軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

157.クラン合同アリダンジョン攻略

アリの貯蔵庫を破壊し終えると、次のエリアへ移動する。

さすがに上下にダンジョンの一本道を作るわけにはいかなかったようで、横へずっと真っ直ぐな道が続いているのだ。

貯蔵庫は左手に多くあったので、次は右手の脇道へ。

『おう……集合体恐怖症注意報出さないとか、これ』

『いやーっ』

女性アバターがおののいているが、案山子も一緒になって震えていた。

入った1つ目の部屋が産卵部屋のようだった。白い卵がたくさんあって、そばに働きアリがせわしなく動いていた。

まあ、俺もあんまり得意ではないな。

「【メテオストーム】」

『あ、こら、案山子!!』

こちらに気付いていなかった働きアリが、事態を把握する。

「【ライジングクラウド】」

「【アシッドレイン】」

ま、魔法使いが暴走を始めたっ!!!

密集卵部屋は彼らにとって耐えがたいものだったらしく、みんながみんな発狂してしまった。おそろしや……。

『全軍突撃~!! ヒーラー頑張って……』

事態の収拾を諦めたソーダから声がかかり、とりあえず俺は魔法使いにヘイトが向いたのを取り戻す作業に徹した。

卵は部屋の奥の地面に広がっている。あ、こんにちはしてる卵もあるのか……そりゃ耐えがたかろう。

とはいえ、働きアリはそうたくさんいるものでもない。ただ、後ろからの追加に気をつけねばならなかった。

『後衛は俺とピロリで見張るから、とりま殲滅よろしく~』

ソーダも同じことを思ったらしく、ピロリを連れて移動していた。

まあ、人数いるしなぁ。

魔法使い組の範囲魔法をくらいまくった卵たちは無残に砕け散って行く。働きアリは兵隊アリよりスキル攻撃力がないようだ。とにかく群がってこちらを押さえつけようとしてくる。顎が噛まれたら痛そうなのは変わらない。

外殻の堅さは相変わらずだが、それでもさっきより効きがいい気がした。

『とりあえず落ち着いて欲しい』

肩で息をする範囲攻撃をぶちかました魔法使いたちに、それぞれのリーダーが語りかける。一応みんな反省はしていた。

『この先も同じような部屋があるだろうから、まず後方の安全を確認してからやっていこう。なんならみんな部屋に入らなくていいから。うちの半蔵門線に確認させてからにしよう』

入り口を塞げば、羽アリに連絡をしに行くアリがいないので、たまたま巡回に当たらない限りおかわりはなかった。

虫や爬虫類はやっぱり地雷の人もいるから気をつけなければ。生理的にダメ、はどうしたってあるし、仕方ないことだ。

先ほど貯蔵庫が連続して並んでいたように、今度は飼育部屋が並んでいるだろうと、警戒しつつ進んだ。主に身内への警戒だったが。

中のアリの大体の数を把握し、周囲の巡回羽アリを先に片付けて突入からの魔法使い発狂範囲魔法。

『柚子さんは平気なんですね』

『甘いのじゃせっちゃん。この程度の虫なぞ……どんぐりから生まれて来るものを知っている身としてはぬるい』

お子さんの戦利品かっ!! どんぐりは、冷凍するか、茹でるかしてから使おうね。

そうやって、1階の部屋をほとんど潰した。

『保存庫と育成部屋ばかりだったな』

『気のせいか、刃の通りがよくなってる気がするんだが』

『あ、僕も思いました』

ダインと黒豆の言葉に、前衛たちが頷く。

『保存庫破壊したから、栄養少なくなったとか?』

『壊してすぐ弱るというのは……まあ、虹色ギミックダンジョンみたいな前例もあることだし、なくはないかと』

『これがこのダンジョンのギミックってことか』

黒豆が意見言うごとにおねいさんたちが、うんうん、きっとそうだよって褒めてるの、なんかけなげというか、褒めて伸ばす子育てみたいになってて段々面白くなってきた。

『それじゃあ2階に降りようか』

1階部分を全部網羅して始末するのにも結構掛かってる。ゲーム時間内3時間ほど。

2階は兵隊アリが多くなるが、やはり明らかに刃の通りがよくなっていた。

『栄養取れなくてお肌ボロボロとか?』

『やだ~かわいそー』

『質のいい食事と、睡眠て大切よね~』

『わかるーっ』

この会話のどれかがピロリですよ。

ホントRPえげつないな。

2階の最初の小部屋はなんと、兵隊アリの休憩所でした。出動待機所?

即戦闘。

「付与なくなりました、お願いします」

30分で切れるから、結構大忙し。途中から少し時間をずらしてかけるようにさせてもらった。付与したら都度譲渡してもらうようにも。交代で魔法使いは休んでMPを回復したり、そこら辺の采配はリーダーたち3人が上手にやっている。

たまに一緒に狩りをしたりするとは言っていたから、お互いのスキルはだいたい把握はしているらしい。

『マスターまた硬くなってません?』

『へへ、盾強化してもらった』

『え、いいな。どこで?』

『イェーメールの鍛冶屋』

『あー、あの飲兵衛ドワーフたちか。NPC、なかなか心許してくれないからなぁ~。日本酒じゃもう懐柔できないし』

定期的にEP回復がてら座ってMP回復もする。

『次の部屋、また貯蔵庫でござるよ』

『お、アリ弱体化はかどる?』

やはりあからさまに殲滅が早くなってきていて、とうとう案山子の【鑑定】に変化が現れた。兵隊アリ、の表記の後に、『弱体化10%』と出たらしい。その後は全部のアリが10%弱体化されているとの表記が出た。

兵隊アリはもちろん、羽アリや働きアリにもだ。

つまり、女王アリにもそれが期待できる。

『こういったものは、プレイヤー同士じゃないと難しいな』

『確かに、NPCにこの仕様を納得させるのは大変でしょうね』

ヴァージル生真面目だろうから、真剣に色々考え出しそう。

兵隊アリの詰め所と貯蔵庫が混在している。なるべく詰め所は避けて、貯蔵庫だけを攻め入ることにした。

『これでだいたい貯蔵庫は始末できましたね』

そうやって来たのは、地下3階への道。この先には女王アリがいる。

『じゃあ、アライアンス解いて、誰が行きましょうか』

『別に俺でもいいよ?』

『私も構いませんよ』

突然の会話に俺は戸惑う。

すぐそばにいた案山子を見ると、初めはなんだと見つめ返して来たが、ああ、と笑った。

『今から女王アリが弱体化してるか見に行くんだよッ』

『1人で?』

『数人で、かな。ほら、女王アリの酸攻撃防ぐ術まだ考えてないでしょッ? 全員で行って倒してもいいけど、多分無理だからッ』

『この人数いても?』

『あの酸攻撃結構エグかったよッ。ヴァージルのスキルがなかったらあの時点で全滅。対策考えてないから今日はアリの弱体化確認だけッ』

『なんか意外。慎重なんですね』

『この間はちょっと、俺ら調子に乗ってたというかヴァージルにアランとか高火力2人がいたから、いけるんじゃないかと錯覚しちゃったからねッ! 今日みんなと攻略してて感じたでしょ? あの2人の火力ヤバイッ』

それはほんとそう!