軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

56.オウ魔神に会える!

地下神殿から地下4階に移動する。

目の前に広がるのは、青々とした葉が風に揺れている風景。

やはり力が不足していたようで、魔石に籠めた力を常時解放したらたった1日で成長を始めた。

魔石の強化も期待できるため、半年ほどでなくなる量の力を籠めた魔石の数は約500個。

強化の方も成功して欲しい。

「主~。あっち、凄く成長しているよ」

妖精の指す方を見ると、1本だけ茎の伸び具合が他とは違った。

多くは葉が増え始めた程度なのに、なぜか1本だけ飛び出している。

しかも、遠目からでも分かるぐらいその茎が異様に太い。

そして茎の先端は丸くなっている。

あの部分が、花だろうか?

というか、この植物は花だったんだな。

近くまで寄ってみて気付いたが、茎の太さも異様だが葉も他よりはるかに大きかった。

そっと手を伸ばして比較して見る。

「俺の手より、2倍の大きさはありそうだな。茎は……直径2㎝はあるのか?」

周りを見る。

ここまで大きな葉をつけている物は、他にはない。

この1本だけが、異常なんだろうか?

それとも、これが正しい成長なんだろうか?

「……見守るしかないか」

誰も知らない植物なので、異常なのか正常なのかの判断も出来ない。

まぁ、いずれ分かるだろう。

「頑張って綺麗な花を咲かせろよ」

指先で、茎の先端にある丸い物を突く。

「あっ、大きさが全く違うけど、チューリップみたいな成長の仕方だな」

チューリップも芽が出て葉がある程度成長すると花を付けた茎がぐっと伸びる。

そして花が咲くんだったよな。

小学生の時に、妹と一緒に育てたから覚えている。

他の花には自信が無いけど、チューリップは……自信は無いけど大丈夫だと思う。

ふわりふわり。

「んっ?」

目の前で揺れる、たぶん花の蕾を見ながら首を傾げる。

今、優しい香りがしたような気がするけど……まだ花は咲いていないから違うよな?

そっと蕾に鼻を近付けて、匂いをかいでみる。

……気のせいだったのかな?

「主~、どうしたの~」

「なんでもないよ。今日も管理、ありがとう」

「まかせて~」

妖精には、魔石の状態を見てもらっている。

途中で力が足りなくなると、また枯れてしまうかもしれないからだ。

「また、明日来るな」

「うん。しっかり管理しておくね」

手を振って、妖精と別れ家に戻る。

「時間はまだ大丈夫だよな」

今日はこれからボルチャスリと会う事になっている。

彼の体調は、ここに来た当初よりかなり改善された。

でも、まだ不調を訴える日がある。

そのため、魔神の研究をしたことがあるオウ魔神に診てもらう事になったのだ。

とうとうオウ魔神に直接会えるのかと、ちょっとワクワクしている。

呪いの事ではかなりお世話になったので、魔道具を通してではなく会ってお礼が言いたかったのだ。

サブリーダーの話を聞く限り、オウ魔神は魔界に住んでいるのに理性的らしい。

「リーダー。待たせたな」

「いえ、では行きましょう」

ボルチャスリのいる洞窟前に、転移魔法を展開する。

すぐに目の前に、黒い枠が現れその中に見た事がある風景が見えた。

「上手く、繋がったな。行こうか」

転移魔法で出来た黒い枠を通ると、ボルチャスリのいる洞窟前に出た。

転移したい場所を鮮明に思い出すと、希望した場所により近付けるみたいだ。

「主、おはよう」

オアジュ魔神の声に、手を上げる。

「おはよう。こっちの森に問題は無いか?」

新しい大地に出来た森には、比較的強い魔物が多い。

といっても、子供達でも倒せる程度の魔物らしいが。

「あぁ、大丈夫だ。新しい魔物の姿は、今のところ見つかっていない」

「それは良かった」

しかも新しい大地の魔物は、変種というか進化というか、している。

なので、監視を強めている。

「あぁただ、ナインから新しい植物が見つかったと報告があったな」

ナインは、農業隊の1体で新しい大地の調査に当たっている子だな。

まだ報告がきていないという事は、調査中なのだろう。

「分かった。見に行ったのか?」

「いや、ナインから毒を吐く植物らしく近付かない方がいいと言われたから、見に行っていないんだ」

毒を吐く?

