軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

50.来た!

オアジュ魔神の家の近くに、魔界王が住む洞窟を作った。

周りに手頃な洞窟が無かったから一から作ったのだが、アリ達の意気込みが凄かった。

正直、その勢いにちょっと引いた。

シュリに聞けば「新しい森の地下は、許可が下りないと何も作れないんだ。今回作った洞窟は大きさと場所以外は自由に作ってよかったから、ついつい力が入ってしまったんだろう」と説明してくれた。

なぜ許可制なのかは、シュリも首を傾げていた。

リーダーに聞けば、自由にさせるとすぐに地下の全てが使われ、必要な時に場所がないかららしい。

まぁ、その判断は正しかったのかな。

今回、魔界王が住む洞窟を必要な場所に作れたのだから。

「それにしても、凄いな」

最後の確認で洞窟を見に来たのだが、見事に洞窟が部屋に変わった。

というか、洞窟と言われても分からないレベルにまでリフォームされていた。

まぁそれは別に問題ないのだが、気になる物がある。

それはやたらとデカいベッドだ。

縦にも横にもデカい。

こんな大きなベッドが必要になるんだろうか?

「主のゴーレム達は、相変わらず凄いな」

あとから来たオアジュ魔神が、部屋を見回して感心したように呟く。

俺のゴーレムか。

確かに作ったのは俺だけど、今のゴーレム達を見て自信をもって「俺の」とは言えない。

作ってから、彼等は自由に進化しちゃったからな。

「主。ここは魔神力に満ちているんだよな?」

オアジュ魔神を見て頷く。

環境を変えるのは体に負担が掛かるだろうという事で、この洞窟は魔神力と闇の魔力で満たしてある。

そして外から他の力が入ってこないように、結界を張った。

「あぁ、魔界と同じ環境になるようにした。サブリーダーに確認をしてもらって問題ないと言われたが、何か気になる事でもあるのか?」

サブリーダーだけでなく、魔界から帰って来たアリ達にも確認を取った。

皆、問題なしと判断してくれたが、オアジュ魔神から見ると駄目なんだろうか?

「いや、確かに俺の知っている魔神力と闇の魔力しか感じないんだが……なんと言えばいいのかな? えっと、ふんわりした感じ? いや、ふわふわ? ……どう説明したらいいかな?」

オアジュ魔神が説明しにくそうに、俺を見る。

それに俺は、苦笑してしまう。

「言いたい事は分かった。どちらの力も、以前より優しい物に変化した感じだろう?」

この世界の魔神力と闇の魔力は、元々魔界にある力より優しかった。

それが今は、もっと優しい物に変化してしまった。

その原因は俺。

俺が神となったせいで、俺の意志がかなり強く影響したようだ。

「そう、それだ! 確かに俺の知っている魔神力だし、闇の魔力なんだよ。ここの世界ではこの2つの力は優しかったけど、今はもっと……なんというか優しく包み込まれるような印象を受けるんだ」

「俺が魔神力と闇の魔力を、攻撃や負の感情を煽る力だと全く思っていないせいらしい」

リーダーが、力の変化に感動していた。

「まさか、ここまで魔神力と闇の魔力を変化させるとは」と。

力が変化した事で、魔界王に悪影響がある可能性を考えて不安に思ったが、サブリーダー曰く「いい変化」なので大丈夫らしい。

まぁ、ちょっと色々とあったけど、無事に魔界王を迎える準備は整った。

「魔界王えっと……」

名前を聞いたけど、覚えにくかったんだよな。

ボル……なんだっけ?

チュイス?

違うな、えっと……ボルチャスリだったかな?

「ボル魔界王は、いつ頃来るんだ?」

間違いそうだから、愛称を勝手につけさせてもらおう。

あれ?

オアジュ魔神が、驚いているな。

やっぱり勝手に愛称呼びは駄目だったかな?

