軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

312.聖地の図書館にて

個室で寝ていた俺は、起きたとき、メールがチカチカと瞬いているのに気づいた。

それを確認すると、扉を思い切り開く。

「出掛けてくるっ!」

「お、おは。あれだろ、情報ギルド行くんだろ?」

「違う! 聖地の図書館に行かねばっ!」

アンジェリーナさんに、何かお土産はいりませんか? と連絡を送ったんだよ。

そしたらやっと返事が来て、聖地の図書館はどんな感じだったか土産話をしてちょうだいと返信が来た!

俺は、聖地の図書館へ行かねばならぬ。

「にしても!! 情報ギルドにもらいに行ってからにしてくれ! みんなで送ってくからさ」

「だけど早くいかないと……」

「大丈夫だって。図書館は逃げない。どうせ今日もこの部屋に缶詰だと思ってたし、スレ見ないお前はもっと暇だろう。図書館にも送ってやるからさあ」

一応ごねたけど許されませんでした。

ヴァージルに図書館を見る許可をとってもらったら、第7都市の塔へ迎えに来てくれるそうだ。先に用事を済ませると言っていたのでこちらも情報ギルドへ。ピロリは相変わらず肩パンされつつ、無事ゲットしたものを八海山へ渡す。

そのまま塔へ送ってくれて、俺はまた聖地の内側に入り込んだ。

「図書館で何か捜し物か?」

「いや、どっちかというと図書館自体を見たい、かな。アンジェリーナさんにどんな風か説明できるくらいに」

いつもの穏やかなヴァージルだ。

「ああ、想い人か。セツナは一途だなあ」

「当然だろう」

俺が胸を張ると笑う。

「帰りも送るよ。宿を変えたそうだし、そちらまで行こう」

「第7都市の代表選手枠に入れてもらったから、ファマルソアンさんから手厚い保護を受けてます」

「まあ、選手枠は少ないし、こうなるのがまた祭りの1つだからな。仕官への道にも繋がるのでみんな必死だ。応援してるよ」

「ヴァージルも見に来るんだ」

「聖騎士は皆見に行くよ」

図書館はまた真っ白な建物だ。ガラス窓も少なめ。

それじゃあとヴァージルとはここで別れた。

「ヴァージルの試合も楽しみにしてる」

「ああ」

最高にいい笑顔なんだがどこか悪い顔していて、あーこれはまだ許してないな。

図書館はいつも静かだ。アランブレの許可証で入れたし、本を読むスペースもあった。光の取り入れ方が何か工夫があるらしく、館内は照明もそれほどないのにとても明るかった。

ただ、やはりだんだんと日が陰り始めている時間ではある。

ぐるりと見て回った後、司書さんに本をお願いした。

「聖地について書かれている本はありますか? 入門編みたいな感じの」

「はい、ございますよ。だいたいこちらに置かれています」

案内された先の棚を見てとても気になるものを見つけたので取る。

『聖地と原初の魔物』という本。原初の魔物のフレーズに覚えがある。そう、獅子座の神様が言ってた。あれってミュスのことなんだよね。

俺は席に座ってせっせと読む。

この世界は星座の神々によって作られた。

聖地は神々が最初に降り立った場所だ。

光あれば影。

光が強ければ強いほど影は色濃くなった。

だが、神々の前で動き回るのは難しく、濃くなった影はいくつにもわかれて世界へ散った。それが原初の魔物だ。

と言う内容なのだが!!

ミュスちゃーん?? お前そんなに偉かったの?

いや、もしかして勝手に俺がミュスと勘違いしている??

でもさ、と会話ログを漁る。結構ね、大切な会話って抜き出されて、獅子座の神とかいう知識欄に残ってたりするんだよ。ってやっぱりそう。見つけた。

『忌まわしき小動物をこの聖地でも倒しているとは良い心がけだ』って言われてる。

聖地でも倒したのってミュスだし、忌まわしき小動物だ、ミュスだよな。

ミュス……そんなに偉かったの?

あーでも、色濃くした原初の魔物、ただ大きく存在していたら目をつけられるから、小さく薄く分かれて世界中に散ったとかはありそうだな。

ミュスっち、そんな重要モンスターだったのか!! よし、滅殺だ。

改めて心に誓ったところで帰ることにした。かなり時間が経っていて、心配したヴァージルが図書館の外で待っていてくれるらしい。

なにそのスパダリっぷりは。やめてよ。

第7の塔から出て、今寝泊まりしている宿へ。

「これは、すごいな」

「だよね~。超高待遇だよー」

「おや、イェーメールの聖騎士団長様。もしよろしければ食事を一緒にいかがですか? セツナさんたちはこれから夕食ですよ」

「ヴァージル、ここのご飯、めちゃくちゃ美味しい」

俺がオススメすると、苦笑したヴァージルも一緒に夕飯となった。

「あらヴァージルじゃない」

「ご飯、一緒にどうかってファマルソアンさんが」

「ここのご飯は美味しいよッ! 俺もいつかこれくらいの作るッ!!」

大皿でたくさんの料理が運ばれてくる。森の民の食事!! とか思ったけど、宴会料理のお上品バージョンな感じだ。ちなみにファマルソアンさんも一緒に食べるらしい。たぶんヴァージルが来たから。朝食とか昨日とかは俺たちだけで食べてたもん。

「ヴァージル卿も奉納試合に出ると聞きました」

「ええ、予定外ではありましたが、他騎士団長たちの承認も得ました。イェーメールの観戦エリアにセツナたちの席を用意したよ」

「ありがとう」

「やったー! 奉納試合楽しみね」

これでどっちも試合を見られるってことだ。

「席から中央の闘技場までは少し距離があります。スキルなどがないならばオペラグラスを用意したほうがいいです」

「あ、それは買っておいた方がいいな……」

「私の方でも準備がございますから、もし必要でしたらお売りできますよ」

くれはしない。さすが商売人。いや、ファマルソアンさん相手にタダより怖いものはない!

せっかくだしイベントを楽しむ小物も揃えておいた方がいいよね。

みんなでお願いしたらきちんと明日までに揃えますと請け負ってもらえた。

「出るからには勝算はあるんだろう?」

「まあ、最初の乱戦は、きちんと考えてるよ」

「相手もやってくるだろうし、気をつけて。闘技場の中は致命的ダメージを受けないよう秘術が施されてはいるが、ダメージはあるからね」

心配そうなヴァージルに俺たちはニコニコと頷くのであった。