軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と鍵探し。

「まずは馬のところまで戻らないとダメだよね」

「ふふふ、そこは問題なし。見てて」

サリーがインベントリから取り出した笛を吹くと、少しして茂みをかき分け馬がやってきた。

「おおー!すっごい!それで呼べるの?」

「そうだよ、どこにいてもすぐに来てくれるから便利だね」

「空飛んでばっかりだったから分かんなかったけど、結構乗ってる人もいるの?」

「うん、移動手段として便利だからね。どんどん増えるんじゃないかな」

馬の種類によって速度や走ることができるエリアに違いがあるため、最適なものを見つける必要がある。

「割とどのエリアにも移動するモンスターはいるんだけど、さてどこから行くか……」

「あ、もしそのモンスターがいるなら海とか?結構探索したし、場所を絞れると思う!」

「いいね、そうしてみよっか」

サリーはメイプルに馬に乗るよう促し、森の中を馬で駆け始める。

「ぶ、ぶつからないっ?」

「だーいじょうぶ。結構練習したからさ!」

メイプルの心配は杞憂だったようで、茂みを飛び越え、木々の隙間を抜け、まるで平地を走っているかのようにサリーの馬は森を抜けていく。

「これならすぐ着きそう!」

「用意されてるものは使わないとね!」

結局一度も事故は起こらずに二人は海までたどり着いた。

「気をつけてね。どこかから蛸が狙ってるんだよ」

「メイプルに触手くれたやつだよね?どうだった?」

「……?生でも美味しかったよ!」

メイプルがそう言うとサリーに額をぴしっと指で弾かれる。

「もー、ボスの強さの話。急に捕まったんでしょ?私が捕まるとまずそう?」

「洞窟の中は危ないかも。すごい狭いし……」

メイプルは少し恥ずかしそうにしつつ、そう答える。普通の攻撃ならサリーが捕まることはないが、もし回避不可の命中時連れ去りギミックなら話は別である。

「メイプルが言ってた島の近くには行かないとして、【身捧ぐ慈愛】使った状態で真上にいてくれる?」

「おっけー!今回もシロップに乗って待ってるよ!」

メイプルはサリーを確認できるようにシュノーケルをつけつつ、シロップを巨大化させ海へと出る。

ある程度深くなったところで、サリーがシロップの上から水の中に飛び込む。

メイプルはその様子を確認しつつ範囲から外れないようにシロップを動かす。

「ん……」

サリーはメイプルの展開している【身捧ぐ慈愛】の範囲を確認すると、魚の群れを探す。

海中は色とりどりの珊瑚が広がっており、本来なら同時に生息していないような魚たちが泳ぎ回っている。ところどころ隙間を深くまで潜っていけそうな場所もあるが、闇雲に探索するわけにもいかない。

そして、サリーは移動し続ける熱帯魚の群れを見つけて、ドルフィンキックでぐんとその方向に近づいていく。【水泳】のレベルが高いおかげでそのまま魚に追いつくことも容易い。

「っ……」

ただ、あまりの速度にメイプルが追いつけない。

範囲が広いとはいえ積極的に離れていくものを守る程ではないのだ。

今も時折鋭い牙を持った魚が突撃してきたり、珊瑚がまるで蛸の触手のように体を成長させて伸ばし足を搦め捕ろうとしてくる。

サリーは仕方ないと、さらに加速してモンスターを振り切りながら魚群を追う。その上で追いついてきたモンスターだけ、風の刃で迎撃していった。

そうしてしばらく熱帯魚を追っていると、今までのぐるぐると同じルートを泳ぐ動きから変わって、すっと一つの珊瑚の裂け目に入っていく。

サリーは慎重にそこへ近づいていき、インベントリから取り出したライトで奥を照らす。魚の影は見えるものの、奥がどうなっているかはよく見えない。かなり深そうだとサリーは一旦浮上して、メイプルを呼ぶ。

「サリー!大丈夫だった?ごめんね、追いつけなくて」

「大丈夫大丈夫、こっちから離れていってたし仕方ないよ」

サリーはシロップに捕まった状態でメイプルに現状を伝える。

「なるほどー、じゃあ私はこの真上にいたら大丈夫?」

「うん、お願いしたいな」

「まかせて!ダメージを受けてもいいようにポーション構えておくし……安心して探索に集中して!」

メイプルが自信満々にそう言うと、サリーもそれならこっちもすぐに成果を上げるからと不敵に笑って、海中へと戻っていった。