軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第013話 異世界で1泊

ギルドに戻ると、来た時とは違い、ちらほらと冒険者らしき者たちがいた。

俺はフィリア(+猫)を連れて、ガラ悪マッチョのところに行く。

「ん? フィリア?」

「こんにちは、ギルマス」

ガラ悪マッチョがフィリアに気付くと、フィリアが挨拶をした。

「猫を見つけたんだけど、牙を剥かれたからフィリアに頼んだ」

ここにフィリアがいることを説明する。

「あー……そういえば、お前、猫に嫌われるって言ってたもんな」

「そうそう。ミケは俺のことが好きだけどね」

「あいつ、クソ詐欺師って言ってたぞ?」

猫ちゃん、ひどい……

「まあいいや。はい、これが依頼の猫」

「はいよ。フィリア、くれ」

「はい」

ガラ悪マッチョが手を出すと、フィリアが猫を渡す。

なお、その間、猫はすごく大人しい。

「おー、可愛いな。大人しいし」

猫を抱くガラ悪マッチョを見て、ちょっとイラッとした。

「これで依頼は完了でいいな?」

「おー、いいぞ。今日からお前は冒険者だ! 喜べ」

あんま嬉しくないな。

「冒険者って何をすんの?」

「報酬をやるから今日みたいな依頼をこなせ。あ、これが報酬」

ガラ悪マッチョが銀貨1枚を渡してきたので受け取ると、財布から銅貨を取り出し、フィリアに渡す。

「はい。ありがとね」

「どういたしまして。ちなみに、依頼はあそこに貼ってあるから好きなものを取って、受付に提出すればいいんだよ」

フィリアがそう言いながら左にある壁を指差す。

壁には所狭しと紙が貼ってあった。

「へー…」

壁の近くまで歩くと、フィリアもついてくる。

そして、一緒に依頼の紙を見始めた。

「いっぱいあるから好きなのを選べばいいんだよ」

ふーん……

ゴブリン討伐、薬草採取、オーク退治、ウルフの駆除……

「討伐系が多いな」

「さっきも言ったけど、ここは大森林の近くだからね。こういうのがメインだよ」

討伐系は厳しいかもしれないな。

ハンドガンがどこまで通じるかもわからない。

「フィリアも出るのか?」

「出るよー。私はヒーラーだからあんまり戦わないけど」

まあ、強そうには見えない。

完全な回復要員だろう。

「フィリアっていくつなんだ?」

「私? 18」

18歳か。

若いと思っていたが、10代だ。

魔法があるとはいえ、10代の女子が魔物と戦うような世界なんだ。

「採取系かな……」

「大丈夫? 町の外に出ることには変わりないよ?」

「ある程度は避けられる」

「あー、占いか……」

本当にある程度だがな。

とはいえ、外には出てみるつもりではあるし、一度やってみてもいいだろう。

「おすすめは?」

「初心者は薬草じゃないかな? 森に生えてるけど、そこまで奥じゃないし」

そう言われたので薬草採取の依頼を見る。

1株で銅貨1枚か。

安くね?

100株を集めてようやく金貨だ。

「うーん、微妙……」

「じゃあ、黄金草かなー?」

そう言われたので数ある依頼の紙の中から黄金草採取依頼を探す。

「あー、あれか……」

黄金草は1株で金貨1枚か……

値段は良い。

「黄金草は森の奥ってオチだろ」

「そうなんだけど、たまに浅い所でも生えてるよ。滅多に見つからないけど、リヒトさんの占いで見つけられない?」

なるほど。

それは良い考えかもしれない。

「やってみるか」

しかし、こいつ、便利だな。

本当に商才というか、金儲けの才覚がある。

マジでこいつに相談をかけたほうがいいかもしれない。

「行くなら明日の方がいいよ。もうすぐで暗くなるし、夜は危険だよ? 門も閉まっちゃうし」

もう夕方くらいかな?

