軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

46.6人目の攻略対象者

ロナルド殿下からの手紙には、続きがあるの。

『そうそう、私以外の攻略対象者は第三王子と宰相子息、騎士団長子息と筆頭公爵家の嫡男なんだけど』

その文で、今までの予想が合っていることが分かった。ここまではいいのよ。問題はこの先から。

『逆ハールートを攻略したらシークレットルートが開くんだよね。でも私は逆ハールート攻略前に事故にあったから、隠しキャラは知らないんだ。

あのね……そのゲームって前作があって、前作はアークブルー王国が舞台なの。気付いたと思うけど私の伯父——アークブルー王兄殿下がメインヒーローだよ。でもごめん。そっちは友達に話を聞いただけで、私はプレイしてないから詳しくは知らないの。

ただどっちのゲームも、悪役令嬢は国外追放エンドのみだってことは断言できるよ。

それでね? 悪役令嬢の子供が出てくるって、次作の発売前からネットで噂されたんだよね。

どう考えても前作ヒロインは伯父上ルート。バッドエンドだし、追放じゃなく自ら留学したわけだけど……前作の悪役令嬢って、ウィルハルト殿下のお母さんだよね。

確証はないよ? でも多分、ウィルハルト殿下は6人目の攻略対象者じゃないかなって。ウィルハルト殿下がヒロインに心動かされることはないと思うけど。

クラウディア、気を付けて』

衝撃的な内容に、思わず『うっそでしょ!?』って日本語で突っ込んじゃったくらいよ。

はぁ……他にもいたでしょうが。悪役令嬢の義弟とか教師とか大商会の息子とかヒロインの幼馴染とか! なんで攻略対象者6人中半数が王族なのよ。

ついウィル様の服を掴んでいる手に力をいれてしまう。

「ディア? 何かあった?」

「……なんでもありません」

それにしてもまさか側妃様が前作の悪役令嬢だったなんて。

ゲームではハッピーエンド後は描かれない。だから前作ヒロインのその後も、悪役令嬢の追放後も、何の描写もないはず。その辺を上手く利用して次作を作ったんだろうけど……制作者も何やってくれるんだか。

ほんっといい迷惑!

でもロナルド殿下のおかげでゲームの情報を知れたのはよかった。正直に言うともっと早くに知りたかったけどね。

いや……先に知っていたら不安に思って余計な行動をしてしまい、悪い方向に進んでいたかもしれない。そう思うと、ウィル様以外の恋愛フラグが折れていると分かったこのタイミングがベストだったのかも。

ところで……ローズは隠しキャラを知っているんだろうか?

「ディア?」

彼女、5人全員の出会いイベントをこなそうとしていたわよね。失敗してたけど。

それは元々ラインハルト殿下狙いだったのに上手く行かず、攻略対象者なら誰でもいいって切り替えたからなのか、誰か1人と恋に落ちるのではなく最初から逆ハーエンド目指していたのか……。

後者な気がする。

「ディア?」

チヤホヤされたくって逆ハーを狙っているの?

そっとウィル様を見上げる。

それとも隠しキャラである、ウィル様を狙っているの?

「ずっと黙り込んでいるけど、大丈夫?」

「ウィル様」

「うん?」

私が直接ローズに接触することは許されないだろうし、私も関わりたくない。

ノエルの女装もそろそろ限界だし、次に会えば情報を得る可能性よりノエルが男だとバレる可能性のほうが高い。

それでも……。

「ウィル様が狙われているなんてこと、ないですよね?」

「どうだろう? 仮に狙われていたところで何も変わらないよ?」

そうよね。ウィル様を狙っている令嬢は他にもいるし、誰に好きになられようと私達の関係が変わることはないと思う。

でもローズが、ウィル様攻略の鍵を知っていたら?

「それでも気になります。彼女は普通なら知り得ないことも知っていましたし」

「うーん。それも一理あるね」

攻略対象者以外も狙っているかもしれないけど、それがお兄様かノエルじゃないなら私はどうでもいい。あっ、一応クリスハルト殿下も入れておくか。

「ウィル様、お兄様、クリスハルト殿下が狙われていないか、直接聞くのはどうでしょうか?」

「えっ?」

「本当はノエルも気になりますが、それはノエルに任せます」

よく考えたらノエルには婚約者がいないし、ローズとどうなろうと本人の自由。ま、もし婚約したらウィル様の侍従は解任されるだろうけどね。

「そろそろノエルの女装が厳しいと思うので」

「それはそうだね。情報を得る最後の機会になるかもしれない」

「はい。なので直接聞くのがいいかと。この際ノエルがその3人のことが気になるため、何か情報がないかと相談するのはどうでしょう」

上手く行けばウィル様攻略の鍵が得られる。

お兄様達の名前を出すことで狙い始める可能性もあるけど、攻略対象者じゃないし。2人に思いを寄せるその他大勢の令嬢と何ら変わらないから、注意を促しておけば大丈夫よね。

「ノエル」

「承知しました」

ノエル、頼んだわよ。ウィル様に続いてノエルに視線を向けると、彼はしっかりと頷いてくれた。

ウィル様を狙っているって言質がとれれば私が動くことが出来る。ヒロインより先に攻略の鍵を見つけて解決する? いいえ、そんなまどろっこしいことしないわ。私は伯爵令嬢で相手は男爵令嬢よ? それにメープル伯爵家って結構権力持っているの。

家の力を使うなんて悪役令嬢っぽいって? 何とでも言えばいいわ。使えるものは使わないとね。

「ふふ」

「ディア……?」

ローズ、あなたがウィル様を狙うなら私は喜んで悪役令嬢になってあげる。もちろん、乙女ゲームレベルの悪役じゃないわよ。

「ウィル様は、私が必ず守りますから」

「ふはっ! それは心強い。頼むよ、お姫様?」

「お任せください。王子様?」

ウィル様は誰にも渡さないわ!