軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第025話 あー、可愛い

フィリアがお風呂に入ったので俺はリビングに戻り、1人で酒を飲んでいる。

もちろん、一緒に入るのはやめた。

「当面は砂糖をフィリアに任せて、俺は黄金草採取をするか……」

ガラ悪マッチョが俺向きの仕事を考えてくれるって言ってたし、その辺を聞いてもいいかもしれない。

「明日はギルドで依頼のチェックだな……あとはあの魔法使いか」

俺の占いではあの魔法使いとは縁があると出ていた。

フィリアにも出ていたやつだ。

「魔法か……」

あの魔法使いに師事を頼んでもいいかもしれない。

さっきフィリアには身体をきれいにする魔法を教えてもらった。

だが、攻撃魔法は一向に覚えることが出来ていない。

「やっぱり人に教えてもらった方がわかりやすいだろうしな」

今日の午前中に恩は売ってやった。

次の接触はスムーズだろうし、簡単には断りづらいだろう。

あとは口で誤魔化せばいい。

伊達に詐欺師……じゃない、霊媒師をしていないのだ。

「あとはギフトか……」

俺は異世界人だからギフトがあるらしい。

だが、正直、俺はあまり期待が持てていなかった。

だって、全然、わかんないし、こっちにいた時とあまり変わらない気がするし。

「まあ、なくてもいいかー……」

ほぼあきらめの境地で酒をグイっと飲んだ。

「上がったよー。見て見てー! この髪、すごくない?」

風呂から上がったフィリアがリビングに戻ってくると、すぐに俺のところにやって来て、髪を自慢してくる。

「すごいなー。サラサラだし、艶もある」

さっきまでは普通の金髪だったのが、今は輝いて見えるし、手触りもサラサラで手から零れ落ちていく。

惜しいのはこいつの服がジャージなことだ。

色気がない。

「女性にはこれが売れるね。絶対に貴族や王族が飛びつくよ!」

要するに売っちゃダメってことね。

「明日、帰る前にコンビニで買ってやるよ」

コンビニなら売ってんだろ。

「ホント!? 絶対に砂糖を金貨500枚以上で売ってあげるからね!」

砂糖は銀貨1枚で買えるんだけどな……

「頼むわー。それよか寝な。俺も風呂に入ったら寝るし」

「そうするー」

フィリアを連れて、2階に上がり、自室に入る。

「ここなー」

「おー! そこそこベッドが大きい」

両親ほどじゃないがそこそこのサイズがある。

「朝には起こすからなー」

「わかったー」

「おやすみー」

「おやすみー。あ、夜這いをしてもいいけど、その時は娶ってね」

まだ言うか…………悩んじゃうっての。

フィリアを寝かせると、風呂に入る。

そして、風呂から上がると、すぐに寝た。

翌朝、朝早くに起きた俺はフィリアを起こす前にコンビニに行き、シャンプー類を購入した。

そして、俺のベッドでスヤスヤと眠るフィリアを起こし、コンビニで買った朝食を食べる。

「このサンドイッチっていうのも美味しいねー」

「だなー。フィリアはあっちの世界に帰ったらどうする?」

「一度、家に帰るよ。その後に商人ギルドでギルマスのオリバーさんに話をしてみるつもり。リヒトさんは?」

「俺は冒険者ギルドで依頼の確認かな……あと、魔法使いに用がある」

占いによると、ギルドに行けば会えると出た。

「魔法使い? 女の子?」

「そうだよ。知ってるの?」

「あー……ヘイゼルさんでしょ。黒髪でいかにも魔法使いって格好の」

あと巨乳ね。

フィリアも結構あるけど、あっちはそれ以上だ。

「知り合いか?」

「まあ、そうかな。あの子、何度もクランが誘っているんだけど、かたくなに拒否するんだよね」

「女が集まったっていうクラン?」

「そうそう。女性冒険者は大抵がこのクランに所属するんだけど、あの子は入る気がないみたい」

