軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

91.繋がり。

ん?

……あれ?

「もしかして、寝ていたのか?」

起き上がって首を傾げる。

おかしいな。

急に眠気に襲われたような気がする。

胸に手を当てる。

力に何かあったのかな?

毎日限界まで使っているから、影響が出始めたのかもしれない。

「異変が無いか、確かめるしかないよな」

深呼吸で息を整え、体内の力に意識を向ける。

いつも通り、空っぽだった力は満タンになっているのを感じる。

魔力や神力に似た力、それに魔神力、特に違和感は無いな。

「問題はなさそうだけどな」

ん~。

あれ?

何だろう?

俺の力が何かに流れているような気がする。

いや、いつも垂れ流しだけど、それとは別で。

……間違いない、どこかに俺の力が流れているみたいだ。

行き先は何処だろう?

流れている自分の力に意識を乗せる。

流れに身を任せそのままゆっくりゆっくり移動していけば……。

「えっ?」

流れの先が、まさか呪いの空間だとは思わなかったな。

「もしかして、行き先はあの声の人かな」

いや、人なのか?

……変な想像しそうだから、人だと思っておこう。

うん、あの声は人だ。

呪われた人?

あっ、真っ黒な人を想像してしまった。

慌てて首を横に振る。

「今のは、無し!」

なんだろう。

想像しただけなのに、凄く恐ろしい感じがした。

黒い人は、駄目だな。

一つ目の黒バージョンなら、可愛らしくなりそうだけど。

「いや、違うだろう。俺は何をイメージしているんだ。そうだ、俺の力の行き先だ」

地面を見る。

今もゆっくりとだが、俺の力が流れ込んでいるのを感じる。

昨日までは、こんな事は無かった。

これは……どうしたら、いいんだろう?

俺の力を得て、あの空間に何か問題が起こるだろうか?

いや、起こらないか。

だって、俺の力なんてあの空間の中では微々たるものだ。

そう、ほんの些細な力だ。

つまり、影響は少ないというかほとんど無いだろう。

「なるほど、気にする必要は無いか」

たぶん。

それに、欲しいと言うならあげたいし。

声の人が俺の力を求めている理由は分からないけど、少しでも癒されて欲しいな。

「俺の力。この先にいる者をしっかり癒してくれよ。俺の力だったら出来るはずだ!」

……たぶん。

地面を叩こうとして止まる。

叩いたら、あの空間に繋がるよな。

うん、叩くのは駄目だな。

「よしっ」

力に異変は無いし、欲しいと言っている力もそれほど多くないし。

問題なし。

眠たかった理由は……寝不足という事にしておこう。

昨日の睡眠時間が10時間近かった事は、忘れておこう。

人は忘れる生き物だから。

「あっ、俺は人じゃないんだった」

すっかり忘れていた。

なんだ、人の時も今も忘れっぽいのは一緒か。

「どんな存在になっても、変わらないもんだな」

まぁ、元が俺だからな。

変わりようが無いか。

神としての威厳とか求められたら、逃げ出しそう。

でも、アイオン神を見ている限り、そういうのは必要ないと思うんだよな。

「戻ろう」

地下神殿を思い出すと体がふわっと浮く。

「お帰り! 聞いて~ 変なの~」

「ひっ」

足に地面の感触がした瞬間、妖精の大声が聞こえてきた。

予想していなかった事に、体がビクリと震え小さな悲鳴を上げてしまった。

「あのね。箱の中の花がおかしいの!」

ちょっと待て。

とりあえず落ち着かせてくれ。

妖精の顔を手で抑えて、深呼吸を繰り返す。

「話を!」

お願い。

もう少しだけ、待って。

「落ち着いてくれ」

興奮している妖精の頭を撫でると、少し落ち着いたようだ。

「よし、もう大丈夫。どうしたんだ?」

妖精を見ると、キョトンと不思議そうな表情で俺を見ていた。

なんだ?

「どうしたんだ?」

「ん~、誰だろう?」

はっ?

誰?

「主様から、誰かの気配を感じる。しかも負の気配」

負の気配?

それは、核周辺の呪いに触れてきたからじゃないか?

いや、違うか。

それは毎日の事なんだから今指摘するのはおかしいし、妖精は「誰か」と言ったな。

「おかしいな。負の気配なのに、嫌な感じを受けないなんて」

妖精の言葉に首を傾げる。

「嫌な感じはしないんだな」

「うん。だから主様に影響はないよ」

それは良かった。

いや、良くないな。

俺から誰かの負の気配を感じるんだよな。

負の気配は妖精の言葉から、普通は嫌な物を感じると。

でも、俺から感じる負の気配には嫌な物を感じないらしい。

「それって負の気配じゃ、ないんじゃないのか?」

俺の神力に似ている力のように、似ているだけとか。

「それは無いよ。主様から確実に負の気配を感じる」

そうなんだ。

でも昨日と今日で、違う事なんて。

あっ、今日は、今もあの空間と繋がっているんだった。

それが原因なんじゃ。

「原因だけど、なんとなく分かった。危険はないから大丈夫だ」

「そうなの?」

「あぁ」

「主様が言うならいいけど」

妖精は不思議そうにしながらも、分かってくれたようだ。

「あっ、おかしな事が起こったの!」

そう言えば、そう言っていたな。

「何が起きたんだ?」

「地下4階にある黒い箱の中の花。あれが、おかしいの」

えっ?

それって死者の花が入っている棺桶みたいな箱の事だよな。

花がおかしい?

「負の感情が溢れて、花に変化があったのか?」

「違うよ! 箱から負の感情は溢れてない。ただ、中にある花が変わったんだ!」

花が変わった……もしかして形が変わったという事か?

地下4階に行くと、棺桶の1つが光っている事に気付いた。

傍に寄って、中を確認する。

「えっ」

死者の花は、白く輝く石を細長く赤い花弁が守るように包み込んでいる姿だったはず。

それなのに、箱の中の花は、白く輝く石を守るように細長い花弁が包み込んではいるが、花弁の色が違った。

白に、青、黄色に、緑まである。

「前の赤い花弁の花もあるんだな」

変わったのは、花弁の形ではなく色の方だったか。

でも、どうして色がこんなに増えたんだ?

「主様、箱に触って大丈夫なの?」

えっ、箱に触って?

手元を見る。

箱の中の花を見ようとして、両手が箱に触れていた。

「大丈夫。箱の中を調べようとした時は、体を乗っ取られそうになったけど、浄化をする時は問題なかっただろう?」

「そうだったね」

それにしても、呪いが溢れてなくて良かった。

まぁ、何が起きているのか分からないから、完全には安心できないけど。

箱から手を離そうとして、違和感に気付く。

「あれ?」

前に浄化をした時、箱に触れた指先は痛みを訴えた。

浄化が終って見た指先に傷は無かったけど、じんじんした痛みがあったんだよな。

「痛みが無い」

箱に手をぐっと押し当てて見る。

箱の冷たさを感じるが、それだけ。

何が起きているんだろう?