軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

70.成功。

「どうだった?」

1週間前、魔界でも育てられる種が誕生した。

魔神力と闇の魔力を調整し、ようやく完成した種。

今日は、種を植えてからの最初の報告日となる。

「問題なく、しっかり成長しています」

「「「やった!」」」

一緒に頑張った農業隊のゴーレム達と喜び合う。

けっこう大変だったからな。

力の微調整が。

でもこの挑戦で、魔界の力が満ちている方がよく育つ野菜がある事を発見。

これには農業隊もかなり驚いていた。

そして、良く育つ野菜を中心に種作りを頑張り、現状を迎える事が出来た。

「本当にお疲れ様」

頑張ってくれた農業隊の2体。

サーティーンとフォーティーンの頭を撫でる。

「これからも、色々な種類の種が作れるように頑張ります」

サーティーンの言葉に、頷くフォーティーン。

最初は俺の手伝いだったのに、いつの間にかサーティーンが中心になりフォーティーンは補助するようになった。

俺は、サーティーンの指示で力の配分を変えたり、種に含まれている力を詳しく調べたり……。

まぁ、これからは2体に任せれば問題ないだろう。

「頼むな」

「「はい」」

任せてしまったので、2体を置いて洞窟を出る。

魔界用の種作りも、今のところ問題なし。

これからどんどん野菜の種類も増えて、魔界の食生活も良くなっていくだろう。

「魔界の王は決まったし、料理の問題は第1歩だけど順調。そういえば、敵対していた魔神達はどうなったんだろう?」

「そちらも問題は、全て解決しました」

「うわっ!」

ビックリした。

振り返ると、サブリーダーが俺を見上げていた。

気配を感じなかったぞ。

「そうなのか?」

「はい。ギュア魔神は亡くなり、ドルハ魔神はオウ魔神に忠誠を誓いました」

「へぇ」

えっと、ギュア魔神が魔界を牛耳ろうとしている勢力のトップだったよな。

で、ドルハ魔神が神国を滅ぼそうとしているんだったな。

あれ?

ドルハ魔神?

……あっ、元魔界王のボルを監禁していた魔神だったよな。

「ギュア魔神は亡くなったからいいとして、ドルハ魔神の罪はどうなったんだ?」

「罪ですか?」

あれっ、なんだか反応が。

「魔族達や魔神達を虐げてきただろう?」

俺の言葉に、サブリーダーが頷く。

「魔界王の力が弱まり、秩序と法律が消えた世界だったため、強者がした事は罪にはならないそうです」

「えっ? 秩序と法律が消えるってどういう事だ?」

法律が消えたりはしないと思うんだけど。

「それらを守らせているのは魔界王なので、力が弱まると誰も守らなくなるため消えると言われています」

凄い世界だな。

というか、魔界王が弱くなると強い者が何をしてもいい世界になるのか?

強かったら、魔神や魔族を沢山殺してもOK?

怖い世界だな。

「魔界は、秩序と法律が消えると純粋に弱肉強食の世界になるそうです」

ん~……意味が分からない。

というか、純粋と弱肉強食は、一緒に使う言葉ではない。

純粋は、雑多なものがまじっていないことで、弱肉強食は、強い者が弱い者を 餌食(えじき) にして栄えることだ。

「つまり?」

分からないから、聞こう。

「魔界に住む者達は、法律が施行されている時はそれを絶対に守ります。でも魔界王の力が弱まった時は、魔界本来の弱肉強食の考えになるそうです。つまり、強者も弱者も『強者は何をしてもいい』と考えるそうです。もちろん家族が殺されたら悲しいですが、だからと言って強者に対して罪を問おうとはしません」

「マジ? 殺した者を憎むだろう?」

「魔界の力を考えると、憎しみに飲み込まれそうですが、魔族達は魔界の力に全く影響を受けません。というか、弱者であればあるほど、誰かを憎むことは無いみたいです」

「そうなんだ」

「はい。ドルハ魔神はオウ魔神とゴルア魔神の次に強者の魔神です。なので、誰も彼を罪に問おうとはしませんでした。オウ魔神に忠誠を誓った事の方が重要みたいですね。これで魔界は安定期に入ると魔族達は歓声を上げていました」

