作品タイトル不明
第021話 可愛いもん
「うーん……」
フィリアを頭から足まで見る。
「マズい?」
「お前が俺の格好を変だと思うくらいにはな」
「文化も違うだろうし、これだけ文明レベルが違えばそうかもね」
うーん、まあ、金髪碧眼は外国人で通せる。
問題は服だな。
「服か……」
「何かルールある?」
「いや、ルールはないんだが、お前の格好は目立つ」
フィリアは白を基調とした修道女の服だ。
似合っているんだが、このまま外に出ると、絶対に浮くし、どう見てもコスプレ臭がする。
「ちょっと来い」
そう言って立ち上がると、フィリアは2杯目の酒を飲み干し、立ち上がった。
そして、フィリアを2階にある両親の寝室に連れていく。
「わーお、おっきいベッドだねー。リヒトさんに寝室に連れ込まれたー」
両親は2人で寝ているため、ベッドはかなり大きい。
「たとえ、お前をベッドに連れ込むとしても、ここだけはない。親のだ」
「それは嫌だろうね」
絶対に嫌だわ。
ベッドをスルーし、奥のウォークインクローゼットを開ける。
そして、母親の服を漁っていく。
「お母さんの?」
「そうそう。しかし、わからん」
そもそも下着はどうすんだ?
「簡単なやつでいいよ」
「とりあえず、スカートを履かせて、上はスウェットでいいか……」
別にオシャレをする必要はない。
「よくわかんないなー」
だろうな。
しかし……
「……すげー失礼なことを聞いていいか?」
「どうぞ」
「お前、風呂に入ってる?」
宿屋に風呂はなかった。
サラから裏の井戸で水浴びしてもいいよとは聞いている。
「んー? たまに水浴びをするくらいで、あとは魔法かなー」
「魔法?」
「汚れを取る魔法があるんだよ」
便利だな、おい。
「お前も使えるん?」
「そりゃね」
「ちょっと俺にかけてみて。俺、昨日、あっちの世界に行ってから濡れ布巾で拭いたくらい」
「汚いなー。これだから男の子は……ほい!」
フィリアが手をかざすと、なんか体がすっきりしたような気がする。
「便利だなー」
「覚える? 簡単だよ」
「あとで教えてもらうわ」
「いいよー。お酒をごちそうになったし、特別にタダでいいよ」
普段だったら金を取るのね……
「じゃあ、これに着替えろ。着方は……」
俺もわからんな……
スカートなんて履いたことねーし。
「大丈夫。わかるよ」
さすがは女。
だいたいでわかるか。
「じゃあ、俺はさっきの部屋にいるから着替えたら下りてこい」
「はーい」
後のことを任せ、リビングに戻ることにした。
覗き?
それをすると不幸が訪れると出ているからしない。
フィリアが着替えてる間、一度、自室に寄り、俺も服を着替えた。
そして、リビングに戻り、酒を飲みながら待つ。
「どこに行くか……何でもあるスーパーとホームセンターが一緒になったあそこに行くかな……」
スマホを操作し、一番近い店を探し、ルートを検索していると、リビングの扉が開いた。
「お待たせー」
着替え終えたフィリアは白のロングスカートにグレーのスウェットを着ていた。
「まあ、そんなもんか……」
「似合ってるって言ってよー」
いや、可愛いし、似合っているんだが、母親の服と思うと……
「似合ってるよ。でも、ちょい待て」
そう言って、フィリアの後ろに回る。
「お前、髪留めを持ってるか?」
「紐ならあるよ」
フィリアから紐を受け取ると、髪を1本に束ね、結んだ。
「束ねないといけないの?」
「別にそんなことはないが、ちょっと長すぎる」
フィリアの髪は腰くらいまである。
似合ってるし、別に構わないんだが、結んだ方がいいだろう。
「そうかなー?」
「まあ、たいした問題じゃないんだがな。出られるか?」
「うん」
準備を終えたようなので、リビングを出て、玄関に向かう。
「あ、靴がない」
向こうの世界は部屋の中でも土足だが、フィリアはベッドで寝ていたので裸足だ。
「そこのサンダルを履け」
「はーい」
フィリアは素直にサンダルを履いたので、俺も靴を履き、家を出た。
俺達はそのまま駅まで歩くと、電車に乗り、店を目指す。
「もうね。わけわかんないよ……」
フィリアはこの世界の街並み、車、電車に驚きっぱなしのようだ。
「異世界、異世界。向こうでの俺の気持ちがわかったか?」
「わかるわー。よく一人でいられたね。私が一人だったら絶対に泣いてるよ」
わざとはぐれたら泣くかな?
まあ、そんな小学生みたいなイタズラはしないけど。
「転移してすぐにお前に会えて良かったわ」
色々と説明をしてくれたし、町まで乗せてくれた。
めっちゃ助かったわ。
「まあねー。感謝して」
「そうだな」
本当に感謝だ。
「しかし、この電車? これもすごいし、建物もすごい。人も多いねー」
「この国は島国なんだが、1億人以上はいる」
「……私、もう深くは考えないようにするよ。でも、人族しかいないね?」
人族とは俺らみたいな普通の人間の総称だ。
他にはミケのような獣人、見たことはないが、エルフやドワーフなんかもいるらしい。
アルトの町にはそこそこ獣人がおり、ギルドや町中で見たことがある。
「この世界は人族しかいない。ミケを連れてきたら大騒ぎになる」
「あー……だからリヒトさんはミケにやたら絡んでたんだね」
あれはかわいい猫ちゃんだから……