作品タイトル不明
第300話聖騎士に最も必要な装備
「……やっぱり聖騎士の本分は守り。盾だわ」
僕はしみじみと呟く。
ダンジョンアタックにしても、突発的な事故にしても、誰かを守るその行為こそまさに聖騎士の最も重んじるべきところだと僕は確信した。
いかに強力な武器があろうと、僕の役割はタンク。すなわち敵の攻撃をその身で引きつけるのが役目なのだ。
そうすれば、誰かの大ピンチにもっとスタイリッシュに割り込める。
僕がハンマーで殴り倒すというのは最後の手段なのだ。
だが、守る事。
そして盾は、なくてはならないと断言出来た。
『どうしたんだね急に?』
攻略君が訝しんでいるけれど、僕は真理に気が付いただけだ。
「いや最近武器作ったり相談したりしてたから、自分には何が必要かなと考える機会が多くて。この間のトラブルも割って入る感じだったからねぇ」
『なるほど? それで盾か……素晴らしいんじゃないかな? ならば、ふむ……じゃあ、取りに行ってみる?』
「……行けるのか? 攻略君」
そう言ってくれるだろうと期待していた通りの答えを返してくれた攻略君に僕は念押しをすると、攻略君は答えた。
『当然だろう? 君は100階まで来て、ダンジョンを知り尽くしたみたいに思っているかもしれないけど、全くそんなことはないのだと教えてあげようじゃないか』
「というと?」
『そりゃそうだろう? 最短ルートを進むってことは、危険を回避してるってことだよ。ついでに言うなら危険な場所にこそ価値ある財宝はあるってことさ』
「た、確かに」
最短攻略をしたなら、最低限の危険しか潜り抜けていないという事か。
ならば配置されている最も厄介なモンスターやトラップも僕らは避けているはず。
そして宝物もまた危険の先に配置されているのだとしたら、その多くを取り逃がしているはずである。
そしてそういうのを語らせたら、攻略君の右に出る者がいないことは容易に想像がついた。
『では始めようか? トールハンマーに見劣りしない、盾入手チャートを。ああ……でもその前に』
「……どうするんだい? 攻略君?」
『じゃあ―――ホームセンターに行こうか?』
「……」
ああ、なんか懐かしい響きですね。
ならば大丈夫。僕はホームセンターがかなりの確率で問題を解決してくれるのだと経験から理解していた。
しかし指定された物を買い集めた僕は、思わず尋ねていた。
「……これで何をしろと?」
攻略君が今回何を置いても手に入れろと推奨してきたのは、何の変哲もない鏡だった。
自分の姿をバッチリ映す鏡には、不安そうな僕の顔が綺麗に映っていた。
『攻略方法としては割とスタンダードな物ではあると思うんだけどね』
「うーん……スタンダードな攻略法とは?」
『さて、見たらわかるかもしれないが……見てはまずいんだよなぁ』
妙に具体的な心配をする攻略君に、僕は妙にピンと来て、少しだけ反応して体を震わせる。
「……待って。なんだか、ぼんやりと言いたいことが分かってきた気がするぞ?」
『それは素晴らしい。話が早くて助かるよ』
鏡がメジャーな攻略法。そして見てはいけないモンスターとくれば、性質としてはアレに近いか?
「……メデューサとかそんな感じ?」
『まさしくそんな感じだ。石になりたくなければ、鏡をうまく活用することだね』
なるほど?
確かにこれはダンジョンの攻略方法としてはとても古いものかもしれない。
あのメデューサ討伐とは、ちょっとした英雄気分だけど、また厄介で、それでいて気になるチョイスをしてくれるものだった。