軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と合流完了。

あちこちで色々と戦闘が起こっている中、メイプルとマイはシロップの背中で平和にお茶会をしていた。

「わっ、またメダルだよマイ!」

「本当ですね……皆さん一人で攻略しているのでしょうか……?」

「うーん、本当に全然誰もこないもんね。今も結構目立ってるはずなんだけど……」

メイプルは兵器を無駄遣いしすぎることのないように、今は緑の洋服に着替えて【ポルターガイスト】で極太のレーザービームを空へ放った状態で固定している。

そのため暗い空に光の柱が出現してブンブンと振り回されている光景が遠くからも見て取れる状態だった。

「あっ、またモンスター飛んできたよ!」

もちろんこれは元はレーザーなため、振り回せばビームサーベルの様になる。飛んできた悪魔はこれで羽を焼かれて速度を落としながらも飛んでくるが、そこはマイの出番である。

マイはシロップの背に置かれたテーブルの下から鉄球を取り出すと、手首のスナップを利かせて放り投げる。

それはレーザーの光で照らし出された悪魔の頭部に正確に命中し、風船を割った様にして爆ぜさせた。

「ナイスピッチング!」

「あ、ありがとうございます」

「むぅ、すぐに皆来ると思ってテーブルも出したけど……結構遠くに飛ばされたのかなあ」

「でも皆さんまだ無事みたいですし、強い方ばかりですからきっと待っていれば来てくれますよ」

「私達は場所分からないしね……あ、紅茶のおかわりいるー?」

「あ、はい。いただきます」

こうして地上の地獄など別世界のことのように二人はお茶会を楽しむのだった。

メイプル達のいる空が比較的安全なのに比べて、地上はモンスターが全くいない場所を探す方が難しい状態だった。場合によってはダンジョンの中の方が安全と言ってもいいくらいである。そんな中、【楓の木】同士でうまく合流できたカナデとユイはモンスターから逃れ、小柄なのを生かして大木のうろに隠れていた。カナデだけではユイを守り切るのは難しい、そして今もうろに向けてモンスターはどんどん近寄ってきている。

「ふー、助かったよ。僕じゃあ生き残れなかったかもしれない」

「よく言うぜ。まあこっちもちょっとばかし困ってたからな」

うろの前に立っているのはドラグだった。フレデリカと二人で行動することを基本とした立ち回りを基本としているため、支援役なしでは真価を発揮しきれないのだ。

「ギブアンドテイクってことで。ここ凌ぎ切ったらお別れでもいいからさ」

「ま、フレデリカもこっち来てるらしいからな。妙だがサリーもいるらしいぜ」

「連絡取れるんですか?」

「ああ、一応な」

「もう少し耐えれば何とかなるかな。サリーもいるならメイプルのところまでは行けそうだね」

レーザーがブンブン振られている地点まではもうほんの少しなのだ。後はこの波を凌ぎ切れればいい。

「【ホーリーアーマー】【ホーリーエンチャント】」

カナデはまずドラグの鎧と武器に光を纏わせる。これで多少ダメージを受けたとしても被害を抑えられ、与えるダメージも上昇する。

「ダメージカットのスキルならソウが使ってくれるから、心配せずに戦ってね」

カナデはそう言ってうろの中でソウを呼び出すと自分の姿に変身させる。

「は、そりゃあ頼りになるぜ。アース【地震】!」

ドラグの隣にいるゴーレムが両腕で地面を叩きつけると、そこを中心として激しい揺れが発生する。空を飛んでいる悪魔には影響はないが、地面を這いずるゾンビ系などはその動きを止められる。

「【土波】!」

ドラグがスキルを発動すると地面が波打ち、大きく盛り上がり、モンスター達を押し返していく。

さらにドラグの全ての攻撃にはノックバック効果がついているため、モンスターはより遠くへと弾き飛ばされる。

上手くノックバックを生かし相手の体勢を崩す戦い方以外にも、ドラグには相手を押し返し続けて接近を拒否する能力が豊富にある。

ドラグの攻撃を受けている限りノックバックは必ず発生するため、簡単には近づけない。

「すごいです!私もあんなことができたらもっと戦えるんですけど……」

「得意不得意、向き不向きがあるからね。力を発揮できるタイミングまで待てばそれでいいんだよ」

「はい!」

「っと、【防護結界】!」

「ナイスガード!フレデリカにも負けちゃいないぜ!」

「……そーいうこと言ってると、もー助けてあげないよー?」

ドラグがそんなことを言ったところで、茂みを掻き分けてフレデリカが姿を現わす。

「おっ!?もう来たのか、いやー助かったぜ!案外早かったな」

「助けてあげないって言ったばかりなんですけどー……もー【多重障壁】!」

フレデリカがドラグの援護に回ったのを見て、サリーは一旦カナデとユイの元までやってくる。

「二人がこんなところにいるなんて。ま、無事でよかったよ」

「メイプルまでもうちょっとってところでモンスターと出くわしてさ」

「最初はドラグさんと一緒に戦ってたんですけど、私が危なっかしくて……あ、そうだ!サリーさんドラグさんを助けてあげてくれませんか!」

フレデリカが来たとはいえ二対多なため、ユイは心配そうにドラグの方に視線を送る。特に今回は結果的に上手く守ってくれただけになってしまい、申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

