軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

149.アリダンジョンへ

フルメンバーでイェーメールの酒屋で待ち合わせすると、どうしても目立つ。

案山子とピロリが目立つ上に、今はキラキラヴァージルがいるのだ。

どこからか現れた女性たちは、一定の距離を保ってこちらをチラチラしていた。

「すまんのじゃー! お待たせなのじゃ! ヴァージルとお友だちも今日はよろしくなのじゃ」

納品に走っていた柚子を無言でパーティーへ招待し、八海山が即ポータル。

ウロブルに到着したところでまた悪目立ちしていた。

ウロブルのダンジョンは、西の入り口を南へ抜けて、道ばたで休んでいるおじいさんに、質問すると道が出来るという。パーティー内にそのためのクエストを終わらせているプレイヤーがいればOK。ピロリが喜んで昨日終わらせたそうだ。

「こんにちは、おじいさん。最近変なモンスターがここら辺でうろついてるって話を聞いたんだけど」

「ああ、真っ黒なのがぞろぞろ歩く姿を見たんじゃが……誰も信じてくれぬ」

「あらそうなの? 私は信じるわよ!」

そして、彼は自分の後ろの茂みを指さす。

通れなかったはずのそこが道になるという寸法だ。

『こんなところに抜け道があったのか』

『来訪者は本当にすごいな』

まあ、必死にさがしますからね。

今日のパーティー名は『ガンガンいこうぜ』だ。煽っちゃダメだよこの2人。水でモンスター元気にさせてぶったたくとかやる、結構エグいお2人よ。

まあ、そんな風に話しながら通ってる後ろでまた同じようなやりとりが繰り広げられている。ヴァージルたちはそこら辺は気にならないようになっているらしい。

『新しいダンジョンはわくわくするな』

アランが楽しそうだ。

『風付与が効くらしいので、今日は俺が付与係です』

『MPが足りなくなったら俺が渡すよ』

ちらりと柚子を見るが、何も言ってこないのでここはヴァージルにお願いすることにした。

『あそこかな?』

前方に土のこんもりした山が見える。

『よし、それじゃあ、羽アリは即潰します。アランさんの弓は魔力を消費して矢をつがえるとか?』

『そうだね』

『じゃあ、1匹目は半蔵門線の【投擲】、2匹目はセツナの【投擲】、3匹目はアランさんの矢で行きましょう』

段取りの説明が終わったところで俺はみんなの武器に付与を始める。同時に八海山もバフを飛ばした。

『俺らは回復に回らなくて平気かな?』

『ダメージを受けているのが5人くらいまでなら俺の方で回復リカバリーまで出来ます』

『わかった。アランと俺の回復は後回しでも大丈夫だよ、今日は盾も持ってきたし、回復も自分の管理はできる』

索敵は半蔵門線の【気配察知】に頼ることにしている。今回は漏らしがパーティー壊滅に繋がるからだ。とはいえ、スキルの熟練度を上げるためにも俺は使っていく。

半蔵門線の斥候はとても、わかりやすい。パーティーチャットは漏れ聞こえないので、そこできちんと方角と何匹目か報告してくれるのですぐ反応できる。

おかげさまで【投擲】は日々ミュス狩りで鍛えているだけあって、的確に羽根に穴を空けることが出来た。減った分の石はまたダンジョン内で拾いつつ行く。

羽根に穴の開いたアリは落ちかけているときから詠唱している【ウィンドカッター】や、ピロリの剣に始末されていく。

ソーダとヴァージルは余計なことはせず、待機していた。羽アリは蟻酸を吐かないようだ。ただ、強靱な顎に挟まれたらとんでもないダメージを喰らうらしく、落ちた時のアリの様子によっては、ヴァージルやソーダが盾を構えて次への行動に備えていた。

『ここら辺から羽アリが増えるって聞いてるから気をつけよう。羽アリ対処に追いつけなくなったら、柚子の【フロストサークル】を』

『ハイなのじゃ!』

3匹目まで出るのがまれだったのが、5匹くらいは普通に出るようになってきた。そうなると、落ちた羽アリを始末するのに少々手こずる。

『俺も始末の方に回ろう』

ヴァージルも守るだけじゃなく、殲滅の方に動き出した。アランは落とす目的で羽根を狙っていたのが、途中落ちて行くアリに2撃目を入れて、それでアリを倒せることを確認してから、身体めがけて矢を打つようになった。

NPCってパーティーでもこんなに柔軟に対応できるんだなぁ。面白い。

アランとヴァージルがいるのでまったく不安なく進むことができた。

『それじゃあ、地下2階に行くよ!』

『おーっ!!』

アランがめっちゃやる気になってる。始終、楽しい楽しいと言っていた。訓練ばかりで飽き飽きしていたそうだ。

地下2階は、兵隊アリもセットでやってくる。とにかく動けるものを減らそうということに。

羽アリの移動距離や、相手からの視認距離も把握できたところで、半蔵門線が少しだけ先行することになった。数に弱いのでほんの少しだけだが。

『羽アリ3匹、アリ7匹。そちらの角手前に【フロストサークル】展開準備……詠唱開始』

八海山のバフ管理もそうだが、みんなそれぞれ仲間のスキルの詠唱時間や、クールタイムなどの時間管理が抜群に上手い。

【フロストサークル】が展開しそうな瞬間、角から半蔵門線が現れ、ギリギリ通り抜けてこちらに来る。

アリたちは角を曲がったら【フロストサークル】に突っ込む形となった。難を逃れた羽アリを、俺、アランという順番で打つ。

【フロストサークル】の魔法陣が消えると、すぐさま魔法や物理で順番に殴って行くのだ。ヴァージルの風付与剣は1撃、ピロリは2撃。魔法は少し効きにくいのか、知力マシマシの【ウィンドカッター】でも倒しきれず、途中からピロリが【ウィンドカッター】が入るアリに1撃を加えるという形になった。ヘイトがピロリに行き、それをソーダが盾で守る。

俺と半蔵門線は避けながらとにかく延々叩いている。風の短剣スキルとか、剣スキル何かいい物は出ないかなぁ。

これが1つの集団を倒す時だ。

しかし、たまにどうしても2つの集団とぶつかってしまうことがある。

そうなると阿鼻叫喚……というか、ヴァージルとアランが本気を出す。

この人たち、様子見しながら戦ってますーっ!! 聖騎士団やべーっ!!

柚子は基本【フロストサークル】連打になり、その柚子へヘイトが向かないよう、羽アリを落とした後の俺と半蔵門線は氷が割れて動き出したアリに【投擲】する。

残りをなんとかヴァージルやピロリに1匹ずつ始末してもらおうと思ったら、大技出てきた。

「【風塵】」

凍ってるアリを思い切り横に薙いだら、粉々になったぁ……!?

「何そのスキル!!」

「風付与の固有スキルだね。セツナも付与と相性のいい長剣を持てばできるよ」

笑顔の後のアリの残骸。

それでも、ドロップはちゃんと手に入るというウマウマ仕様だった。