「何?」

「いや、まぁいいのか?」

いや、俺に聞かれても知らないけど。

まぁ、本人が嫌そうならその時に止めたらいい。

「あっ、来たようだ」

オアジュ魔神の言葉に、洞窟から出る。

「きたぞ~!」

「「「きったぞ~」」」

ケルベロス、テフォルテの声が空から届く。

上空に視線を向けると、テフォルテの後ろに彼女の子、アルト、カルト、キルトの姿も見えた。

「お帰り。テフォルテ、ありがとう。面倒事を頼んで悪かったな」

「気にするな。主の頼み事なら、率先してやるぞ」

テフォルテの言葉にお礼を言って、彼女の背に乗っている存在に目を向ける。

なるほど。

あれほどデカいベッドを用意した理由が分かった。

「大きくないか?」

今まで出会った中で一番の大きさだ。

「身長が、3m70㎝ほどありますので」

魔界王と共に帰って来たサブリーダーの言葉に、「うわ~」と声が出てしまう。

デカいと思ったら3m以上もあるのか。

これだけ大きな人物は初めて見たけど、凄い迫力だ。

「テフォルテ、すぐに洞窟に入ってくれ」

地面に降り立ったテフォルテに、洞窟を指す。

移動で疲れただろうから、すぐにベッドに寝かせた方がいいだろう。

「わかった。あと少しです」

「あぁ」

小さな声だが、魔界王の声が聞こえた。

どうやら、今日は起きているようだ。

洞窟に入って行くテフォルテ達を見送ると、サブリーダーに視線を向ける。

「ボル魔界王は、起きているのか?」

俺が魔界王を愛称呼びしたからなのか、ちょっと動きを止めたサブリーダー。

でも、すぐに頷いた。

「はい。ボル魔界王は、こちらに来る少し前に目を覚ましました」

「そうか。サブリーダー、お疲れ様。大変だっただろう?」

魔界にいる魔神達に気付かれないように動くのは、大変だったはずだ。

「大丈夫です。魔神達や魔族達の動きは読みやすいので」

「そうなのか? 頼もしいな」

サブリーダーの頭を撫でると、後ろから「ギョァッ」と言うような、変な音が聞こえた。

振り返るとリーダーがいた。

まぁ、いつも俺の傍にいてくれるので、分かっていたけど。

「大丈夫か?」

今のなんとも言えない音の発生源は、リーダーだよな?

「なんでもありません」

ジッとリーダーを見る。

それに首を傾げて見つめ返すリーダー。

「いや、なんでもないならいいんだ」

洞窟に入ると、蜘蛛達の糸に支えられながらベッドに寝かされているボル魔界王の姿が見えた。

その姿を見て、体にほとんど力が入っていないことが分かった。

「ボル魔界王の状態は?」

「オウ魔神に見てもらいました。力を無理やり奪われた事で、体に力が入らないようです。ですが、少しずつ元に戻っているらしいので、こちらの世界でゆっくり休めば起き上がれるようになると思います」

「そうか。それならゆっくり回復してもらうのが良いな」

これまで魔界を支えてきた魔神だ。

これからは彼自身の人生をゆっくり過ごせばいいと思う。

「そういえば、彼を支持している者達がいると聞いたけど、彼等に知らせたのか?」

「まだです。ドルハ魔神の屑野郎が、配下にいる魔神達を使って探し始めたので、情報が漏れないように知らせるのを後にしました。魔界王の様子を見て、2、3日中に知らせる予定です」

サブリーダーって、本気でドルハ魔神が嫌いだよな。

「分かった。知らせる相手が、話の分かる存在だったらいいんだけどな」

知らせる前にこっちの世界に連れて来たから、拉致したとか言われないかな?

もし言われたりしたら、面倒な事になりそうだな。

「知らせる相手はどんな人物なんだ?」

「ゴルア魔神と言って、理性的な人物だとオウ魔神が言っていました。魔界王の意志を継ぐ者を支持するとも表明しています」

「ゴルア魔神が、魔界の王になるつもりは無いのか?」

「どうやら、力に問題があるようです」

力?

それなら、仕方ないか。

王になったら、暴れ回っている魔神達を押さえつけないと駄目だからな。

「誰か、魔界を任せられる者がいたらいいのにな」

魔界を落ち着かせるには、力が強い指導者が必要だよな。