軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

284.シメジ干すべし

「じゃ、頂くねー」

「恵みに感謝もぐー!」

テテトカとイスカミナ、そしてコカトリス達もパズルマッシュルームに手を付ける。

「「ぴよっぴー!」」(もにゅれー!)

もにゅもにゅもにゅ……。

塩胡椒をふりかけて焼いたパズルマッシュルームは、もにゅ感が減っている。

ちょっとだけパリっとしているのだ。

数匹のコカトリスが焼きパズルマッシュルームをつまみ、じーっと見つめる。

「ぴよ……」(焼かれてる……)

「ぴよよ……」(塩胡椒かかってる……)

「「ぴよー!」」(おいしそー!)

ぴよぴよぴよ!

コカトリスは細かいことは気にしない。

口の中に放り込んで、もにゅもにゅし始める。

もにゅ……ぱり、もにゅもにゅ……。

また別の数匹のコカトリスは煮込みパズルマッシュルームを食べ始める。

深いスープボールには、真っ赤なトマトスープとパズルマッシュルームのかけらがたくさん入っている。

それをコカトリスは羽で器を持って、ずずずーと飲んでいくのだ。

「ぴよ、ぴよ」(赤い、とても赤い)

「ぴよ? ぴよよ?」(やばい? やばくない?)

「ぴよっぴよっ……」(ごっくごっく……)

「ぴよ? ぴよ?」(どう? やばめ?)

「ぴよー……ぴよよ。ぴっぴよ」(もにゅ……もにゅもにゅ。トマトマおいしー感じ)

「ぴよ! ぴよぴよっぴよっ!」(理解した! それならごっくごっく!)

水のように濃厚トマトスープを飲み干していくコカトリス達。

そうしてスープの染み込んだパズルマッシュルームをもにゅもにゅしていく。

もにゅもにゅ……。

「もぐ。いい飲みっぷりもぐ」

「野菜ジュースのように飲みますね……」

それなりに湯気が立っていたとアナリアは思ったが、お構いなしである。しかしコカトリスは人が食べられない植物も、もりもり食べる。

不思議はないのかもしれない。

そして最後、酢漬けのパズルマッシュルームである。

遠い目をしたコカトリスがうにょうにょしながら近づいてくる。

「どうしたのでしょう、このぴよは……」

「まいぶーむ、ってやつらしーよー」

「もぐ。マイブームもぐか……」

遠い目をしたコカトリスが羽をふにっとして酢漬けのパズルマッシュルームをつまむ。

「ぴよ、ぴよよ……」(我もにゅる。ゆえにたぷ減る……)

「なんかたぷが気になるみたいだねー」

テテトカが遠い目をしたコカトリスの羽毛に腕を埋める。

たぷ、たぷ……。

ほどよいたぷが伝わってくる。

「んー、ちょっとたぷかー」

「ちょっとたぷなんですね……」

他人事ではないアナリアが呟く。それにコカトリスがうんうんと頷く。

なんとなく伝わるニュアンスである。

「ぴよ、ぴよー」(では、いざもにゅー)

寝そべったまま、コカトリスは酢漬けのパズルマッシュルームを口に入れる。

もにゅもにゅもにゅもにゅ。

噛めば噛むほど、酢の味が染み渡る。

酢漬けなので当然ではあるが。

しかしコカトリスには、これはとても新鮮に感じられた。もにゅっとした食感に、酢の味……。

エルトがいたら、きっとこう評するだろう。

なんかスルメイカに近い、と。

「ぴよーっ!」

遠い目をしていたコカトリスが、ものすごい勢いで立ち上がる。その目にはめらめらと炎が燃えていた。

「もぐっ!? どうしたもぐ?」

「ぴよぴよっぴ!」

「……なんと仰っているんですか?」

「んっんー。多分ねー……」

テテトカが首を傾げながら、答える。

「シメジ、干すべし!」

「ぴよーっ!」

もにゅもにゅしながら、コカトリスが羽をぴっと立てる。

このコカトリスは遠い昔の記憶を思い出したのだ。

漬けた大きなシメジは干すと良い。それは特に日の当たらない洞窟だとさらに良い――と。