作品タイトル不明
第48話 「ねーえ!」
「横領とは聞き捨てならない。いったいなぜそう思ったのかは知らないが、名誉のために断固として抗議する」
「ねーえ! 悪いとこ指摘されたら普通は反省するとか、ごめんなさいしなきゃ! そんなんだからいざってときグロリアのパパに捨てられちゃうんだからね!」
眉間にしわを寄せるメロディは、この学園に通う貴族なら知っていて当たり前の情報すら知らないらしい。
グロリアの父であるコードウェル公爵はすでに他界し、この一年ずっとグロリアが喪に服していたことを。
「おい、メロディ……それはちょっと……」
エドワードがさすがにまずいと思ったのか、困惑しながらメロディを止めに入る。が、それが癪に障ったのか、彼女はその手を振り払ってグロリアに詰め寄った。
ケイトが慌てて間に入ろうとするが、それより速くメロディがグロリアの胸元に一歩踏み込み、キッとにらみつけてきた。
「これだって横領したお金で買ったんでしょ! もともと王様のお金なんだから、エドワードに返さなきゃダメじゃない!」
そう言って、メロディはグロリアの首から下がった導き手のペンダントを掴んで引きちぎった。
首の後ろに、痛みが走った。
――蠅の羽音がした。