軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

47.最後の接触 sideノエル

ローズ・フラワー男爵令嬢。

こいつは会う度にこれでもかってくらい好感度を下げてくる。人を苛つかせる天才とも言うか。

「ライン様以外の王子様とメープルシロップ令息?」

クラウディア様の提案通り、俺が気になっている相手だと名前を出したらこれだ。

「……メープル伯爵令息ね」

「って誰?」

本気で言っているのか!? 大体その呼び方も不敬だし、ブライアン様を知らない令嬢がいることにも驚きだ。

数々のアイデアを出し行動力のあるクラウディア様に、妹のアイデアを確実に商売に繋げるブライアン様。国内一有名な兄妹を知らないのか。

あー、そういえばクラウディア様に会った時も本気で知らない感じだったな。仮に上位貴族と婚約できたとしても、こんな世間知らずじゃすぐに破棄されるだろう。

「王太子殿下側近の方よ」

「ってことは……ライン様の側近の1人ね。どの人だろう?」

は? 俺、王太子殿下って言ったよな?

こいつは以前、ウィルハルト殿下の側近は全員ラインハルト殿下の側近のはずだと言っていた。その時も何を言っているんだと呆れたものだが……もしかして王太子殿下の名前を知らないのか!? 平民だってそれくらい知ってるぞ?

「やっぱりメープルシロップさんって人は知らないわ」

「…………そう」

もう突っ込む気にもならないな。

「どっちにしろキースと違ってただの伯爵令息でしょ? そのメープルシロップさん」

「…………」

メープルシロップって言いたいだけかよ。

確かにお二人の父親である伯爵は騎士団長ではない。が、ただの伯爵でもない。というかそもそも伯爵だし……ってもういいか、説明するつもりもないし。

「ちょっと、黙らないでよ! はぁ。そのシロップと婚約できるよう協力してあげるから」

一応苦笑いで返しておいたが、本人がいなくても不敬罪は成り立つんだぞ! 特に上位貴族に対しては。話を進めたい今は注意しないがな。

一応お礼を言っておく。

「ありがとう」

「だから、ハルトは諦めてよねっ」

「……ハルト?」

えーっと、ハルトっていうのはどっちを指しているんだ?

「クリスハルト殿下のこと?」

「それ誰?」

「え?」

「もしかして死んじゃった第一王子?」

「えっと……」

死んでないんだが……まだ勘違いしたままだったとは。まぁ教える義理もないしここは黙っておこう。

……こいつ、ブラック侯爵と関係があったとか言わないよな? これは早急に調べなければ。こいつと会う時に付けられているウィルハルト殿下の影が、きっと先行して報告に向かっているだろう。

「私さ~、ハルトを攻略する前に死んじゃったんだよね」

「死んだ?」

「あっ! 目が覚めたってことよ。てへっ。いい間違えちゃった」

何がてへっだよ。

礼儀とか淑女とか、どこに置いてきたんだ? お前の目の前にいるのは一応子爵令嬢だぞ? 崩れた話し方に、毎回毎回ガチャガチャと煩い。

クラウディア様は『下位貴族だから仕方ないのよ』って仰っていたが、それにしたって酷すぎる。今だって取りこぼした果物を手掴みで食べたぞ?

苦痛だ。この時間が苦痛でしかない。

お二人が俺を信頼してくださってるからそれに答えたくて頑張っているが、全てを解決した後は、今後一切こいつと関わりたくないのが本音だ。そう考えると令嬢のフリも悪くなかったな。

「ハルトっていうのはウィルハルト殿下?」

「ウィルハルト……? ハルトはラインの同い年の王子よ。城に引きこもっているからノエルが知らなくても仕方ないわ」

ウィルハルト殿下が引きこもり? 今も昔もそんな事なかったはずだが?

「って! ノエル気になってるっていってたじゃん! なのに知らないとか矛盾してない?」

「ウィルハルト殿下の愛称がハルトだって知らなかったから」

「ちょっと待って! ハルトってウィルハルトって名前なの?」

「えぇ」

そこから!? 名前すら知らないくせによく諦めろなんて言えるな。これ絶対ラインハルト殿下の名前もラインだと思ってるな。

「引きこもっている人とどうやって会うの?」

「そうなのよ! ハルトに会うには全員攻略する必要があるのに! ほんっと困るわ」

こいつは、攻略とは親しくなるという意味だと思っているんだ。バカにもほどがある。

「ノエルのせいだからね」

「はっ?」

「あなたがちゃんと仕事しないから悪いのよ。お助けキャラのくせにハルトに目をつけるし!」

「…………」

毎回お助けキャラって言ってくるのもムカつくんだ。そんな性格で誰も助けるわけないだろ。あー、苛つく。

「もし会えたとしてその後は? 他の人と同様に、どう動くべきか夢でお告げがあったの?」

「もちろん。でもノエルには教えてあげないから」

「なぜ?」

「ライバルは少ないほうがいいでしょ」

クラウディア様、気があるフリは悪手でした。

「それに私だって途中までしか知らないし」

「そう」

途中で目が覚めたと言ってたもんな。

「まっ、ハルトには婚約者がいないから、会えたらこっちのものよ」

「えっ?」

「なによ?」

「な、なんでもないわ」

婚約者、いるけど?