軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

212.恋の味とデートの予想

思ったら即実行。

早速、メロンとぶどうのミックスジュースが出来上がる。

「ぴよ。じゃあ、のむぴよ! あいをしるぴよ!」

「ウゴウゴ、これが愛……」

「の、ようなものだぞ」

マルコシアスがこっそり逃げ道を作る。

ちなみに子犬姿の彼女は、俺の腕の中に抱かれていた。

しっとりとした背中の感触に愛を感じる――ではなく、流れ的にこうした方が良さそうな気がしたのだ。

……愛とはデリケートな話題なのだ。

ここはマルコシアスと共同戦線を張ろう、うん。

そして小さな木製コップに注がれたミックスジュースを、ディアは勢い良く飲み始める。

「ごくごくごくごく……ぴよ!」

いい飲みっぷりだ。

一気に飲み干して、コップをテーブルに置く。

「ぴよ……。これが……あいのあじぴよ?」

目を細めて、首を傾げるディア。

あ、納得してないな。

「そ、そうだぞ。そんなようなもんだぞ」

「ぴよ。んー……ちょっとすっぱいかもぴよね」

そう言うと、ディアは冷蔵庫を開けてごそごそし始めた。

なんだなんだ?

「な、なにをしてるんだ?」

「あじがたりないぴよ……! キウイ、パパイヤ……マンゴーもいれちゃうぴよ!」

「ウゴウゴ、さらにミックスする?」

「そーぴよ! あたしのかんでは、これでさらによくなるぴよ!」

……いや、ミックスジュースとしては良くなるかもだが。

愛の味としてはどうだろうな。

遠ざかる気がするが……しかし、遠いということは近いこともあるのか?

言ったらまた深みにハマりそうだから黙っておくが。

次のミックスジュースが出来上がり、再びディアが勢い良く飲み始める。

「ごくごくごく! ぴよ!」

一気飲みして、ぷはーと息を吐く。

「ウゴウゴ、どう?」

「……おいしいけど、なんかちがうぴよね」

「愛には……味だけでなく深みがあるんだぞ」

「ふかみ?」

ディアが小首を傾げて、羽で持った木製コップをじっと見つめる。

「このコップより、ふかいぴよ?」

難しい質問だな……!

マルコシアスがちょっと焦りながら答える。

「そ、そうだぞ。深いんだぞ」

「じゃ、じゃあ……あたしがふねをうかべてあそぶ、あのおけよりもふかいぴよ?」

さらにディアが首を斜めにかたむけた。

「……そ、それよりも深いんだぞ」

「だいぶ、ふかいぴよね……。ま、まさか……おふろよりもふかいぴよ……!?」

ものすごく首をかたむけるディア。

かわいいが、謎は深まるばかりらしい。

マルコシアスが冷や汗を流している雰囲気を感じるので、助け舟を出すことにしよう。

共同戦線だし。

「まぁまぁ深い、ディアが知ってるよりも」

ぽむぽむとディアの頭を片手で撫でる。

「ぴよ。そんなにあいはふかいぴよね……」

「ウゴウゴ、勉強になった」

「深いからな、一気に知ろうとしないで時間をかけたほうがいい。皆、愛をゆっくり知ろうとしているんだからな」

自分でも何言っているか、よくわかってないが。

割とふわっとしている答えではあるものの、ディアは納得したようだ。

「なるぴよ……! あせらず、ゆっくりしらべてみるぴよ!」

「ただいまーです……!」

あ、ちょうどステラが帰ってきた。

割とバットと服が汚れているのは、講習をやってきたからか。

……ふむ。落ち着いたらウッドのことを話さないとな。

ぱぱっとシャワーを浴びたステラに声を掛けて、書斎へと誘う。

さすがにリビングで話せないからな。

もちろん二人きりだ。

一緒に階段を上っていく。

「エルト様とお話ですか……」

……あれ?

なんだかステラの顔が上気して頬が赤い。

いつもとちょっと違って、もじもじしてる。

あっ。

シャワー上がり、二人きり……!

