軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

最終話 幸せな結婚の提案

私とリシャール様は、王都を離れてグランドラ辺境伯領へと戻った。

戻ってからもやるべきことは沢山ある。まず、辺境伯閣下の用意してくれた『家』への移住。

復興が進んで新市街に建てられている屋敷だった。

そこで以前、カールソン家で使用人として私に仕えてくれていた人たちと再会する私。

オルブライト夫人が引き抜いて連れて行った人たちだ。あの頃に居たすべての人たちではないけれど、再会には嬉しく思う。彼らは男爵夫人だった私によく仕えてくれた人たちだったから。

昔からカールソン家に仕えていた侍従長や侍女長は流石に居ない。彼らはカールソン家に残ってくれているという。

また人伝えの情報だけど、カールソン家はどうにか落ちぶれずに領地運営しているそうだ。

ハリード様のご両親が合流しただけでなく、ファーマソン公爵家からの圧力が緩和したみたい。

その点はオルブライト商会経由の情報ね。

「あの二人も頑張っているみたいね」

「そのようです。どうにか前を向いて歩いていけるなら、きっといいことでしょう」

「ええ、本当に」

暗い気持ちは抱いていない。だって、私にはリシャール様が居るから。

それから辺境伯閣下への挨拶。聖剣を手に入れたリシャール様の実力を騎士団へ披露。

上級騎士爵にして聖騎士の称号持ち。聖剣を携え、銀の小手を装備した騎士。

ふふふ、とても格好いい。

「……元から強いのだから聖剣は宝の持ち腐れではないか?」

グランドラ閣下がそんなことを言っていた。それは、ちょっと私も思う。

戦力の底上げを考えると他の人に聖剣を持って貰うべきかも、と。

まぁ、そこはそれだ。うん。あの聖剣はリシャール様の物だから。

それから以前、一緒に旅したリブロー商会の皆とも再会した。そして彼らに報告する。

「シスター・エレンの結婚式か! え、もうすぐ? じゃあ、その日まではこっちに留まっておかないとね!」

「ありがとうございます、アナベル様」

そう。私とリシャール様は結婚式を挙げる。

かつてハリード様とは挙げることの出来なかった結婚式だ。

私がちょっとした拘りを持っていることをリシャール様は知ってくれているため、入念な話し合いと多方面への相談の下、絶対に成功させると息巻いてくれていた。ふふ。

それから結婚に向けて互いの家族へのご挨拶。

私の両親も、リシャール様のご両親ももちろん生きているけれど、住んでいる場所が大きく異なる。挨拶に向かおうとしたのだけど、彼らの方からグランドラ領へわざわざ来てくれるという。

どうやら結婚することについては手紙の段階で了承してくれているようだ。

「聖人と聖騎士にまでなっておいて、断る親も居ないと思うがなぁ」

などと言われるグランドラ閣下。ちょこちょこと私たちを気に掛けてくれているのだ。

もちろん戦力的な意味合いもあるのだろうけど。ハリード様とリヴィア様の件で気に病んでいるらしいので、その被害者であった私が幸せな結婚をしてくれることを望んでいるようだ。

魔獣発生については大きな問題は起きていない。

とはいえ、以前のようなことがないようにと、この地を守る者たちの役割はとても重要だ。

森を切り開き、安全を確保する戦いはこれからも続いていくだろう。

「わぁああ、ここがエレンさんのお家!?」

教会併設の養護施設で面倒を見ていた子供たちを屋敷に招待し、歓迎する。

今日は三人ほど、特に私に懐いてくれている子供たちが来てくれている。

「ええ、そうね。ああ、でも正式にはリシャール様のお家よ。『クラウディウス家』ね」

名義人は上級騎士爵であるリシャール様だからね。

それに……結婚したら私の姓も変わるから。

彼らを引き取ることも考えていたのだけど。色々な話し合いを重ねて見送っている。

一時の感情ではなく、将来のことも見越して、彼らの未来と私たちの未来を考えて。

より良い形を、皆でこれからも模索していくことになるだろう。

そして。

私たちの結婚式の日を迎えた。

真っ白なウェディングドレスを着た私は、エスコートをされてヴァージン・ロードを歩いていく。

歩いていく先には白い正装をしたリシャール様。

グランドラ領を挙げての盛大な結婚式だった。どこで話が回ったのか。皆がやる気を見せてくれて。あれよという間に盛大なものになったのだ。

もちろん悪い気分じゃあない。見る人が多くて恥ずかしいな、というぐらい。

王都からはユリアン殿下とセルモニカ公女もお祝いに駆けつけてくれた。

別に辺境伯家の結婚じゃないのに、ちょっと大げさなような……。

でも一応、聖人認定の特別な存在ではあるか。

「エレンさん」

「リシャール様」

私たちの道は交わり合い、そして誓いの言葉を交わす。

かつて交わされなかった誓い。まるでこの日のためにそうであったかのように。

私の運命は、リシャール様と結ばれるためにあったのだ。

誓いの口付けを交わして、私たちは結婚し、夫婦となった。

多くの人々から祝福を受けながら、とても幸せな。夢に描いていたような結婚式を挙げた。

そうして、私たちが結婚したその日の夜。

「リシャール様、私たち、幸せな結婚生活にしましょうね!」

私は『旦那様』に幸せな結婚の提案をしたのだ。

~END~