それは、初めての植物だな。

「そうなんだ」

ナインはゴーレムだから毒の影響を受ける事はないよな。

結界もあるし。

「あっ、来たみたいですよ」

リーダーの言葉に、空中を見る。

青空が見える空の一部が、ぐにゃりと曲がると丸い空間が開く。

そしてそこから、複数の人物が見えた。

「あれ? オウ魔神だけでは無かったのか?」

「そのはずですが……誰でしょうか?」

リーダーが少し警戒した様子で、俺の前に出る。

オアジュ魔神も、さっきまでとは雰囲気が変わった。

「主、すみません。オウ魔神のところに来ていたゴルア魔神と彼の腹心、カチュラ魔神とマルアキス魔神が一緒です」

サブリーダーの言葉に、少しだけ緊張が解かれる。

見えた4柱の魔神達。

なぜか、4柱が俺を見て驚いた表情をしている。

それに首を傾げる。

魔神4柱とサブリーダーが地面に降りると、リーダーがため息を吐いた。

「報告が無かったようですが?」

リーダーの不服そうな声に、サブリーダーがちょっと頭を下げる。

「申し訳ありません。移動を始める直前に、家に押しかけて来たんです」

押しかけて?

それは穏やかな話ではないと思うけど、大丈夫なのか?

「あ?」

リーダーの雰囲気が、サブリーダーの話で一気に悪くなる。

というか、隣にいるリーダーの力が一気に膨れ上がったのが分かった。

魔神達も気付いたのだろう、なぜかちょっと引いている。

「リーダー。大丈夫だ。落ち着け」

とりあえず、話を聞かないと先に進まない。

サブリーダーが、危険な魔神を連れて来るとは思わないし。

そもそも、この世界に害する者は入れない結界を張っている。

全く結界が反応していないので、大丈夫なのだろう。

「…………分かりました」

もの凄く不服そうな声で言われてしまった。

それに苦笑しながら、ポンとリーダーの頭を撫でる。

「サブリーダーの判断を信じよう」

「はい」

がらりと変わったリーダーの態度に、サブリーダーから呆れた雰囲気が漂ってくる。

こらっ、落ち着いたんだから煽らない。

「えっと、こちらがオウ魔神です」

長い髪と細い目が特徴の男性がオウ魔神。

「どうぞ、よろしくお願いいたします」

なぜか凄く丁寧な挨拶をされた。

しかも、なぜかちょっと……んっ?

怯えているのか?

「あぁ、宜しく。普通に話してくれていいから」

俺の言葉に、少し考えてから頷くオウ魔神。

いや、本当にどうしたんだ?

「初めまして、魔神ゴルアといいます。隣にいるのはカチュラ魔神。その隣がマルアキス魔神です」

頭を深く下げるゴルア魔神。

だからどうして、そんな丁寧なんだ?

それに、カチュラ魔神とマルアキス魔神は顔色が悪くなっていくんだが。

「あぁ、宜しく。2柱も……大丈夫か?」

「「はい」」

凄く緊張されてしまった。

「主。少し力を抑えてもらっていいですか?」

「えっ?」

サブリーダーの言葉に、首を傾げる。

力を抑える?

地下神殿の地下1階にある魔石に力を注いだ時に、力は解放した。

でも、今は別に解放していない。

いつも通りなんだけど……抑える?

「あぁ、そうか。俺は慣れているから思わないが、確かにその力を初めて目の前にしたら怖いだろうな」

えっ、俺の力って怖いの?

守るための力なのに?