作品タイトル不明
108.お願い。
創造神が思ったより、話の通じる者だった。
それなら魂の件を、お願いしてみようかな。
早目に解決したい問題でもあるし。
「お願いがあるんだけど。無理なら諦める……いや、諦めないか」
俺の言葉に首を傾げる創造神。
「出来る限りの事はします。なんでしょうか?」
いい奴だ。
「呪界と魔界でも、魂が生まれるようにしたいんだ」
「えっ? それは」
戸惑った表情の創造神に、オウ魔界王も彼に視線を向ける。
「魔界は今まで定期的に神国から神や神族が落ちてきていた。そのお陰とは言いたくないけど、魔神や魔族は増えた。呪界は、神国にいたからその恩恵を受けて魂の数は増えていた。でも、魔界も呪界も、これからは魂が増える事が無い」
神国から魔界に神や神族が落ちて来る事は無くなるだろうし。
神国から離れた呪界が、神国の恩恵を受けられる事はもうない。
「あっ、そうですね」
俺の説明にハッとした表情を見せた創造神。
少し考えこむと、目を閉じた。
しばらくその様子を見る。
「すみません。まだ魂の生まれる場所にリンクできませんでした。それと、俺は魂が生まれる場所をまだ見た事が無いんです。関われないようにされていたようで」
周りに邪魔をされていたせいか。
「そうか」
オウ魔界王が少し落ち込んだ様子で頷く。
「でも、調べます。魔界と呪界で、魂が生まれてこられるように」
「「ありがとう」」
どうなるかは、まだ分からない。
でも、ちょっと前進だな。
「他には、ありませんか?」
創造神が期待を込めた目で、俺とオウ魔界王を見る。
それに苦笑してしまう。
彼は、神国の王なんだけどな。
「特には無いかな」
オウ魔界王の言葉に、残念そうな表情を見せる創造神。
「創造神は無いのか?」
俺の質問に、創造神の視線が彷徨う。
これは言う事を迷っているのか?
「なんでもいいぞ」
「教えて欲しい事があるんです。あなた方は、世界をどう把握していますか?」
把握?
神国を手中に収めたいのか?
でも、神国の王なのだからそれは既に出来ているはずだ。
あっ今は無理なのか。
でも、神国の今を少しとはいえ見る事が出来たのだから、いずれ全てを見られるようになるだろう。
だから、そんな心配はしなくていいはずだけど。
創造神の質問の意図が分からず首を傾げる。
「聞き方がまずかったかな? えっと、問題を起こす神達を、どう抑え込んだらいいのかと思って」
これは俺には答えられないな。
呪界には俺しか神がいないから。
でも、神国の神と、呪界のゴーレム達は同じ立場のような気がするんだよな。
創造神をフォローする神達。
俺をフォローしてくれるゴーレム達。
つまり、問題を起こすゴーレム達をどう抑え込むか……無理だろう。
「抑え込む方法か」
オウ魔界王の言葉に創造神が頷く。
「魔界は神国とは違うから、役に立たないと思うぞ」
「違うんですか?」
創造神の不思議そうな表情に、オウ魔界王が頷く。
「そうだ。魔界は特に力が強い者に、自然と従う習性がある。力の強弱で態度を変えるから、魔神達は分かりやすいかもしれないな」
そうだった。
圧倒的な力を見せると、反発していた者も従うんだった。
「そうなんですか?」
なぜか俺を見る創造神。
それを不思議に思いながら頷く。
「そうだよ。魔界は力で、色々な事が決まる世界だ」
オウ魔界王の言葉に、神妙に頷く創造神。
「そうですか」
たぶん神国ではこの方法は無理だろうな。
「呪界はどうですか?」
「俺の世界では、そもそも神が俺以外にいない。神と同じ役目を果たしてくれている者達が問題を起こしたら……どうするかな? 考えた事も無いんだよな」
ゴーレム達が問題を起こすとすれば、それは俺の為だ。
だから、怒る事は出来ないよな。
問題が大きかったら、加減をするように言うかな?
「彼等が裏切ったら?」
創造神の言葉に首を傾げる。
ゴーレム達が俺を裏切る?
……全く想像できない。
そんな事が起こる可能性は……あるのか?
「彼等が呪界王を裏切る想像が全く出来ないな」
オウ魔界王の言葉に視線を向ける。
彼はサブリーダーと一緒に仕事をしている。
だからサブリーダー含め、ゴーレム達の事を少しは知っているだろう。
そんな彼が「想像できない」と言うなんて。
サブリーダー達の何が、そう思わせるんだろう?
「そもそも、彼等は呪界王が作ったんだろう? 裏切らないように作ったんじゃないのか?」
「えっ?」
最初に作ったのは一つ目達だけど、裏切らないようになんて考えた事も無いな。
ただ、童話で読んだ「夜中にこっそり手伝ってくれる存在」を求めたんだよな。
こっそり手伝うどころか、俺の仕事を全てやってしまう万能な存在だけど。
「その表情は、全く考えていなかったな」
「あぁ、俺は手伝ってくれる存在を作っただけだから」
オウ魔界王の言葉に頷くと創造神を見る。
「ごめん、俺では役に立てそうにない」
「いえ。それより、作ったというのはどういう事ですか?」
創造神の質問に、ゴーレムの事を説明する。
誕生した経緯やこれまでの事を。
そして創造神をフォローする神達の代わりに、呪界ではゴーレムが俺をフォローしてくれている事も言った。
「そんな存在がいるのですか」
少し羨ましそうに俺を見る創造神。
いや、俺もゴーレム達がここまで凄い存在になるとは、思っていなかったし。
と言うか、欲しいなら作ればいいのでは?
「作ろうとしても出来ないから諦めた方がいいぞ」
オウ魔界王の言葉に、視線を向ける。
「どういう事だ?」
「興味が湧いたから作ったんだ。でも、求める物は出来なかった」
作ったのか。
でも、出来なかった?
素材さえあれば、誰でも作れると思うけど。
「確かに作れる。でも、あんな風に動かない。命令した事しか出来ないしな」
命令した事か。
ゴーレムは、普通はそうらしいんだよな。
俺の中でのゴーレムはリーダー達だから、違和感しかないけど。
「リーダー達をイメージして、ゴーレムを作っても駄目だったのか?」
魔法はイメージが大事だからな。
「駄目だった」
「そうか、残念だな」
誰でも作れるものだと思っていたから、少しビックリだな。
あれ?
どうしてゴーレムの話になったんだっけ?
「あっ」
創造神の質問だ。
「問題を起こす神達を、どう抑え込んだらいいのか」だったよな?
創造神を見る。
「創造神、悪い。やはりゴーレムと神は違うから、質問には答えられないよ」
俺の言葉に頷く創造神。
「世界が違うと、色々異なるんですね」
まぁ、そうだな。
「分かりました。神国での方法を探してみます」
「ある程度は力技でもいいと思うぞ」
オウ魔界王の言葉に、笑みを見せる創造神。
あ~、これは力技も考えているな。
まっ、しょうがないよな。
今までの神達の様子から考えたら、必要だろう。