作品タイトル不明
98.あっ、失敗。
―ロープ視点―
フィオ神と創造神が話している様子を、こっそりと眺める。
姿が無い時と違い、体があると隠れる必要があるのが少し面倒くさい。
精神体の方で来ればよかった。
「会われますか?」
フィオ神の言葉に、複雑な表情をする創造神。
これは断りそうかな?
「同じ立場の方達と、意見を交換するのはいい事だと思います」
「そうか、うん。会ってみるよ」
「では、詳しい日時が決まりましたらお知らせします」
フィオ神が、創造神の返答にホッとしたのが分かった。
さすがに創造神を前にするとフィオ神でも緊張するのかな?
創造神を見る。
少し離れた所からでも分かるぐらい顔色が悪い。
相談していた相手が裏切り者だった事に、かなり参っているとフィオ神が言っていた。
主と会う事で、少しでも自信を持つことが出来ればいいけれど。
そう言えば、主は創造神と会ってどうするつもりなんだろう?
……まぁ、主の事だからきっと色々考えているんだろう。
たぶん。
ここの用事は終わったから……隠れている神達の様子でも見に行こうかな。
落ち神の事を早く知らせたいけど、我が知らせたところで信じてくれないだろうな。
何度も説得したら信じてくれるかな?
ん~……警戒心が強まるだけのような気がする。
まぁとりあえず、神達が隠れ住んでいる星に向かおう。
「ここからだと、あっちだ!」
星を見つけた時に、我の力で印をつけた。
なので、見つけるのは容易い。
だって、自分の力を見つけるだけだからね。
そっとフィオ神達から離れ、星に向かって移動する。
「ようやく、着いた」
まさか、目指した星まで1時間もかかるなんて思わなかった。
精神体の時は、スッと移動が出来たのに!
体があるのって、色々と不便だな。
まぁ主が喜んでくれたので、それは良かったけど。
「まずは星に侵入しないと駄目なんだけど……かなり厳重に星が守られているんだよね」
精神体の時もかなり苦労した。
だって星を守っている結界は、少しでも他の力を感じたら中にいる神達に連絡が行くんだもん!
この結界だけ見れば、かなり力のある神がこの星にいると錯覚するよな。
実際は、力の弱い神達しかいないけど。
あれ?
それならこの星に結界を張ったのは、どの神なんだろう?
……もしかして、力のある神が協力している?
これは少し気に掛けておこう。
「今回は体があるから、どうしようかな? そうだ。前に侵入した時と同じ結界なら……纏う力を変化させて、自分の力は結界内にしっかり隠して」
緊張するな。
張られた結界に触れた瞬間、異物だと判断されたら逃げないと。
「結界の種類が変わっていませんように」
そっと手を伸ばし、結界に触れる。
……反応なし!
ホッとすると体から力が抜けるのが分かった。
なるほど、緊張すると自然と体に力が入るんだ。
でもこれだと、知らない間に疲れが溜まりそう。
後で、しっかりと体のメンテナンスをしないと駄目かな?
「おじゃまします」
そっと結界内に侵入をはたし、地上を目指す。
体がある為、見られる可能性があるな。
結界で体を見えにくくするか。
「結界」
体の周りに、うっすらと膜が張られた。
これで、少しは姿を隠せるはずだ。
ところで、……どこに降下しているのかな?
「うわぁ、砂漠だ」
降下しながら周りを見るが、見渡す限り砂しかない!
こんな風景は初めてだ。
「感動してたら駄目だな。えっと、神がいる可能性がある場所は……」
周りを見渡す。
あっ、家があった。
えっと、ここから20kmぐらいかな?
よかった、歩いて行ける距離に家が見つかって。
地面に足が着くと、砂に足が少し沈む。
なんとも面白い感覚に、少しそこで足踏みをする。
「ふふっ。なんだか普通の地面より、ぐらぐらするな」
よしっ。
砂にも慣れたから、家が見えた方へ行こう。
歩きだと、どれくらいかかるかな?
「ん~、思ったより進まないな」
歩きだしてから数十分。
予定した距離を歩けていない。
きっと砂に足を取られてしまうからだと思う。
情報では知っていたけど、本当に歩きづらい。
それに周りの景色も変わらないから、歩くのに飽きた。
砂を蹴る……走るか。
ぐっと足に力を入れて地面を蹴る。
砂が蹴った力を吸収してしまうのか、思ったより距離が稼げない。
これは、普通の地面より時間が掛りそうだ。
完全に、砂を甘く見ていたな。
「家、発見!」
砂に足を取られながらなんとか、目的地に到着。
「はぁ、ようやくだ」
最初の予定よりかなり遅くなったな。
周りを警戒しながら家に近付く。
家の中からも周辺からも、気配がしない。
まさか、空き家なのか?
家に近付き、窓からそっと中を窺う。
部屋にはベッドや机などがあり、机の上にはコップや汚れたお皿がある。
良かった。
「誰かが生活しているみたいだな」
周辺を見渡しながら、神の持つ神力を探る。
少し離れた場所に、神力が複数感じられた。
「見つけた」
彼等のいる場所は、この家からは少し離れているみたいだな。
歩きで、30分ぐらいか。
走ればあっという間に着くな。
……まぁ、見つからないようにゆっくり歩いて行こう。
家の前に作られた道を歩きながら、周りを見回す。
少し離れた場所に、複数の家が見えた。
でも、どの家からも神力は感じられない。
この先に、集まっているのかな?
何をしているんだろう?
「到着」
やっぱり30分だったな。
「神達は……あっ、収穫をしていたのか」
視線の先には、畑で収穫作業をする神達の姿。
なんだか、主のいる星のようでほっこりしてしまう。
「誰だ!」
「あっ」
失敗した。
まさか、後ろを取られるとは。
もしかして精神体の時より、気配に鈍感になっているのかな?
「子供?」
そっと後ろを振り返る。
槍を持った神が、困惑した表情で俺を見下ろしていた。
「……」
今日は、神達の様子を見るだけのつもりだったんだよな。
どうしようかな?