「大丈夫、来たのは私とフレデリカだけじゃないから」

「えっ?」

「【範囲拡大】【断罪ノ聖剣】!」

「【旋風連斬】!」

ドラグの作った土壁の向こうから声が聞こえ、直後光の奔流がフィールドを照らす。パリンパリンといくつも音が重なって聞こえ、モンスターが消滅していくことが三人にも分かった。

「前よりかなり強くなってるなあ……今の、テイムモンスターも使ってないし。今回の本戦がPVP要素のないイベントでよかったよ」

「流石って感じだね。ペインとドレッド」

モンスターを消しとばしたのはペインとドレッドだった。二人は武器をしまうとドラグとフレデリカの二人と会話をする。

「駄目みたいだねー。他のパーティーメンバーからは反応はなかったかなー。構成上大盾使いとバフデバフ担当だったし……転移先が悪かったかも」

「そうか。俺達の拠点はどうだ」

ペインの言葉にフレデリカは首を横に振る。今回ペイン達のパーティーが拠点としていた場所はマップの端よりだったため、強力なモンスターの巣窟となってしまっていたのだ。

「場所探しからやり直しか、面倒だ……」

「まあ、仕方ねえぜ。フィールドで夜を過ごすのは危険だ」

その会話が聞こえてきたサリーは、少し考えた後ペイン達の方に歩いていく。

「あの、少し交渉したいことがあるんですけどいいですか?」

そうして、サリーはペインにとある提案をするのだった。

「このお菓子どうー?七層のお店で買ったんだー」

「美味しいです!ユイにも後で教えてあげようかな……」

「ふふー、他にもあるよー。あ、待って!何か来た!」

メイプルが暗闇の向こうから何かが飛んでくるのを見て、兵器を向けていつでもレーザーで焼けるように準備する。マイも鉄球を取り出して、メイプルと同じ方を向く。

「あれ?あれは……」

メイプルがよく目を凝らすと、それはモンスターなどではなく、イグニスとレイだった。その背にはそれぞれ【炎帝ノ国】と【集う聖剣】の面々、そしてまだ合流できていなかった【楓の木】のメンバーが乗っているのが見えた。

「予想より早かったが、また会ったなメイプル」

「ミィと皆も!そっちはペインさんと、ええ?な、何があったの?」

「タイミングまで同じとは思わなかったが、サリーと俺と考えてることは同じだったみたいだな」

「そうみたいですね」

つまり、二人がそれぞれのギルドに提案したこととは拠点の提供だった。【楓の木】の拠点はマップの中央近くにあり、モンスターもそこまで溢れかえってはいない。

拠点を提供する代わりに防衛戦力になってもらおうという訳である。

「おー!いいね!皆がいたら賑やかだし、モンスターにもばんばん勝てそうだしっ!」

メイプルは笑顔でそう返すとようやく合流できた【楓の木】の面々をシロップに乗せ直して、先導しつつ拠点のあるあたりまで飛んでいく。

「んーと、サリー、この辺だったよね?」

「うん、あの山の位置は変わってないし、ここの麓で大丈夫なはず」

メイプルはそのままゆっくりとシロップの高度を下げて着陸する。しばらくその周りを探すと拠点を示す看板があり、見覚えのある洞窟に戻ってきた。

「ふー、良かったあ。じゃあ一旦拠点に戻ってからできたら探索だね」

「って言っても合流に時間かかったし、設営次第では強化時間入っちゃうかも」

それならまずは急いで拠点作成だと、全員で洞窟の中へと入っていく。トラップの再設置にも時間がかかってしまうため、奥へ進みながら設置していく。

「うわ……何この殺傷力だけ考えたトラップ……」

「マルクス、貴方もどこか設置しておいてもいいんじゃないですか?」

「うん、頼んでみるよ。それに一本くらい僕らが出る時に発動しないトラップだけのルートがあったほうがいいよ……ミスして踏んだらおしまいだよ?」

メイプルが常に【身捧ぐ慈愛】を発動しているため【楓の木】の面々は毒沼などに突っ込んでも問題ないが、他のギルドはそうはいかないのだ。

そうして、マルクスも設置に加わりつつ最奥へと辿り着く。追加で八人、人が増えたためスペースの使い方も変わってくる。

「サクッと作るわよ!皆、手伝ってね?もちろん全員よ」

イズが指示を出して、居住スペースを作り変えていく。トラップの配置が終わっているうえ、人が増えているため、初めての時よりもはるかに早く設営は終了するのだった。