まあ、そういう人もいるだろう。

昨日見かけた時も1人だったし。

「ボッチかな?」

「誰かといるところは見たことがないねー。最近はギルドで朝からお酒を飲んでる」

俺もそれを見たわ。

「ふむふむ。なるほどねー」

「ヘイゼルさんがどうかしたの? 狙ってる?」

「いや、魔法を師事しようかと思って。俺が冒険者をするには魔法だろ」

「あー……まあ、悪いけど、勇ましく剣を振るっている姿は想像できない」

俺もできない。

そういうのはガラ悪マッチョみたいな奴の役目だ。

「それ、アンナにも言われたわ。だから護身用に魔法を覚えたい。もらった魔法の教本を見ても、いまいちなんだよねー」

「まあ、魔法は人に教えてもらった方がいいのは確かだよ。私もおじいちゃんに教わったし」

こいつは回復魔法を神父様に教わったのか……

「俺に回復魔法を教える気はない?」

「嫌だねー。絶対に嫌」

思ったより拒否されたな。

「なんで?」

「ヒーラーから回復魔法を取ったら価値がないじゃん。私のアイデンティティを奪わないで。言っておくけど、ヒーラーは全員が同じことを言うよ。ヒーラーは下手すると、ポーション一つで地位を奪われるし」

パーティーで皆が回復魔法を使えたら専門職はいらなくなっちゃうってことかな?

「うーん、無理かー」

「教えるのは身内くらいだよ。もしくは大金を積む」

フィリアを娶れば教えてくれるのかね?

いや、こいつは余計に教えてくれなさそうだ。

「攻撃魔法もそんなん?」

「そこはちょっと違う。同じ攻撃魔法でも使い手によって威力が段違いだからねー。でもまあ、普通は教えないね。単純に時間がかかるし、めんどくさいもん」

「交渉次第か……まあ、得意分野だな」

「ひゅー! さすがは天下の詐欺師様だよ!」

詐欺師って言うな……

天下をつけるな……

「まあ、上手くやるさ。昨日、恩を売ってやったし、占いでも縁があるって出てた」

「縁ねー……うーん、まあいいか」

フィリアは何かを悩んでいたようだが、すぐに納得した。

「どうした?」

「いーえ。私の人生設計のことです」

「金か?」

「先に言っておきます。私は守銭奴って言われるのが嫌いです」

めっちゃ思ってたわ。

気をつけよ……

というか、よく言われてるんだろうなー。

これからの発言に気を付けようと思いながらサンドイッチを頬張った。

朝ご飯を食べ終えると、時刻は8時を過ぎており、アプリの充電期間はすでに超えている時間となっていたので俺とフィリアはそれぞれあっちの世界に戻る準備をした。

「よーし、帰れるぞー」

「微妙な気分……あんまり帰りたくないな。ご飯、お風呂、ベッド……」

たった1日でこの女は骨抜きになったようだ。

「明日には連れてきてやるから」

「お願いねー。あー、それとお金を払うから時計が欲しいなー。あと服と化粧品と……」

「わかったから……買ってやるから明日な」

父親が女は金がかかるって言ってた意味がよくわかるわ。

まあ、金を稼いでいたのはどちらかと言うと母親の方だけど。

汚い金。

「わーい。よーし! オリバーさんにふっかけるぞー」

この子は本当に頼もしいわ。

「じゃあ、帰ろうか」

そう言って、フィリアに向けて、手を差し出す。

「わかったー」

フィリアは俺の手をスルーし、腕に抱きついてきた。

俺は腕に当たる柔らかいものを感じながらアプリを起動させ、スマホを2人で見える位置に掲げた。

「怖くないからねー、この画面をじーっと見るんだよー」

「昨日、リヒトさんが言ってた意味がわかります。そこまでいくと、逆に信用できますよ」

そうやって騙す悪い詐欺師……じゃない、霊媒師なんだよー。

ふざけながらもスマホのぐるぐる画面を見た。

すると、すぐに光で何も見えなくなった。