軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

防御特化と塔二階4。

そうしてその後もメイプルが何度かスキル封印を受けながらも、二人はボス部屋まで辿り着いた。

目の前にはいつも通りの大きな扉が見える。

「やっと着いたねー!」

「途中で行かなかったルートも見に行きたいけど……まあ、今回はいいか。で、メイプルはまだスキル封印されてる?」

「うーんと……あと二十分で元に戻るみたい」

「じゃあそれを待ってからかな。万全の態勢でいこう」

二人は扉の前に座って、話しながら時間を潰す。

そして、メイプルのスキル封印が全て消えたところでいよいよボス部屋へと突入した。

「雰囲気は同じ感じ……だね」

メイプルが周りを見渡す。

同じように本の詰まった本棚が壁となっている広い部屋だった。

サリーも同様に警戒していると、薄暗い部屋の最奥、その空中に青い魔法陣が展開される。

「ん、メイプル!来るよ!」

「おっけー!【全武装展開】!」

構えた二人の前に現れたボスは数メートルはある分厚く大きな本だった。

それは青い光を纏いながらゆっくりと地面付近まで降りてきた。

「先手必勝!【攻撃開始】!」

メイプルが銃弾を撃ち出すと同時、空中にあった本はパラパラとめくれて、燃える本の絵が書かれたページが開く。

そして、そのページに対応するように周りの本棚から赤い本が飛び出してきて、火球を撃ち出し始めた。

「メイプル、右はお願い!こっちは任せて!」

「うん、大丈夫!」

サリーはメイプルから離れて走り出すと、魔法とスキルで本を叩き落としていく。

そうしているうちに大きな本の新たなページがめくれて部屋の端に人型の影が現れる。

道中でスキルを封印してきたモンスターが合計五体召喚されたのである。

「あっ!そ、それはだめっ!」

「全部は間に合わない……!」

「んー、ならっ【 毒竜(ヒドラ) 】【滲み出る混沌】!」

封印される前にと放った毒竜と化物が、銃弾をも飲み込んでボスに向かって飛んでいく。

それと同時にパラパラとページがめくれて、ボスの前に青色の障壁が現れる。

結果、それらはボスの前で青色の障壁に阻まれてしまい、高い音を立てて障壁を砕きこそしたもののダメージはかなり減少していた。

「サリー、全然効いてないよ!」

「威力の高過ぎる攻撃は逆効果みたい!私がやる!【超加速】!」

「じゃあ私は影の方を!」

サリーは氷の柱を出してメイプルが作った毒の海を躱しながらボスの方へと向かっていく。

メイプルは自分に迫って来る影のモンスターを撃ち抜いていく。

本に火球をぶつけられようと特に何も起こらなかったためである。

「これで、どうっ!」

周りのモンスターはメイプルに任せて、サリーはボスの上を抜けるように移動しつつ、ダガーで何度も斬りつける。

本が障壁のページをめくらなければ防御も甘く、それなりのダメージが入った。

「よっ、と!もう一回!」

サリーがもう一度糸を使って移動したところで、本のページがめくれ、ばっと風が吹いた。

サリーは無理やり糸を伸ばして素早く範囲から逃れる。

「危ない……よし。ノックバックかな?」

メイプルが遠くで吹き飛んでいるのを確認しつつ、サリーは再びボスを斬りつけてメイプルの方へと帰っていった。

「それなりに削ったかな」

「ありがとうサリー!」

「まだまだここからだよ、次は……?」

二人がボスを確認すると、ちょうどボスはページをめくっているところだった。

そして開かれたのは何も書かれていない白紙のページである。

「……あれ?真っ白」

「っ、メイプル!避けて!」

咄嗟にサリーが叫ぶものの、間に合わずにメイプルの足元から生えてきた黒い鎖が、メイプルの体を這い上がり縛り上げる。

サリーはスキルが封印されるだろうと考えてメイプルを真っ先に助けようとする。

「ちょっ、と!あれ、封印されてない?」

サリーが何とか外そうと一つ一つ攻撃して壊している時、メイプルがそんなことを言う。

「えっ?」

「あっ、違う!う、奪い取られてる!スキル!」

そう言ったメイプルの兵器が全てすっと消えた。

「……えっ?」

サリーが最後の鎖を切り落とした時、ボスはページをペラペラとめくった。

そこに書かれていたのはいくつもの兵器の絵柄である。

「やっば……!」

サリーが目を見開く中、空中にいくつもの魔法陣が展開され、そこから枝が伸びるように兵器が生えてくる。

「っ!メイプル、ごめん!【右手:糸】!」

「えっ?うわっ!?」

サリーはメイプルに糸をひっつけるとそのまま引っ張ってボス部屋から逃走した。

無理やり引っ張られたメイプルがガシャンガシャンと音を立てて地面を跳ねる。

「……一時撤退!てったーい!」

「そうだね、擬似メイプルとか相手にしてられないからっ!」

銃弾が撃ち出される直前で二人は部屋から飛び出すことができたのだった。