軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

65.レイアふたたび

ふむ、意外とすんなりオッケーをもらえたな……。

ディアがいることも大きかったか。

そういえばドリアードもすぐに移住を決めてくれた。

その辺りの思い切りの良さは共通なのかもしれない。

「ぴよぴよ、ぴよよ!」(これからよろしく!)

「ぴよ、ぴよよー!」(お世話になります!)

「これからよろしく、おせわになります……だぴよ!」

「ああ、こちらこそよろしく」

「ふふっ、もふもふが来てくれます……」

「ぴよ、よかったー!」

とりあえず泉の側に大樹の家を作り、俺達は一旦帰還することにした。

荷物的にもコカトリスが保存していた餌を持ち帰るので一杯なようだし。

素材も持ち帰れたので、目標は達成できたからな。

あとは……フラワーアーチャーの対策か。地下通路も含めてザンザスの冒険者ギルドへ連絡をしないといけない。

冒険者ギルドはどう動くのだろうか。

普通だと討伐依頼ということになる。しかしそれだとかなり時間はかかるだろう。

なぜならDランクの魔物が千体、さらにボス個体もいるだろうから。

数人の冒険者達でどうこうなるレベルではない。

数十人を動員して、作戦を立てて……うーん。早くて数ヶ月か?

俺達も手伝えばもっと早く終わりそうだがな。

レイアとよく相談するしかないか。

村に帰った俺達は、さっそくコカトリス姉妹を住まいへと案内する。

ちゃんと藁もあるし、最初からコカトリス用に作っているからな。

「ぴよよ~」

「てんじょうがたかーい……ぴよ」

「大人サイズでも入れるようにしたからな。どうだ、大丈夫そうか?」

「ぴよよ、ぴよ!」

「きにいりました、だそうぴよ!」

良かった。

というか、その辺りの判断も早いな……。

ドリアードもあんまり悩まないし、同じような思考回路っぽい。

野生に近いという意味では同じだしな。

ステラがコカトリスのご飯を準備しながら、

「これから地図を作りますから、あの花をみかけた場所とか教えてくださいね」

「ぴよよ、ぴよー」

「きょうりょくする、ぴよ!」

ステラは話ついでにもふもふしたいだけなのでは……。

今も座っているコカトリスにご飯をあげながら、ブラッシングしている。

「んふふ……ふさふさ、もっと毛並みを良くしましょうね」

「ぴよー……ぴよ」

コカトリスもうっとりしているな。

まぁ、ブラッシングされるのは初めてだろうし。

ちなみにコカトリスの抜け毛は高値で売れる。ご飯代くらいは余裕で賄えてしまう。

なのでこちらに金銭的な負担はほとんどない。

ちゃんとコカトリス姉妹からは了承をもらっているのだが……抜け毛がご飯になるくらいは理解できてるようだけど。

……この辺はもう少し成長すれば話ができるんだがな。

今お金とかの話をしてもわからないだろう。

とりあえずコカトリス姉妹はこれでいいとして……さて、レイアに手紙を書くか。

それから二日後、ザンザスの冒険者ギルド。

ギルドマスターのレイアは手紙に目を通していた。

まずはジェシカからの報告。

コカトリスクイーンのディアはすくすく育っているらしい。

「ふむふむ、人間の子供相当の会話能力もあり。かわいいんだろうな……。というかコカトリスが喋るのでは、もう無敵では?」

「……何を仰っているのですか」

ツッコミを入れるのはレイアの秘書。

レイアと同期の元女性冒険者だ。というか幼馴染みのレベルの付き合いなのだが。

秘書は心中、ため息をつく。

机の上には乱雑に置かれた書類と、綺麗に並べられたコカトリスグッズ。

そしてレイアの頭の上にはコカトリス帽子……。

普通なら真面目に仕事をしてください、と言うところだ。

しかし秘書は知っていた。

レイアが誰よりも働き、異例の若さでギルドマスターの地位にいるのは事実。

さらにはザンザスの市政運営にまで携わっている。

そんなレイアが精神の均衡を保つのに、コカトリスは必要不可欠なのだ……。

「……早く会いに行きたいなぁ」

「もう少しで仕事が終わりますから……」

「はぁ、何が適正な冒険者ランクを付けてるかの監査だよ。最近実に面倒だ」

「……仕方ありません、これも時代の流れですから」

「やれやれ……。緊急討伐クエストでも作ってやろうかな。そうしたら監査も後回しにできるのに」

「バレたら後が面倒ですよ」

「そうなんだよねぇ、はぁー……」

レイアがコカトリス帽子から垂れてる糸を引っ張る。

ぴよ!

