軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

118.レインボーシータートル

ヴァージルはまたもや夜中でも問題ない狩り場を選定しておいてくれたらしい。

【夜目】がかなり育っていて、確かに暗いけどそこまで困らない。ヴァージルもどうやら同じらしい。この人のスペックってどうなってるんだろうな?

うちのぎょろちゃんは夜の闇に映える。銀色のボディーが、己が噴射している炎に照らされてキラキラと輝いている。

隠密行動に向きません。

反対にシュヴァルツは夜の闇に溶けるタイプ。

ただ問題が、上に乗ってる人がまぶしいのよ……。おかしいな、グレーのローブ着てるのに、お顔辺りが輝いて見えますよ。

またもや始まりの平原で騎獣を出すと、側に潜んでいたと思われる女性たちがきゃあと押し殺した声を漏らしていた。ダダ漏れお漏らしだよ。

狩り場まできたら面倒くさいな~と思っていたら、いつの間にかついてきていない。

さすがにそこは常識的に考えて通報もあり得ると遠慮してくれたのかな? まあそこら辺分別があるなら問題なかろう。

あの顔追っかけしたいのはわかるから、適度な距離を保ってくれるのなら別に構わん。アイドル税だこれは。

『セツナはお金も稼ぎたいと言ってたろ? 付与には相手の属性を見極めるという力も必要になってくるんだ。どうせ付与するなら属性的に有利なものが一番だからね。【属性看破】を育てて、金銭的にもプラスになるような狩り場だよ」

金羊毛代、一瞬で飛ばしたんで助かります。

イェーメール方面へ走り、さらに普段行かない道を行ったところで、……砂浜!?

夜の砂浜ロマンチック……なんてなるかーい!!

『セツナ、あそこの大岩の上に降りよう』

砂浜ビーチの真ん中に、騎獣が降りられるほどの岩があった。

『ほら、海辺にたくさんいるのが見えるか?』

石に戻す前に赤水晶をあげた。べろりんと美味しそうに食べる姿に和む。可愛いなぁ。頭を撫でて、石に戻した。

ヴァージルの指先を辿ると、何かがうごめいている。

『夜だとこちらの方がいくぶんわかりやすいからな』

何? と思っていると……わあ……亀だ。ウミガメっぽい。手足がひれみたいな形になっている。

『レインボーシータートルだ。それぞれ何かしらの属性を持っているんだが、その属性しか魔法ダメージが通らない。そして、その属性の攻撃を仕掛けると、大きく膨らむんだ。それを倒せば、通称レインボータートルエッグと呼ばれる、石が手に入る。その属性の色になるんだが、貴族たちの間で高値で取引される』

『おおお……お金の匂いがします』

『小粒だけど宝石としてはとても良質なんだよ。もちろん手に入る確率はかなり低いけど、1つ得られればそれだけでプラスだろ? セツナがその岩から属性で攻撃して、当たったとき俺が下で一撃で始末する。頑張って当ててくれ』

なんか、最近同じようなことやったな。心の目で見ちゃいけない……あー、【鑑定】スキル手に入れるときのやつだー。あれから行けてない。今度また行かないと。あそこなら1人で十分だから、ミュス狩り控えめにして行こうかな。

『リンクモンスターじゃないから、そこら辺は気にせず。当たったら一撃で始末できるから、どんどん打っていいよ。ただ、闇雲にでなく、きちんと仄かに光る属性を見極めて』

そう言うとヴァージルは1人岩を降りていった。

よおし、頑張っちゃうぞ~!!

【鑑定】も大変だったけど、【属性看破】も大変だった。

いやーなかなか当たらない。ただ、【鑑定】のときとちがって、外れ属性だと亀さんはまったく無反応なので俺の5属性総当たりが出来ることだ。

そしてその5つにも反応しないやつは、俺の知らない属性ってこと。

他のユーザーがいないので、迷惑になることはないので手当たり次第頑張ってみる。

当たりを引けば、本当に大きくなる。ヴァージルの背の高さより、顔が大きくなるのだ。もう、下に亀さん潰れておりますよ。

それをヴァージルが背中の甲羅を割る勢いで真っ二つにしている。

倒すと空気が抜けたようにしぼんで、ドロップあるかないか! になった。

潰される位置にいた亀さんも無事。

30ほどやったところで、ヴァージルが声を上げた。

『セツナ、石が出たよ』

『わーーーい!! 金持ち~』

『はは、ちなみに私の剣に付いてるこの石もレインボータートルエッグの1つだよ』

『お高そうな剣』

『正式に聖騎士となったとき、父上から贈られた物だ』

お金持ちさんだ。

魔法打ちながら、確かめました。なんと、卵宝石さん、お1つ250万シェルっ!!

きゃー素敵っ!!

ベッド代とかすぐじゃん。

修繕費とか、次の宝珠見つけたときの改造料とか、かなり助かる。

しかし、それだけ高いのに、ユーザーが全然いない。

謎だった。

まあヴァージルいるし、その方が助かる。

『セツナの属性も3回目くらいに当たるようになってきたな。MPは?』

『あーなくなります』

最初の魔法、使用MP少ないとはいえ、MP自体が少ないのですぐ枯渇。と、ヴァージルがジャンプして岩の上に。

人のジャンプの高さじゃないんよなぁ。

「【MP譲渡】」

ぽわんと光って俺のMPが満タンになりました。

見かけ通り知性的なお顔立ちをされているヴァージルさん、MPもたくさんあるようで、しかもこの便利な【MP譲渡】によってパーティーメンバーにMP分けてくれるのだ。そして、やってもらったら俺にも生えました。

こうやって繰り返し狩りをして、夜が明けて、お日様が昇って来る頃には【属性看破】が生えて、さらに熟練度が上がっていっている。亀さんの周りにぼんやり属性の色が見えるんだよね。夜の方が確かにこれはわかりやすいかも。日の光がちょっと邪魔だ。

たまにEP回復にご飯を食べる。ヴァージルにもあげた。牛丼渡してみた。考えてみて、イケメンがご飯粒ほっぺたに付けながら牛丼かっくらってる姿。指摘すると照れくさそうにそれを取ってぱくりと。

マジでなんか変なものに目覚めるぞこれ。

怖いわー、イケメン怖いー。

『そろそろ時間だね、帰ろうか』

双子座の加護、仕事したのだろうか。いや、したんだろう。

レインボータートルエッグ、5つ手に入りました!! きゃっほおおお!!

しかもまたヴァージルさん、全部くれるって。

『いや、さすがにそれは』

お高いんですよ。

『うーん、じゃあ、代わりにさっきのご飯もらえるかな?』

牛丼気に入ったっぽい!

『クランハウスにたくさんありますけど、これ、案山子さんが作ったんですよ。俺なんもしてない』

いや、牛狩った時のやつだから一応してるけど、対価として問題外な気が。

『今のところ武器も防具も間に合っているから、必要ないんだ。……それじゃあ、もうすぐ謹慎も解けるから、次の休暇にまた狩りに行こう。それまでに付与のためにやっておいて欲しいことを言っておくから。きちんと学んでいてくれ』

ヴァージル先生だぁ~!!