軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

27.魔力の濁り

対策を考える前に必要な事があるよな。

それは世界の実で作られた、この世界の事を知る事。

地球とは全く異なる作られ方みたいだし。

まぁ、地球と同じ作りですと言われたところで、詳しく知らないから対策はとれないんだけど。

要するに、まずはこの世界がどんな形なのか知らないと駄目だろうな。

「アイオン神、この世界は神力で作られている世界であっているのか?」

世界の実に神力を注ぐみたいなことを言っていたよな。

「世界の実には純度の高い魔力が詰め込まれている、そこに我々の神力を混ぜる事で核を作るんだ」

かく?

……核でいいのかな?

「神力と魔力が混ざり合って綺麗な丸い核になる。そこからその世界に必要な物が生み出されるんだ」

アイオン神の説明に首を傾げる。

核ができるまでは分かった。

そこから世界を生み出す?

希望すれば、ポンと生まれるのか?

「……よく分からない」

「えっと……核が生まれると大地が生まれる。ここまではどの世界でも同じなので、ここまでが世界の実に埋め込まれている初期設定だ」

そんな設定があるんだ。

「核の上に大地があるのか?」

「いや、通常は核の周辺は空間が広がっている。そして世界の大きさを決めると大地が誕生する」

世界の大きさを自由に決められるという事か。

「核はどれくらいの大きさなんだ?」

「直径100mの円だ」

直径100mの円?

思ったより小さい、で核の周辺は空洞。

庭を見る。

あの下に空洞が?

まぁ、掘ってもいいように大地はかなりの厚みがあるんだろうけど。

何となく不思議だな。

「地球の場合も核の周辺は空洞なのか?」

「あぁ、核の周辺は空洞だな。簡単に説明すると、核を守る壁がありその上にマグマがある。地球の場合は、生まれた1年目から大地を上へ上へ重ねていったから、無限に層が積み重なって今の大地が出来ている。この世界とは全く異なる作りだな」

大地の層なんだ。

「あれ? プレートはどこにあるんだ?」

「あぁ、それは……核に神力を詰め込み過ぎてマグマを熱くさせ過ぎたんだ」

「はっ? 詰め込み過ぎ?」

「そのせいで接している地層が溶けてしまって、慌ててマグマと地層の隙間に、熱に強い壁を入れて落ち着かせたんだが、マグマの熱の逃げ場が無くなってしまって。気づいた時には壁にヒビが入っていて1枚の壁が何枚かの板になってマグマの上を移動してた」

してたって……。

「壁が割れた反動で動くはずのないマグマが動き出してさらに温度上昇、このままでは板になった壁の間から大量のマグマが上の大地に溢れ出すと部下に言われて、慌てて板を重なるように大きくして冷却装置をつけたんだ。地層に近いマグマを冷やす事が出来てほっとしていたら、地下のマグマの動きが止まっていなくて、板がまぁ、動いてしまって地震が……。しかもマグマが動いているせいで、核が誤作動を起こしてマグマを生み出すし、増えたマグマを外に出さないと内部から崩壊するし……。で、気付いたら今の噴火あり地震ありの地球になったんだ。あっ、プレート呼びは地球に住む者が付けた名前だからな。私はあれに名前を付けていない。元壁だった板だ」

何だか行き当たりばったりだな。

しかも冷却装置に、板に、核の誤作動。

「へぇ~。マグマの動きを止めたらよかったんじゃないのか?」

「それも考えたんだが、マグマを止める方法がとにかく面倒くさくて。ミスったら世界が消失してしまう事も分かったし……手が付けられなかった」

……地球も大変だな。

「この世界は地球とは異なると言ったよな? この世界の大地はどう生まれたんだ?」

俺の質問に少し考えるアイオン神。

「私が作った世界ではないから正しいとは限らないが、一気に大地を作ったのではないだろうか?」

一気に?

地球のように地層を重ねたわけではないという事か?