「そうか。魔族達がそれでいいなら、それが正しいんだろう」

この世界と魔界では、ルールが違うと思えばいいか。

「強者がやりたい放題だな」

でも、ちょっと気になる。

「そうでもないですよ」

「そうなのか?」

強者が何をしてもいいなら、魔神達はやりたい放題になると思うけど。

「魔界で最も強いのは魔界王です。そんな彼が作ったルールが魔界では、絶対に破ってはいけない法律となります。この法律を破った場合、強者も弱者も関係なく罪に問われます。魔界王が、魔界では誰よりも強い者ですからね」

「魔界王が法律を作るんだ」

強さが何よりも大事な世界か。

「はい。そうです」

「なるほど。魔界王に就く者によって、魔界は大きく変わるという事か。ギュア魔神が魔界王にならなくて良かったよな」

彼が魔界王になっていたら、魔族達にとって最悪な世界になっていただろう。

「ギュア魔神が、魔界王になる事は絶対に無かったと思います」

「そうなのか? でも魔界王になるために彼は動いていたよな?」

それなりに力も強いと聞いたんだけど。

「確かにギュア魔神は、魔界王になる為に力を求めていましたが、今回の騒動で分かった事があるんです」

分かった事?

「魔界王には、弱者から多く支持を集めないと就けないようです。彼等からの支持が、魔神に強大な力を与える事が分かったんです」

「そんなに強大な力なのか?」

「はい。魔族からの支持がオウ魔神に集中するように動きましたが、ある一定数を超えた辺りからオウ魔神が纏う力が、一気に跳ね上がりました。そのお陰で魔神達が忠誠を誓ったんです」

そんな事があったんだ。

「魔族達の支持を集めるには、彼等を虐げていては集まりません。つまり、弱者にも手を差し伸べる者が自然と魔界王に選ばれるようです」

「それだとギュア魔神もドルハ魔神も、魔界王にはなれなかったんだな」

「はい、その通りです。魔族達の支持で強大な力を得られるという事は、ボルチャスリ魔神が魔界王の時には気付かなかったみたいです」

「どうしてなんだ?」

ボルが気付いていたら、ギュア魔神のような魔神は生まれなかったのに。

「強大な力を得るには、魔族全体の70%の支持が必要だからです」

「70%!」

オウ魔神は、魔族からの支持をそんなに集めたのか?

凄いな。

「ただ、それ以下の支持でも、ある程度の力が得られるみたいです」

ある程度の力では、魔神達からの忠誠は得られなかったかもしれないな。

「ちなみに、主への支持は全国民の93%です」

「んっ?」

俺の支持?

「………………93%?」

「はい」

そんなに支持が集まるような事をしたかな?

していないよな?

「さすが主です」

……絶対に、ゴーレム達が何かしたな。

「それより主、また力が増えましたか?」

んっ?

「それ、リーダーにも言われたんだけど。やっぱり気付いたか?」

何もしていないのに、最近徐々に力が増えているんだよな。

まぁそのお陰で、前よりも純度の高い魔神力と闇の魔力を魔石に籠められているからいいけど。

「はい。それにしても主の力は、増えても気持ちがいいです」

仲間達も同じ事を言ってくれているんだよな。

増えた原因が分からないからちょっと不安だったけど、特に気にする事も無いか。

―魔界に住むある魔族視点―

「お父さん、今日もお仕事?」

息子の言葉に、頭を撫でながら頷く。

「そっか。帰って来たら遊んでくれる?」

「あぁ、もちろんだ」

魔界は、ここ1ヵ月ほどで大きく変わった。

1つは、新しい魔界王が誕生した事。

もう1つは、新しい法律が出来た事。

なにより、今の魔界王に全ての魔神達が忠誠を誓った事は、前の魔界王の時には無かった事だ。

それも全て、我々を守ってくれた結界のお陰だな。

「今日も、気持ちがいいね」

「そうだね。この結界は、魔界王と親しい呪界王が施してくれているんだよ」

「呪界王。凄い人だって、皆が言ってるよ」

「うん。2柱の偉大な王に感謝しようね」

「分かった。あっ! あのね。魔界王と呪界王の姿を描いた物を持っている人がいたよ。お父さんも手に入らない? 見てみたいんだ」

「偉大な2柱の姿か。そんな物があるなら、私も欲しいな」

親蜘蛛さんに、聞いてみようかな。

手に入ったら、壁に掛けて毎日お礼を言わないと。