軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第199話 アリシアの甘える

夜、屋敷のリビングにて。

「お風呂あがりました」

「じゃあ次は俺が入ってくるな」

「はい、ごゆっくり」

今日の一日が終わり、お風呂に入る。身綺麗にしてお父様にそれを譲る。

「あら? アリシア、どうしたんです? 髪を濡らしたままにして」

「えっと、その……」

怒られるかもしれない。それを覚悟していると、お母様は柔和な笑みを浮かべながら手招きする。

「ほら、いらっしゃい。乾かしてあげますから」

「……ありがとうございます」

お母様の前に座り、頭を委ねる。お母様は魔術で温風を出し、私の髪を乾かしてくれる。

その手つきがとても気持ちよく、目を細める。

「なんだかうれしいです」

「何がですか?」

「向こうの世界では立場もあって、こういったことはできなかったですから」

「お母様……」

確かに、こういったことはそれを専門とする使用人が行っていた。

こちらの世界に来たことでお母様との触れ合える時間は増えたといっていい。

でもこうして衣食住以外で世話を焼いてもらうことはなかったように思える。

身体的な心地よさとは別に心の温かさを感じる。

本当にそれが心地よく、思わず頭を預けてしまう。

「今日、何かあったんですか?」

「えっと、今日友人たちにしっかり甘えろと言われてしまいまして」

「まあ、私はそのお友達には感謝しないといけませんね」

首を傾げると、お母様は私の頭を撫でながら言った。

「アリシアは良い子です。それは素晴らしいことよ? でも、もっと甘えても良いのですよ?」

「……でも、甘え方がわかりません」

「そうですねぇ、だったら、またこうして髪を乾かさせてくださいな」

お母様のその言葉に私は頷く。

「ふふっ、嬉しいです。よかったらお父様にも甘えてあげてくださいね?」

「どうしたら良いのでしょうか」

「いっぱいお話してあげてください。あの人もそれを待っていますから」

「あがったぞ~……って何の話をしてるんだ?」

「秘密ですよ」

「え、ズルいぞ」

お母様がポンポンと背中を押してくれる。

「お父様、その」

「うん? どうした?」

「私が渚沙ぐらいの頃のお話が聞いてみたくて……」

お父様は柔和な笑みを浮かべて答えた。

「もちろん。何から話そうかなぁ」

「初めて寝返りをした時の話なんてどうでしょう?」

そんな話をしながら夜は更けていく。

今日も平和です。