多分、なんだか違う方向性を予想されてる気がする。

「あの、ステラ――」

「ついに野ボールを普及させるための闇の組織作りを……!?」

「……」

「不肖、このステラも最前線にて粉骨砕身する所存です……!」

「……」

ちょっと一瞬びっくりする。

だけどステラの目を見ると、これが冗談であることがわかる。

俺もそれなりに長い付き合いだからな。

わかるようになってきた。

十%くらいはマジっぽいが、スルーする。

「……ステラ、悪いがその話じゃない」

「んふふ、ではウッドの話ですか?」

「そうだ。気が付いていたのか?」

「いえ、さっき外出している時にテテトカから、ちらっと話が出まして」

なるほど、テテトカはテテトカで動いていたのか。

その辺りはさすが抜かりない。

執務室に入り、二人してソファーに腰掛ける。

「でも私は、今の恋愛事情や結婚事情はわかりません。好きなら好きで良いと思いますが、ウッドの立場上はまた別の判断があり得るかなぁと」

「……それは俺もそうだな。当人が良くても、と言うことはありうる」

貴族であれば避けては通れない。

「先に言っておくと、情報収集も兼ねてアナリアとナールに話しはした。ウッドとドリアードなら、村の基盤にも関わるし」

そこでステラは明らかにほっとしたようだ。

「ええ、その通りですね。私も彼女達と相談したいと思っていました」

「考えは一致してたわけか」

「はい……そのようですね!」

俺としてもステラが慎重なのは良かった。

「テテトカが言うには、ララトマもかなり上の空のようで……良いにしろ駄目にしろ、後押しはしたいとの事でした」

「ふむ……? なるべく良くなるように、というわけではないのか」

「ドリアードの感性かも知れませんが……。あるいは姉妹の違いかもしれませんね」

なるほど、それは大いにありえるか。

テテトカもドリアードの長で、ララトマはその妹。

俺にとってウッドは生まれたての子どもであるが、テテトカにとっては長く生きた妹なのだ。

考えや捉え方が違うのも当然か。

「……ひとつ気になったのですが、ウッドはどれくらい生きるのでしょう? ドリアードはとても長生きのようですが」

「うん……? まぁ、ツリーマンは特別だからな。……俺より長く生きるんじゃないか?」

そもそもゴーレムは魔力があれば長く残る。

ザンザスの第二層でステラが倒した雷のゴーレムしかり、ライオンの騎士像しかり。

さらにウッドは自立心を持って、栄養補給を自前で出来るレベルになっている。

これは植物魔法の特性ありきだが。

……ゲームでは何かのイベントで数千歳のツリーマンも出て来た気がする。

なので多分だが、ウッドも俺より長生きするだろう。

「そうですか……。それなら、ある意味お似合いですね」

「ああ。それにドリアードとの絆を深めていくのは賛成だ。あまり介入するのも良くはないだろうが……俺は二人を見守っていきたい」

「私もそう思います。まぁ、私はこうしてお付き合い出来ている人がいることが奇跡レベルなので、あまり口出しできませんし……」

「そんなことはないと思うが……」

「そうですか? ありがとうございます」

ステラがふふっと笑う。

かわいい。

でもさっき、穏当じゃない闇の組織とかなんとか言ってたからな。それはそれで忘れないぞ、と。

「でもデートとかも……どうするのでしょうね」

「まぁ、この村の中だろうな……」

狭いからすぐに噂になりそうだが。

「……土風呂デートに頭から水を被っていくデートですか……」

あっ。忘れてた。

ドリアードに合わせるとそうなるな。

もしかしてテテトカはそれを気にしていたのか?

ううむ、ウッドなら大丈夫かと思うが。

……なんだか少しだけ不安になってきたな。

俺なら初デートに土風呂と水まきされたら――ショックかも。

でもウッドも土風呂は知っているし、ドリアードも理解しているだろう。うん。

きっと大丈夫だ。

……頑張れ、ララトマ。ウッド