この行為に特に意味はない。ただ疲れているだけなのだ。

続けてレイアはエルトからの手紙を取り出す。

「かなり分厚いですね」

「色々と入っているね。地図か、これは……。ふむふむ……んん……」

レイアが机の上にあるコカトリスぬいぐるみを引き寄せた。

ふわふわの小さなコカトリスぬいぐるみ。

それを触り出したレイアを見て、秘書は緊張する。

『レイアがコカトリスぬいぐるみを触りだしたら、要注意。重大案件』

これは冒険者ギルドの一部で知られている事実だ。

そのままレイアは何も喋らず手紙に素早く目を通していく。

「……ふむ。とんでもないことが起きているな」

「そんな重大なことが……? コカトリスクイーンよりもですか?」

「まずはフラワーアーチャーの群れが確認された。推定数は千体以上、らしい」

「あうっ……重大案件じゃないですか」

「まぁな。しかし数百年間も放置していた領地なんだぞ、魔物くらいいる」

「千体となるとかなり大事ですね……」

「根絶までに五十人で三ヶ月ほどか。マニュアル通りに対処するなら」

「それくらいでしょう……」

「あともうひとつ、こっちの方が重大だな」

秘書は首を傾げた。

フラワーアーチャー千体はかなりの大物だ。

それより重大なこと……?

「…………ドラゴンでも出たんですか?」

「その方が気楽だったかもな。ふふっ、エルト様はやはり『持っている』ようだ」

「持っている……?」

「そうとしか言いようがない。エルト様は発見したようだ……。ザンザスのダンジョンに繋がっているかもしれない地下通路を」

「ええええーー!?」

秘書は腰を抜かしそうになる。

ザンザスのダンジョンの入口はひとつ。

この数百年、少なくない人が他の入口がないか探していた。

もちろん冒険者ギルドでも長年調査はしている項目である。

特に厄介な第二層をスキップできればと、誰もが思っていたのだが。

ワープボールはいつになっても面倒なのだ。

「ふははは、これが本当なら――面白くなってきたぞ! 新しい歴史の始まりだ!」

手紙を送ってから数日が経った。

何気ない、しかし気持ちいい朝。

コカトリス姉妹は村にうまく適応している。

思えば姉妹というのも良かったのかもしれない。寂しくはないからな。

とはいえ様子を見るのは欠かさないが。

「よし、今日も姉妹に会いに行くか」

「ぴよよ、あいにいくぴよ!」

「我もついていくぞ!」

「マルちゃんもいくぴよ!」

「私も行きます……!」

「ぴよ、いくぴよー!」

マルコシアスもすっかり馴染んできたな。

ディアの舎弟ポジションの気がするが……。

まぁ、マルコシアスも特にそれに不満はないようだし。

一回り大きくなったディア、ステラとマルコシアスを連れて俺は家を出る。

フラワーアーチャーの発見場所も大体聞き終わったし、そろそろ次の手を打たないとな……。

と、村を歩いていると何台もの馬車が乗り付けてきた。

かなりのスピードだ。相当慌てていたらしい。

なんだなんだ。

こんなに客が来るとは聞いてないぞ。

そのあとも続々と馬車が来る。

結局、十台もの馬車が到着した。

何しに来たんだ……?

「ぴよ、いっぱいきたぴよ」

「……ああ、どこの人達だ……?」

目を丸くしていると、先頭の馬車から人が出てきた。

……あ。

「エルト様、お久し振りです! お手紙拝見しましたよ。早速ですが冒険者五十人、連れてきました!」

「……ぴよ」

現れたのはザンザスの冒険者ギルドマスター、レイア。

素晴らしい……。もう来たというのか?

しかも冒険者も連れてくるとは心強い。

出来る人間は動きが違うな……。

俺もこういう早さは見習わなくてはいけないな。

でも……なんてこった。

どうしてそうなるんだ……。

レイアがコカトリス帽子を被っていた。

「な、なかまぴよー!」

ふむ、やっぱりか……。

領地情報

地名:ヒールベリーの村

特別施設:大樹の塔(土風呂付き)

来訪者+51(ギルドマスターレイアとフラワーアーチャー討伐隊50)

総人口:155

観光レベル:D(土風呂)

漁業レベル:D(レインボーフィッシュ飼育)

牧場レベル:D(コカトリス姉妹)

魔王レベル:F(悪魔を保護)