軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

662.ナニイッタ?~モニカ先代王妃side

「うふふ。

リアちゃんやドレッド隊長以外で、直接読者様から顔を合わせて感想をお聞きするのは、バルリーガ嬢が初めてですのよ。

それも大奥監獄シリーズは、それなりに濃ゆいR18でしたでしょう?

何だか気恥ずかしいわ。

SとMなる躾、んんっ、調教にもソフトとハードがあるけれど、こちらのシリーズはソフトでありながら、ねっとりじっとりじれじれプレイですもの」

SとMも、ソフトとハードも意味がわからないわ。

けれど公女、言い直した意味!

そして、ねっとりじっとりじれじれプレイって何?!

もの凄く気になるワードのチョイスね!

小説を手元に引き寄せ、包んでいた布をいそいそと小さく折る公女。

つい熱い視線を向けて……あら、ブランジュは、更に熱く滾ったような視線?!

こんなブランジュ、初めて見たわ!

「第2王子が負わせた、手酷い火傷と痛めつけられた時の心の傷は、もう癒えまして?」

「ええ。

顔を焼かれた痕を、私自身が目にしなかったのも、きっと大きかったんですのよ。

公女の魔法のお陰ですわ。

けれど……いくらジョシュアに心を砕きたくても、当初はあの痛みと恐怖を思い出すと、どうしてもできませんでしたわ……」

言葉とは裏腹に、うっとりと微笑むバルリーガ嬢。

「なんて事なの」

「ええ」

けれど私もブランジュも、少女達の言葉に衝撃を受ける。

顔を焼かれた?!

ジョシュアはバルリーガ嬢に、そんな無体を?!

事情を知る少女達2人きりの空間で、嘘を吐いているとは思えない。

少女達の表情からも、真実を述べていると察してしまう。

公女の魔法で、という言葉はもちろん気になる。

内容的に、軽い火傷で済まなかっただろうという事は、想像に難くない。

程度にもよるけれど、公女は魔力量が少ないのは私自身、赤子の頃の公女を見て知っている。

ジョシュアとの婚約で、調査もしたから間違いないと思っていた。

そんな公女の魔法で酷い火傷が治癒されるとは、どうにも信じられない。

とはいえ今、私もブランジュも別の事に気を取られている。

私達はベルジャンヌ王女の最期を、聖印によって火で炙られる痛みの中で灰となった最期を目の当たりにした。

最期の瞬間まで、王女の華奢な体は痛みに震えていた。

痛みに耐性があった王女ですら、震える程に強い痛みだったはず。

この事で私もブランジュも、少なからずトラウマを抱えている。

そんな痛みを、 ジョシュア(私達の孫) が他者に与えただなんて……。

「消しましょうか、モニカ」

「駄目よ、ブランジュ。

クリスタと共に北の研究施設に送りましょう。

火傷痕をどうやって消したのか、もしくは痕が残らない程度の火傷だったのかはわからないけれど、ジョシュアが故意に令嬢の顔を狙ったのは間違いないでしょう」

「そうね。

ジルガリムに伝えるわ。

調査はさせるけれど、裏取りができたら、ジョシュアには、しっかり苦しんで、自分がした事に後悔しながら……」

「公女が国王陛下に直接、口利きしていただいた事も、感謝しておりますの。

お陰でジョシュアを確実に、私だけの奴隷、んんっ、所有物にできましたわ」

? ? ? ? ?

ブランジュが言いかけた言葉を、向こう側にあるバルリーガ嬢の発した言葉で、思わず飲みこんでしまった。

私も口を噤んで耳を澄ませる。

バルリーガ嬢も、言い直した意味が感じられない。

けれど……ナニイッタ?

「あの時、後で仕返しの場はきっとあると言いましたもの。

国王陛下も、話せば快諾してくれましてよ」

「公女が望んでくれたから、ですのよ。

そうでなければジョシュアは、処分一択だったはず」

バルリーガ嬢が言う通りだ。

私とブランジュと同じく、ジルガリムなら息子と言えど、強制労働施設ではなく、北の研究施設へジョシュアをやり、処分しただろう。

また、そうしなければロベニア国を監視する諸外国が黙っていなかったはず。

なのに四大公爵家の嫡女が口利きして、甘いと言える処分を下した?

「ねえ、ブランジュ。

諸外国の動き……特に学園を監視しているリドゥール国の動きは、何かあったかしら?」

「私達が現役王妃の頃から、リドゥール国は我が国に手厳しい目を向けていたわ。

それに身内を学園へ送りこんできた。

当然、あの文化祭の首謀者にも気づいて、学園の留学生受け入れに強く反対していた。

なのに今は……モニカも知っている通りよ」

「ジョシュアの処分まで掴んでいなかったと、ブランジュは思える?」

「いいえ。

あの国は目聡いもの」

確か最近、リドゥール国三大部族の内、最も厳しい目で我が国を監視していた、2人の部族長が代替わりした。

同時に、三大部族は意見を一致させ、我が国の留学制度に賛成したとか。

そうなったのは、リュンヌォンブル商会所属のデザイナー、月影がリドゥール国を訪れた直後だったと記憶している。

月影の正体は、不明。

私とブランジュが王妃の座を退いてから現れたから、調べた事はない。

時折参加する夜会で、月影がデザインしたドレスを見る限り、貴族だろうと察するくらいだった。

「月影がリドゥール国との仲を取り成した?

だとすれば月影の正体は……」

ブランジュが呟き、自分と同じような考えに行き着いたのだと察した。