作品タイトル不明
第205話反省会
「「「はい?」」」
僕が本日の流れを説明すると、綺麗な点がみんなの顔にならんでいたが僕の台詞は変わらない。
「だから……ここのダンジョン最後まで攻略しちゃった♪」
「しちゃったじゃないです!」
「どういうことなのそれ?」
「いやいやいや……それって大ニュースだから、冗談……冗談だよね?」
「あっはっはっはっは……やっちまいましたね」
勢いって怖いよね。でも成果は上々だったと自負していた。
「その成果の一つが、このモンスターのテイムですね」
そして是非とも彼女達にこそ見て欲しい。
僕はさっそく金色の鎧を着たヴァルキリーを呼び出して見せてみた。
突然部屋の中に現れたヴァルキリーに対する反応は様々だったが、龍宮院先生はポカンと口を開けてそのモンスターを言い当てていた。
「ヴァルキリーだ……見たことがある」
「え? 先生見たことあるんですか?」
「ああ。少し前、長期の探索隊に参加して戦ったことがある。館から無尽蔵に出てくる厄介なモンスターで、恐ろしく強い。その時の探索隊は攻略をあきらめて撤退したんだけど……どうやって倒した?」
おおっと龍宮院先生がこのダンジョンの攻略に参加していたとは。
本当にすごいなこの先生。
ただ、せっかく説明してもらったが、僕の戦い方はシンプルなものだった。
「普通に殴って倒しました」
「…………そうだった。こいつ普通にレベル高いんだった」
「こいつて。生徒が傷ついてますよ先生」
「お黙りなさい。ちょっと自重しないと、ひどいことになっても知らないぞ? いい加減」
コラと軽めのチョップを額に食らってしまったが、注意の内容の方がおっかない話だった。
「……それを言われると怖いんですが、もうなんかダンジョンと一緒に生きていこうかなって思い始めてますよね最近。もはやアクセルやや踏みの時期は終わってしまった方がいいんじゃないかと……」
「まだベタ踏みの自覚がないのかい!? どういうことなの!」
頭を抱える龍宮院先生はとても良い先生だが、必要なことだったでしょう?
ダンジョン探索者の学校に入った時点で、切っても切れない間柄なら、深入りせねば始まるまい。
世間体を気にして必須技能の習得を怠ったら、明日は骨なんて笑えない話である。
みんなできる事なら、そう例えば……彼女のように肩の力を抜いて考えてもらえないだろうか?
目をキラキラにしている浦島先輩はもちろん僕の呼び出したヴァルキリーに興味津々である。
「えぇぇ? 大柄の女の子とかアリなの? 初めて見るモンスター? めっちゃ美しいけど、無表情な娘だねぇ」
「そうなんですよね。学校の天使系はもっと表情豊かなんですけど……こういう性質なのかずいぶんクールです。しゃべりませんし」
「へー。サキュバスとも違うんだよね? 完全な人型かぁ……体大きくてパワーもありそうだし魔法も使えそう。いいなぁ。私も明日、潜って来ようかな?」
「……実は他に30体以上いるんですけど……」
「えぇ? どんだけ好きなのー? …………何が起こったのワタヌキ後輩に? ロリっ子から背が高い女属性に鞍替えしたの? なんかこじれちゃった? ダイジョブそう?」
「いやどうでしょうね? 自分より大抵の女性は背が高いもんで……ではなく、やっぱりロリコン疑惑の発生源浦島先輩っぽいなぁ……」
「そ、そんなわけないじゃん? 身内でちょっと語ったことがあるくらいだよ。言わせないでよ恥ずかしいなぁもう」
「……知りたくなかった」
この女性陣はほんとにもう、油断も隙もない方々だった。
そして続いての質問は、ダンジョンに興味深々なレイナさんである。
彼女はずいぶん興奮しているようで、前のめりで僕に詰め寄った。
「そ、それよりもダンジョンは攻略したらどうなるんですか! そこ大事なところですよ?」
「今回は50階に到達してボスを倒したら1階に強制転移かな? 攻略報酬っぽい宝箱が出たけど」
「ほぅ……ずいぶん浅いんですね。いやいや、それは感覚がマヒしてますか。それにクリア報酬……ダンジョンは周回可能だと?」
「あのダンジョンはそうってだけかもだから。学校のダンジョンは全然深いわけだし。報酬だって同じものが毎回出るとも限らないよ?」
「そうですね……検証したいところですが今はガマンです」
ぜひそうしていただきたい。
今から攻略なんて言われたらどうしようかと思った。
そしてヴァルキリーをとても楽しそうに撮影していた浦島先輩は突然声を上げた。
「は! 閃いた!」
「どうしたんですか先輩?」
「ヴァルキリーに白いドレスと黒髪長髪ウィッグつけたら……八尺様っぽくなって大人気だったんじゃね?」
「……確かに?」
まずそこに着目するのはさすがすぎます、浦島先輩。
それは中々好評そうだなって思ったけど、龍宮院先生からは止められてしまった。
「いや、それやったら大騒ぎになるからやめよう? ヴァルキリー見たことある人は少ないけれども皆無なわけじゃないんだよ?」
「大丈夫ですよ。トップ探索者でイベントに来るのなんて先生位のものです。来てたら私が分かりますって。こっそり一般で参加するくらいなら声かけてくれればよかったのに」
「なななな何言ってるんだか……。してないから……してないよ? 見間違いだから」
何だやっぱり参加してたんじゃないかなんて、野暮なことは言わない。
こういうスタイルもまたアリ。当然である。
気になるところは本当に人それぞれだなぁなんて考えていたのだが、最後に桃山君が、楽し気に今回のオチとして不穏な話を投入してきた。
「まぁでも、ワタヌキ氏にも困ったものでござるよ。今日はいきなり女子かな? って思うくらいのすごいイケメンの友人を連れて来て、一緒に探索したんでござるよ? 正直反応に困ったでござ……」
「そこのところ詳しく! 桃山後輩!!」
「重要なところですよ!?」
「……私も、もう少し詳しく探索の話を聞こうかなぁうん」
「……」
この人達は……普段頼りになるのにたまにすごいアホになるなぁ。
そして桃山氏? 君、分かっててやっただろう? 僕の今日一日の涙ぐましい努力を無にする気かい?
まぁ大抵のことは笑って許す。
今回だって妙な属性が付いたところで笑って済ませるつもりだが……度を越えて話が膨らみ続けるのなら、そろそろ釘は刺さねばならなかった。