「見習いたちは、上級神になる事を急いでいたと聞いている。おそらく、力任せに大地を誕生させたはずだ」

それってこの世界にとって良くないのではないか?

無理やり作ったという事だよな?

「力任せに作った時にデメリットは無いのか?」

「ん~、何かあったような気もするが……悪い、覚えていない。そもそも世界の実は貴重な物なんだ。そんな無茶な使い方をする者がいると思っていないからな」

貴重な実から生まれた地球を、アイオン神も結構雑に扱っているような気がするが。

本人はそう思っていないんだろうな。

まぁ、地球は関係ないか。

この世界の事をもっと知る必要がありそうだな。

ロープにお願いしてもっと詳しく調べてもらう事は出来るかな?

そう言えば、この世界の核と大地の間はただの空洞なのか?

「この世界の核の周辺は何もない空洞なのか?」

「空洞には魔力が詰まっているはずだ。この世界を動かすための原動力だから、それに間違いは無いと思うが」

「ロープ、この世界の核の周辺は調べる事が出来たかな?」

まだこの辺にいるかな?

「もちろん、頑張ったよ!」

良かった、いてくれた。

「ありがとう。空洞には何があった?」

「濁った魔力だね」

「濁った? いや、世界を動かす魔力なら純度の高い魔力で濁りは無いはずだ」

アイオン神が焦った声を出す。

濁っていたら駄目なのか?

「えっ? ……濁っていたよ。それに濁っているから純度もかなり低いし」

「どういう事だ?」

アイオン神が頭を抱えて考え出す。

どうも、ありえない事が起きているらしい。

濁りか……濾したら綺麗になるかな?

そういう問題では、ないのかな?

それにしてもこの世界の空洞には魔力があるのか。

本当に魔力が大切な世界なんだな。

あれ?

ロープがこの世界が壊れかけていたと言っていたが、どう壊れかけていたんだろう?

あまりの衝撃的な言葉で、詳しく訊くのを忘れていた。

「ロープ、壊れかけているとは実際にどうなっていたんだ?」

「核の周辺の魔力が外に漏れないように壁があるんだけど、それにヒビが入っていたんだ」

「ヒビ?」

「そう。その影響なんだと思うんだけど、見つけたヒビに近い大地が変形していた。大地の一部分が突き出したり、凹んだり」

ヒビで大地に影響が出たのか。

「大地の変形が地震の原因?」

「世界の実については、よく分からないんだ。極秘扱いの実だし。でも、おそらくそうだと思う」

ロープもはっきり答えが分からないようだ。

「なるほど」

「見つけたヒビは修繕しておいたから」

「ありがとう」

壁のヒビの原因が、強い者が集まり過ぎた事によるものならまたヒビは入るな。

「ロープ。魔力の濁りだがどんな色をしていた?」

「紫の薄汚れた感じだったけど」

アイオン神の質問に不思議そうに答えるロープ。

アイオン神の眉間に深い皺が寄る。

「ちょっと戻ってマニュアルを探す。それと世界の実について詳しい者がいないか調べる」

アイオン神が立ち上がって、庭に向かって歩き出す。

「アイオン神、魔力に濁りがあったらどうなるんだ?」

これだけは訊いておかないと。

「分からない。ただ、魔力が濁っているのはおかしい。特に核の周りの魔力が濁るなんて」

そうとうありえない事が起きているようだ。

ぶつぶつ言いながら、すっと消えるアイオン神。

「かなり気になるみたいだな。挨拶も無かった」

飛びトカゲの言葉に頷く。

「そうみたいだな。魔力の濁りか……」

飛びトカゲの魔力を探る。

綺麗な魔力を感じる事が出来る。

力も強い。

確かに濁りなんて無いな。

コアの魔力も、ふわふわの魔力もどれも澄んでいる。

「マニュアルとアイオン神が詳しい神を見つけるのを待つしかないのかな?」

俺に出来る事は何だろうか?