「じゃあ、明日にするわ。フィリア、色々とありがとう」

「いえいえー」

「お前も来る?」

ヒーラーがいたほうが良いかもしれない。

こいつ、色々と詳しいし。

「行ってもいいけど、半分貰うよ? あと、砂糖は?」

あー……そういえば、砂糖を頼んでたわ。

「うーん、悪い。砂糖を優先してくれ」

「わかった。リヒトさんは鳥の籠だったよね?」

「鳥の籠?」

「宿屋の名前。違うところに移った?」

あー、あそこって、鳥の籠って名前か。

「いや、ゲルドに連れて行ってもらったところから動いてない」

「じゃあ、鳥の籠だ。何か動きがあったら知らせに行くよ。私は教会か市場にいると思うから何かあったら声をかけてね」

「わかった。頼むわ」

そのままギルドを出ると、フィリアと別れ、宿屋に戻る。

「ただいまー」

宿屋に入ると、帰りの挨拶をする。

「おかえりなさーい!」

受付に近づくと、サラが受付から出てきて、元気に出迎えてくれた。

そして、俺に目の前まで来ると、嬉しそうに見上げ、ニコニコと笑う。

何を期待しているのかわかったのでそんなサラの頭を撫でると、飴を取り出す。

「あーんして」

「あーん」

サラが嬉しそうに口を開けたので飴を放り込む。

「晩御飯はもう食べられる?」

「大丈夫です!」

「じゃあ、日替わりをお願いしようかな」

そう言って、銅貨を9枚渡す。

「1枚多いよ?」

「チップだよ。サラは可愛いからねー」

「ホント!? ありがとー! おとーさーん! 日替わり1つー!!」

サラはテンションマックスで奥の食堂に向かったのであとに続いた。

すると、サラに似ても似つかないごついオヤジが料理を持ってくる。

メニューはパンとスープと肉料理だった。

パンはちょっと堅いが、味は普通であり、スープはベースとなる味がなく、塩っぽかった。

ただ、肉は美味かった。

「普通に食えるな」

日替わり定食はボリュームも多く、満足できるものではあったが、調査的にはよくわからなかった。

よく考えたらロクに料理しないし、どんな調味料が売れそうなのかわからない。

悩みながらも晩御飯を食べ終えると、部屋に上がり、ベッドの上で今後のことを考える。

色々と調べてわかったことは自分自身が何も知らないし、何もできそうにないということだった。

子供の頃から霊媒師をしており、他に特技もなければ趣味もない。

「うーん……やっぱりフィリアに頼むか」

問題はスマホのアプリで自由に世界間を行き来できることを素直に伝えるかだ。

今後、商売を任せるにしても商品の搬入は俺だろう。

砂糖をあと10袋買って、持ち込むとしてもどこから持ってきたのかという話になる。

フィリアに伝えないという手もあるが、それは相手を信用しないということであり、ビジネスパートナーとしてそれはいいのだろうか?

少なくとも、フィリアは疑うだろう。

相手を信用しないということは向こうもこちらを信用しない。

信頼関係のないビジネスは確実に破綻する。

「悩むなー……まあ、とりあえずは砂糖の状況を見てからにするか」

明日は午前中、森に行き、黄金草を採取しよう。

よく考えたら当面の金がない。

明後日には宿の更新で金がいるし、先立つものがいるだろう。

そして、午後からは商人ギルドに行き、その辺で占いをしてもいいかを聞こう。

ついでに商いの話でも聞いてくるかな。

明日の予定を決めると、スマホを開き、時間を見る。

時刻は2時と表示されている。

つまりはこっちの世界は夜の8時ということだ。

「うーん……やることねー」

こっちの世界にはテレビもなければネットも繋がらない。

マジでやることがない。

「酒でも持ってくれば良かったな」

下に行けばあるかな?

ギルドも酒場っぽかったし、あるかもしれない。

今度、行ってみるかな。

酒に酔ったバカな客を騙し、カードで金を巻き上げるのも悪くはないだろう。

「今日は寝よ……」

たいして眠くはないが、目を閉じ、夢の世界に行くのをじっと待つことにした。

「しかし、あんま良いベッドじゃないなー」

そりゃ、馬車の中よりはマシだが、やっぱ家のベッドの方が良いわ。

その辺も考えないとなー。

何せ充電期間が24時間ということはこっちに来てたら1泊はしないといけないことになるのだ。

やることが多い…………むにゃむにゃ。