個人の部屋といった風。ここがファーストクランハウスなら異次元空間が広がり出すところだ。さらにその横に外に出る扉があって、ファマルソアンの言うテラス席がある。テーブルは入っていない。そこら辺は自分で用意しろということなのだろう。

「素敵空間でござるね~」

半蔵門線があちこち覗いて回っている。

「ここのキッチン、アランブレより大きい……」

コンロなどは入っていないが、たぶん作業台が広いのが案山子の心に刺さっている。

「ここなら醸造台も……」

「無理無理。それは無理。てか柚子はガラス工だろうよ」

「炉を入れるわけにはいかぬじゃろう……」

「許可無く酒を作ったら捕まりますよ~」

ファマルソアンの言葉に、柚子はぎくりと肩をすくめていた。

え、禁酒法的な? そんなあれやこれやもあるのか。

「俺っちの梅酒浸けたのはギリギリせーっふッ!」