作品タイトル不明
97.ちっちゃい俺!
オウ魔界王に創造神と会わないかと提案したのは2日前。
今日、いい返事が貰えた。
ただ創造神に会うためには、神に協力してもらわなければならない。
誰に協力を頼もうか考えて、今回はフィオ神にお願いする事にした。
彼は、神の中でもかなり上の地位にいる。
創造神に会おうと思ったら、その地位が必要になるかもしれない。
という事で、ロープを呼んでフィオ神と連絡を取ってもらう事にした。
ロープに声を掛けると、いつもよりテンションが高かった。
それを不思議に思いながらも、フィオ神に連絡を取って欲しいとお願いした。
ロープはすぐにフィオ神と連絡を取り合い、詳しい話をするために明日の午後からフィオ神が呪界に来ることになった。
「ロープ、いつもありがとうな」
「いいよ! それより、主に見て欲しいから、そこで待ってて」
「分かった」
ロープの言葉に首を傾げながら、ウッドデッキでロープから声が掛かるのを待つ。
見て欲しいと言っていたな。
何を見せてくれるんだろう?
「んっ? フィオ神が来るのは明日だよな?」
庭の上空が少し歪んだのが見えた。
先ほど連絡を取ったフィオ神かと思い立ち上がるが、来るのは明日だと思い出す。
「魔界かな?」
あれ?
歪みから感じる力に、眉間に皺が寄る。
この力は、神国でも魔界でもない。
「どこと繋がったんだ?」
少し警戒しながら、庭に出る。
そして上空の歪みを見る。
少し不安定なのか、ユラユラと空間が揺れている。
そして、そこからポンと何かが飛び出すと目の前に降り立った。
「えっ? …………」
目の前に降り立ったのは、1人の男の子。
おそらく10歳ぐらい。
「主。どうだ、この姿!」
「…………」
無言で目をこする。
そしてもう一度、男の子を見る。
今、この男の子からロープの声が聞こえた。
まさか……、
「ロープか?」
「そうだよ。それより、どう? どう?」
男の子が目の前でくるくる回る。
いや、ロープがくるくる回っているのか。
それにしても、この男の子の姿は……どう見ても10歳ぐらいの俺だ!
「主の望み通り、体を作ってみた!」
確かに言ったな。
精神体? と言っていいのか不明だけど、姿が見えない事が不便だったからロープにも体があったらいいのにと。
その時、魔石でロープの体を作ったが中に入る事は出来なかった。
まぁ、考えたら当たり前だよな。
本体は魔幸石で、そこに魂がある。
精神体は、力の塊なのだから。
「あれ?」
本体の魔幸石に魂があるんだよな。
でも、男の子はロープで……んっ?
魔幸石に問題があったとは聞いていない。
「どうやって作ったんだ?」
「神が研究していた、魂を分ける方法を完成させて、我の魂を2つに分けたんだ。それで、分けた魂の核のない方に、新しい核を埋め込んで人になるように育てたんだ」
……んっ?
よく分からなかった。
えっとつまり、神は魂を分ける研究をしていた。
それをロープが完成させた。
そしてロープは自分の魂を2つに分けた。
核の無い魂に、新しい核を埋め込んで、この目の前の男の子を作った。
……なるほど、そういう事か。
って、色々駄目だろう!
「その研究は、問題ありだと思うが?」
「うん、違法だよ。魂を研究してはいけないという、神のルールに違反しているからね」
やっぱり。
「その違法な研究を使用したのか?」
「うん。自分に使うんだから、問題ないかと思って。それに方法を見ている限り、神では絶対に成功しないしね」
そうか。
「あっ、見つけた研究資料は全て排除しておいたから大丈夫だよ」
それは、大丈夫なのか?
証拠品では?
「その神はどうしたんだ?」
「神族を誘拐して殺した罪で捕まった。まぁ正確には、研究材料として誘拐して、実験で殺していたんだけど」
他にも、色々と悪事をやっていたのか。
「それで、この子はどう? 主を真似て作ったんだ」
「あぁ、俺の10歳頃にそっくりだ」
目の前の男の子の姿をしたロープを見る。
なんとも不思議な気持ちになる。
10歳頃の自分が、目の前にいるんだから。
「それにしても、どうして10歳頃の俺だったんだ?」
別の者でもよかったはずなのに。
それにしても、この頃の俺って……ば、全く賢そうには見えないな。
まぁ勉強もせず、外を走り回っていた時期だから、しょうがないか。
「主が好きだから、主にしたんだよ。それと子供の姿なのは、神達の警戒を解くには、この姿がいいと思ったから」
どうして神達の警戒を解く必要があるんだ?
「その姿で、何かする予定でもあるのか?」
「神と神族を、呪界に勧誘すると、言っていたでしょ? その勧誘をこの姿でやるつもりなんだ」
「あぁ、そうなんだ」
確かに子供の姿だったら、少しは警戒心が薄れてくれるかもな。
「主、いつから勧誘したらいい?」
「そうだな……」
ロープがやる気みたいだし、とりあえず接触してみて様子を見るのもいいかもな。
ただ、創造神との顔合わせの前にすると、バレた時に……まぁ、いいか。
バレたらバレた時だ。
「とりあえず、隠れている神達の代表と接触を試みてくれないか?」
「分かった。任せて!」
……俺の姿で言われると、凄い違和感がある。
あれ?
そう言えば、リーダーが異様に静かだな。
何処に……なんだ、傍にいた。
というか、その手に持っている物は何だ?
レンズが付いているな。
向いている方向は……ロープ。
「まさか、録画装置?」
「はい! ナインティーンの自信作です!」
凄いな。
どんどん、新しい道具が増えていく。
それより、いつまで撮っているんだ?
「……。はい、終わり」
俺が気付いてから既に5分。
十分だろう。
「えっ? 主の子供時代かと思うと、止められなくて」
いや、確かに俺の子供時代に似ているが、表情は全く違うぞ。
俺は、ロープみたいにニコニコ笑っていなかったからな。
「あ~、主の子供だ!」
「違うぞ! これはロープだ!」
翼の言葉にちょっと焦ってしまう。
別に焦る必要は、全く無いのだが。
それにしても俺の子供って……似ているから、そう思っても仕方ないのか。
「そっくりだ~」
紅葉が興味津々と、ロープの体を突く。
それに太陽も楽しそうに手を握ったりしている。
「凄い? 似てる?」
「「「「「うん、凄い!」」」」」
子供達に、人気だな。
あれ?
獣人達が、森から戻って来たみたいだな。
最近では、午前に広場で訓練。
午後に森へ行って、訓練。
彼等はどこまで強くなりたいんだ?
「おかえり~」
あれ?
なぜか、全員がこちらを見て固まってしまった。
「あっ、俺の子供ではないからな!」