軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

一攫千金の部隊

見た感じ人口1万人ぐらいの街の外で兵士の適性試験はやっていた。

空は青く久しぶりの快晴だ。平原に降り積もった雪が白く輝いている。

そこに、百人ほどのむさ苦しい男たちが集まっていた。

僕は国のために立ち上がったごく一般的な若者を装ってその集団に紛れ込む。

「へへへ、聞いたか? 三日で部隊長になれるらしいぜ。俺は仕事辞めて来たぜ」

「おう。一攫千金も夢じゃねえって話だ。俺も畑売ってきたぞ」

「未経験者でも大活躍できるってよ。俺は女房質に入れてきたぞ」

周りでは肉体労働系のおっさんたちがテンション高めで話している。この時点で夢と希望にあふれた素晴らしい職場の気配がするよね。

「ようこそ国のために立ち上がった勇敢な戦士たちよ!!」

肥え太って豚みたいになっているハゲが現れた。ひらひらの成金衣装を身に纏い、胡散臭い笑みを浮かべながらハゲは高い声で話す。

「ワシの名はツルピカーノ。諸君らのような志の高い戦士たちが集まってくれてワシはとってもとっても嬉しい!! さっそくだが、諸君らには適性検査を受けてもらう!! これは諸君らが一番活躍できる舞台を用意するために必要な事である!!」

そしてハゲの後ろから人相の悪い兵士たちが現れた。

んーこれ、どう見ても正規兵じゃないよね。

「おい、ツルピカーノさん。俺はクイントン、元傭兵だ。適性検査の前に聞いておきたいことがあるんだけどよ。あんたら国の兵士なのか?」

いいね、悪役プロレスラーっぽい見た目の元傭兵らしいクイントンさんが代表して聞いてくれた。でもどっかで見た気がするな。

「うむ、うむ、その疑問はもっともである! だが安心してほしいのである!! ワシは由緒ある大貴族様の依頼を受けて諸君らを徴兵しているのである!! ほれ、これが証状である!!」

ツルピカーノが差し出した証状をクイントンが受け取って確かめる。

「おお、これは由緒正しきあの大貴族様の捺印があるぞ!! これはツルピカーノさんに従っておけば一攫千金間違いなしだな!!」

クイントンが大きな声でそう言って、証状を皆には見せずにツルピカーノに返却した。

「何、本当か!? 歴戦の傭兵っぽい人が言うんだから間違いなさそうだな!」

「やったぜ、畑売って正解だった!!」

「おうよ!! 質に入れた女房買い戻せるぜ!!」

ざわざわとおっさんたちが騒ぎ出す。

ふむふむ、なるほど。これは本当に一攫千金も夢じゃないパターンかもしれない。

夢があっていいよね。

「ということで、諸君らの適性試験を行うのである!! 光栄なことに諸君らの試験官は由緒正しきあの大貴族の御曹司――ゴルドー・キンメッキ殿であーる!!」

「おお!!」

と周囲がさらにざわついた。

金髪で金ぴかの鎧を装備した見るからにいいところのお坊ちゃん騎士がいたのだ。どこかで見たような気もするがきっと気のせいだろう。

「す、すげぇ金ぴか、でも誰だ?」

「わ、わかんねーけど、高貴なオーラを感じる。一攫千金はもらったな!」

「ま、まさか王家の血筋……貧乏農家四男の成り上がりが見えてきた!!」

本物の高貴なお方っぽいし、もしかしたらもしかするのではないだろうか。うん、きっとそうだ。

「さぁ、僕がゴルドー・キンメッキだ。こう見えてバリバリの実戦派さ。一人ずつ適性試験を行う。各自得意な得物で僕と戦ってもらうよ。まずはそうだな……君からいこう、クイントンと言ったか」

「へへ、俺からか……」

「見ただけで分かる、君はかなり強いな」

「ふん、あんたもな……」

どこか芝居がかった様子で二人は剣を構えた。どちらも魔剣士みたいだ。

そしてど派手に斬り合う。

なんかもう映画のアクションシーンみたいに無駄に派手に、超見た目重視で。

効果音を付けるなら「キンキンキンッ!!」「ドカッ!」「バキッ!!」「チュドーン!!」だな。

「おおー!!」

「すげぇー!!」

「かっけー!!」

今日一番の大歓声が上がった。

うーん、でもそこそこの魔剣士ならこれぐらいのことできるんだよね、派手なだけだし。お互い本気でやってないというか感じが……いやいや、モブがそこに気づいちゃだめだ。

二人は魔力で雪を叩いてど派手な爆発を起こして剣を納めた。

「クイントン、やはり強いな……」

「あんたもな……」

「よし、クイントンには新人たちのまとめ役をやってもらうことにする! 異論はあるか!?」

誰も異論は無さそうだ。一応他にも魔剣士が何人かいるけど、クイントンに勝てそうな人はいないし当然かな。

とりあえず僕は後でモブっぽくクイントンさんに媚びでも売ろう。

「そうだ、クイントン。君には新人のまとめ役として部隊長もやってもらおう!」

「なんだって! まさか初日で部隊長だと!?」

ゴルドーとクイントンは芝居がかった様子で言う。

「そうさ! なぜならここは頑張った者が評価される素晴らしい部隊なのだから!」

「すげぇ! ってことは俺だけじゃなく他の奴らにもチャンスがあるんだな!?」

「もちろんさ! 部隊長の言うことをしっかり聞いていれば、平等にチャンスがある!」

「うおおお! 俺もまだまだ昇格できそうだ!! 一月後には一攫千金だな!!」

「さぁ! 適性試験を進めるぞ! もしかすると今日は二人目の部隊長が出るかもな!!」

「うおおおおぉぉぉぉ!!」

二人のやり取りで周囲のテンションはマックスだ!

こうして適性試験は進んでいった。