作品タイトル不明
第148話 制服デートそのいち
雲が程よく出た気持ちの良い晴れの日。
俺たちは学校を終え、最寄りからニ三駅ほど離れたところに来ていた。
「まずはどこから行きましょうか」
「そうだなぁ、少しお腹が空いたから腹ごしらえからでどうだ?」
場所としては良く訪れているショッピングモールの近く。
何度か訪れたことはあっても、二人きりというのは久しく、なんだか新鮮な気持ちだ。
「あ、このお店」
「知っているのか?」
「はい、以前二子山さんから教えてもらったカフェなんです。たしか学割があって美味しいのだとか」
「じゃあこのお店にしてみるか」
「はい」
白を基調とした北欧モチーフと言った店構え。
席数よりも空間を優先した店内は半分ほど席が埋まっている。
メニューはというと、コーヒーから紅茶まで手広くやっているようで、軽食やスイーツまでもラインナップされている。
「注文良いですか?」
「はい、お伺いします」
「学割ケーキセットAとBを一つづつ、私は紅茶で、あなたはどうされますか?」
「俺はホットコーヒーで」
「かしこまりました、学生証のご提示をお願いしてもよろしいですか?」
「もちろん」
俺たちは顔写真付きの学生証を提示する。
俺の写真は異世界に行く前だからか、なんだか覇気を感じられず。一方、セレスはというと、写真にあまり慣れていない時期にも関わらず、映りの良い写真だ。
「ありがとうございます、少々お待ちください~」
「久しぶりに学生らしいことをやった気がする」
「確かに、今まで学割が効くお店に行ってないですからね」
「しかも今日は制服だからか、なんだか新鮮だな」
学校からそのまま来たので、鞄は学生鞄のまま。
少々重いが、まあ制服デートだしこれも味だ。
暫く雑談に花を咲かせていると、注文していた商品が到着する。
因みにケーキはというと、俺がモンブランでセレスがマスカットのショートケーキだ。
「んんっ! この世界の甘味は本当に美味しいですね」
「向こうの世界と違って、上白糖がメインだからな。あっちもあっちで俺は好きだけど」
「それでもやはり洋菓子となると、こちらの世界の方が美味しいです」
「それは同感だ」
ケーキを一口、コーヒーを一口。
普段と違うちょっと贅沢なこの時間。
それに追加してこの幸福感はセレスと共にいるからだろう。
「この後は映画でしたっけ?」
「ああ、映画は見た事あっても、映画館は初めてだろう?ちょっと音が大きいけど、臨場感があって映画館ならではの空気が味わえるぞ」
「それは楽しみです!」
俺たちはケーキに舌鼓を打ちながらまた雑談に花を咲かせる。
このちょっとした時間に幸福を感じられる。
それがまた心地よい。
俺たちの制服デートはまだ始まったばかり。