軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

38.4人目の攻略対象者

「キース、デイビット、ライン……それにジェームズときたか」

「そうなのです」

4人目はまさかの宰相子息——ちなみに侯爵令息。王子に筆頭公爵家嫡男に、騎士団長子息。そして宰相子息って……定番すぎるわ。

「単に上位貴族の仲間入りがしたいだけの令嬢な気がしますね」

呆れ——というよりも自分も狙われていた事に嫌悪感を出しているジェームズ様。

「でも野菜レシピとは笑えるな」

「ふふ。そうですね」

この野菜レシピっていうのがジェームズ様攻略の鍵みたい。うんうん、野菜に限らず料理の幅が狭かったからねぇ。

調味料が少ないから仕方なかった。確かにそうね。でも似たような味付けばっかりだと、いくら美味しくても飽きちゃうわけで。

もちろんウィル様ダイエットのためっていうのはあったけど、私自身が前世の食事に近づけたかったのもあって、野菜レシピに関してもこんなのどうかな? って伯爵家の料理人に言って色々作ってもらっていたの。

それをウィル様にも食べてもらいたくてレシピを側妃宮の料理人に渡し、そこからさらにアレンジし……それをまた伯爵家の料理人に……ってうちと側妃宮の料理人達が、良きライバルとして発展していってくれたから。

ヒロインが相当料理好きとかじゃない限り新作レシピにはならないかも。

申し訳ないっちゃ申し訳ないけど……ヒロインが野菜レシピを教えるに至った理由を考えたら、後悔はないわ。

✽.。.:*・2年前・*:.。.✽

「ジェームズ様ですか?」

私に会いたいって急に言われても。

「うん。ディアにお礼を言いたいと宰相経由で伝えられてね」

「分かりました。えっと……ウィル様も一緒ですよね?」

「もちろん。俺がいないところでディアが他の男といるなんて、許せないしね」

わお/// 独占欲むき出し! 嫌いじゃないけどね。

それにしてもお礼ってなんだろう?

ジェームズ様は『もやしっ子』この表現がピッタリだなって思った記憶しかない。うーん、幼い頃はもやしっ子というより病弱に見えていたような……?

ま、いっか。

「ウィル様。今日は新作を持ってきました」

じゃーんとポーズをとり、タイミング良く侍女に持ってきてもらう。

「クッキー?」

「はい。騙されたと思って食べてみてください」

「分かった」

まずウィル様が手に取ったのは、ほんのりオレンジ色をしたクッキー。

「美味しい! ん? これは……もしかしてにんじん?」

「そうなんです!」

ふふふ~。次は黄色のクッキー。

「こっちはかぼちゃだ!」

「大正解です」

野菜クッキー、作ってみました。今回は丸型にしたけど、今後それぞれの野菜の形で作るのが目標よ。

実はスイーツ作りに野菜を使う事、中々受け入れてもらえなかったのよね。料理人だけじゃなく、ポーラやお兄様にも何を言い出すんだって目で見られたわ。

だからまずはさつまいもを使って、スイートポテトと芋けんぴを作成!

結果は上々。

『さつまいもは糖度が高いから』なんて言われることもなく『野菜がスイーツになった!』と一気に皆が協力的になってくれたの。

「それも食べてみたかった」

「ふふ。いつも通りレシピを渡しているので、明日以降に作ってもらってください」

「うん。楽しみだ」

スイートポテトと芋けんぴをクッキーのおまけのようにしたのは、野菜スイーツを増やしてほしいから。じゃないとさつまいもスイーツのレシピばっかり増えそうだと思ってね。

ふっふっふっ。きっと、クッキー以外の野菜スイーツがどんどん出来るはずよ。

「野菜を使うなんて、ディアよく思いついたね」

「ウィル様のためですよ?」

「僕……じゃなくて俺のため?」

「ふふっ。はい。野菜ならたくさん食べても太らないかなって思ったんです」

砂糖を使っているし、食べ過ぎたら太るっていうのは一旦置いておいて。

「そっか///」

「それにスイーツに野菜を使うって最初に思いついたのはウィル様でしょう?」

「え?」

アップルパイにペースト状のさつまいもを使う。ウィル様が合う気がするって言ったのを聞いて、野菜を使ったスイーツの存在を思い出したんだから。

「それはディアと焼き芋を食べたからだよ」

うんうん。焼き芋って甘くって美味しいもんね。スイーツに合うかもって思うの分かる!

「焼き芋、またやりたいですね」

落ち葉を集めての焼き芋。前世でもいつかやってみたい……とも特に思っていなかったけど、やってみると結構楽しかったのよね。

煙を見て、王宮騎士が駆けつけてきちゃったのは申し訳なかったけど。

「そうだ。ブライアンから今度は大豆に目をつけているって聞いたよ」

「そうなんです!」

ダイエットといえば、豆腐!

次は豆腐を作りたいと思っているの。

味噌はね、醤油みたいに木の実としてありますように! って願っているけど、流石に豆腐は作るしかないかなって。

「でも何で大豆? ディア、大豆好きじゃないよね?」

「それは……そうなんですけどっ。食べられる方法があるかなぁって」

豆腐はもちろん納豆も枝豆も好きなのに、なぜか大豆は昔から苦手なのよ。

「偉いね」

ウィル様が頭を撫でてくれる。

これは、好き嫌いを無くそうとして偉いねってこと? ……子供扱い。

「なんにせよ、今度ジェームズと会った時に大豆の話もしようか」

「えっ、なぜですか?」

「宰相の領地は大豆が特産品だよ?」

うそっ!? 驚きで目を見開いてしまう。

「そうなんですか?」

「ふはっ。各地の特産品を熟知してるディアにしては珍しいね」

「…………」

もうっ! それじゃ私が食い意地張ってるみたいじゃない。

「大豆、嫌いだもんね」

そう言ってまた頭を撫でられてしまった。

「ウィル様が意地悪です」

「ふふ。か~わい」

「ウィル様っ!」

やっぱり子供扱い。