作品タイトル不明
第155話サブカルチャー研究部の悪だくみ
一方、サブカルチャー研究部の面々もわざわざ暗幕まで使って薄暗くした部室にて顔をそろえていた。
議題はもちろん、生徒会合同探索についてである。
そして雰囲気を作ったその空間にて、最初の一言でレイナさんが口火を切った。
「……そろそろシバきませんか? 生徒会?」
「いやいやいやいや」
「待て待て待て待て」
「……ええっと、気持ちはわかるけど落ち着いてレイナ? 彼女達も悪気があってやってるわけじゃないんだよ?」
思わず総出で止めてしまったが、レイナさんはそれでもご立腹だった。
「悪気がなければなお最悪です! ワタシは辞めると宣言して、条件を飲みました! 書面にもしていない口約束であるにもかかわらずです! なのに放課後の活動をこうまで邪魔されるといい加減許せないです! 自由を守るには行動あるのみ! 新たに身に付けたこの力を見せつけ! ワタシの正当性を骨の髄まで分からせるのです!」
うん。レイナさんから吹き荒れる魔力が嵐の様だ。
レイナさんからしたら留学先でサブカルチャーに触れたいというささやかな目的をやっと達成しているのに、いちいち妙な横槍が入ってる感じか。
僕らは何か生徒会凄そうって感覚はあるけど、レイナさんにしてみたら生徒会に所属って言われてもステータスになるかは怪しい。
それでも一度は妥協して、コネまで駆使して正式な居場所をもぎ取ったというのに、今度は別のアプローチでちょっかいかけてきているようにしか見えないと。
順調にレベルも上がっているんだし、不満に思うのも無理はない話かもしれない。
「まぁちょっかいというのは間違いないかなぁ。生徒会長にしたって、あわよくばこっちの情報を有効活用する気満々でしょうしね」
浦島先輩も苦笑いだが同意して頷いた。
「こう……義務とか責任を盾に、おいしいところだけ持って行こうとしている感じもするでござる」
「……うーん。まぁねぇあんまりいい気分でないのはわかるんだよ」
実際、今一こちらを信用する気がないこともヒシヒシと感じた。
余り好意的な空気ではないと感じるのは生徒会メンバーの態度を見たから? それとも今までの因縁ありきか? ……まぁぶっちゃけどっちもだ。
生徒会長と副会長が友好的でもそれ以外が不満があるなら、割を食うのはこちらだった。
レイナさんはフゥと息をついて、パタパタと顔を手で扇いでクールダウンすると、もちろんわかっているといったん正気のアピールをした。
「ワタシも本気で戦うつもりはありません。治安を維持しようという生徒会のスタンスはとても良いことです。しかし簡単においしい汁が吸えると思われるのは心外では?」
「まぁそうかもね」
「だから真っ当に役立つ情報を提供するのはどうです? ワタシ達がいつもやっているレベリングは実質再現は不可能、あのモンスターと一切出会わない勘の良さはもはやスキルです。強行するにはマスターワタヌキの協力は不可欠。しかしそんなもの教えたところでワタヌキが大変になるだけ」
「え? ……まぁそうかな?」
生徒会の人達に最適なレベル帯はジャングルクルーズ辺りだろうけど、僕がいなきゃ沼地にたどり着く前にモンスターに襲われる可能性が高かった。
「だからきちんと効率よく戦闘をする方法を提供してはどうです? 普通にキツイ奴です!」
「まぁ、それもそうだよね。私らもつきっきりで面倒見るつもりも義理もないんだし、自分達で今後も鍛錬できなきゃ、有益とは言えないか……」
「そうでござるな……いつものようなパワーレベリングは、信頼ありき。今の生徒会では無理でござるよ」
それはそう。
同じ手段でレベルを上げることは、事実上現実的ではない。
「そうか、どうしようかなぁ……」
ちらっと僕らは龍宮院先生を見る。
龍宮院先生は椅子に座って龍のショタっ子を撫でまわしていたが、僕らの視線に気がつくと苦笑いして頷いた。
「ほどほどに。というか現実的な範囲内で効率のいいレベリングを知っているならむしろ教えてあげて欲しいかな?」
なるほど、みんながそういうのなら仕方がない。
僕は悪い虫が騒ぎ出して、ニヤリと笑う。
では常識的かつ画期的なプランを攻略君と共に考えていこうか。
大丈夫、攻略君に掛かれば言う事を聞いている限りは死なないし安全だ。
そう―――言うことを聞いてくれている限りは……命の保証はできる。
だがそうでないならその限りではないけれど。