軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

17.エントール国第3騎士団団長4

-エントール国 第3騎士団 団長視点-

何がよかったのかは不明だが、様はいらないと言われた。

本当に何がよかったんだ?

それはキミールたちも分からないのか、首を傾げている。

しかも、

「これから3人とは親しく付き合いたい」

と、まさかの言葉を頂いた。

これは、俺たちの国を信じてくれたという事だろうか?

いや、まだ気は早いな。

誤解は解けてはいないのだから。

あれ?

違うか、俺たちを信じてくれたという事でいいのか?

「えっと、ダダビス、相談があるんだがいいか?」

相談?

もちろん大丈夫というか、なんでも相談して欲しい。

主様が満足する答えを返せるかどうか不安だが、出来る事は全てやる!

「時間に余裕のある教師を知らないだろうか?」

「はっ? 教師?」

しまった。

思いがけない言葉を聞いて、反射的に答えてしまった。

「話し方も特に気にしないから」

そう言ってもらえるのは嬉しいが……どこまで砕けて話したらいいんだ?

ぼろが出そうで怖い。

あ~、違う。

今はこの事を悩む時じゃないな。

えっと教師を探しているんだよな。

理由を訊いてもいいだろうか?

……訊いてみるしかないな。

「あぁ、俺の下にいる子供たちがこの世界で生きていけるようにしたいんだ」

えっ!

主様には子供がいらっしゃるのか!

という事は奥様がいらっしゃる?

あっ、だから森へ攻撃する可能性を探っているのか!

あれ?

違うの?

預かったのか、そうか。

主様に子を預ける方がいるのか……森の神様に子供を預ける存在って?

同じ神様か?

「分かりました。教師ですね。今すぐは無理ですが、探します」

絶対に探して見せる。

王にお願いすれば、人となりが優れた人物を紹介してくれるだろう。

お金?

あっ、教師を雇うのに換金しようとしていたのか。

エントール国が雇ってもいいんだが……。

恩を売れるところで売りたいが……拒否されるような気がするな。

というか、これを言うと関係が崩れるような……止めておこう。

「1人専門で雇うとなると1ヵ月5万フィールですね」

この金額を出せば、特殊な教師は無理だが、通常の優れた教師を雇う事が出来るだろう。

えっ、住み込み?

「あぁ、俺の家に来てもらいたいんだが、無理だろうか?」

主様の家って事は、森の中にある家って事だよな。

住み込み……羨ましい。

あっ、金額だ。

「主様、あっ、主の家に住み込み……えっと」

あれ?

この場合はどれぐらいになるんだ?

やばい、分からない。

「コア達や水……龍たちもいるから、安心してきて欲しい」

あっ、そうか!

主様だけじゃないんだ。

ちょっと待て、という事は森の王が勢ぞろい?

まさかと思うが、森の王たちの存在を感じながら勉強を教えるのか?

羨ましいが、ちょっと……。

ちらりと主様の傍にいる森の王、フェンリルを見る。

すっと細められる目。

ははははっ。

「安心……そうですね。はい」

教師の選定には、強固な精神力が必要かもしれない。

いや、絶対に必要だな。

あっ、どんな勉強を望んでいるのか聞いていないな。

「えっと、どんな教師を探しているのでしょう」

常識と読み書きと計算か。

この3つを教えている教師は多いから、きっと根性がある教師もいるだろう。

性別や年齢はとくに希望無いみたいだしな。

……いるよな?

探す期間は30日か。

随分余裕を持たせてくれた。

これは絶対に、いい教師を紹介しなければならないな。

金額は1ヵ月25万フィール。

えっ?

「25万フィールですか!?」

相場の5倍。

確かに住み込みは珍しいが、そんなに払う者はいないぞ。

俺が先ほど言った金額が間違っていたのか?

いや、ちゃんと5万フィールと言ったよな?

うん、間違いなく5万フィールと言った。

主様に嘘は言ってない。

「じゃあ、教師の件はお願いするな」

「任せてください。きっといい教師を紹介いたします」

ん?

主様がちょっと引いたけど、力み過ぎたか?

「次は30日後だな。……この村に来ればいいか?」

この村で問題は……あるな。

この村は武器庫もあるし、少し離れたところには騎士団の訓練場所がある。

もし警戒されてしまったら。

いや、既に武器庫は見られている。

後ろめたいところは無いと、この村に来てもらった方がいいかな?

「そうですね。この村でお待ちしています」

問題があれば、王が対処するだろう。

30日の猶予があるんだから。

「分かった。悪いな面倒くさい事をお願いして」

「いえ、問題ありません」

グル。

不意に聞こえた森の王の声に体がびくりとする。

そっとフェンリルを見るが、こちらを向いてはいない。

「じゃ、また」

主様がさっとフェンリルに乗ると、フェンリルがざっと地面をけって空中に浮かび上がる。

そのままどんどん上空に上がり、森へと帰っていく。

ふぅ、よかった~。

何とか乗り切ったぞ。

「あれ?」

後ろからキミールの声が聞こえる。

視線を向けると、眉間に皴を寄せて考え込んでいる。

「どうしたんだ?」

「団長。この村には結界があるんです。主様は結界を……通り過ぎましたよね?」

そうだ、この村は結界に覆われていたな。

なのに、普通に空を飛んで……上空を見る。

……結界を破ったのか?

いや、もしそうなら騒ぎになっているはずだ。

周りを見るが、主様の事で騒いでいるが結界の事を口にする者はいない。

どうなっているんだ?

……ふぅ。

「後で、結界に問題が無いか確認してくれ。王都に戻るぞ」

後回しにすると問題になるかもしれないが、疲れた……。

何も考えたくない。

「はい」

飛ばせば1時間ほどで王都だが、ゆっくり帰ろう。

馬にまたがり、ゆっくり歩き出す。

「急ぎますか?」

カフィレットの言葉に首を横に振る。

俺の態度に、キミールとカフィレットが安堵の表情を見せた。

主様に会えたのは嬉しいが、急な事だったので精神的に疲れてしまった。

ずっと心が浮き立っていたからな。

途中、何を言ったのか朧げだ。

「ん?」

綱を握る手が震えている。

主様の前で無様な姿を見せまいと気を張っていたが、どうやら主様が帰った事で気が緩んだようだ。

「ははっ、手が震えてる」

「団長だけじゃないですよ。俺たちもです」

後ろを見ると、微かに震えている2人の姿。

「お前たちは、さっきから何度も震えていただろうが」

「仕方ないですって。森の神が目の前にいて、森の王に睨まれているんですよ? ダイアウルフだって怖いし!」

カフィレットが叫ぶ。

いつもなら煩いと文句を言うが、その元気も今は無いな。

「お疲れですね」

キミールの言葉に苦笑が浮かぶ。

そりゃ、疲れるだろう。

「こんなに気を張ったのは初めてだ」

「王様の前でもそうして下さい」

「無理」

キミールの大きなため息が聞こえる。

いや、だって王だよ。

無理難題を押し付けてくる。

尊敬はしているからいいじゃないか。

「王都に帰ったらすぐに王に謁見ですね。……どうして馬の脚が遅くなるんですか?」

「どうしてだろうな」

仕方ないだろう。

面倒くさいんだから。

「主様からのお願いもあるので、早く帰った方がいいと思いますが」

カフィレットの言葉に、お願いを思い出す。

「30日あるから、王がどうにかするだろう。それよりカフィレット、キミール。先に行って王に報告をしてくれてもいいんだぞ」

「いえ、団長を差し置いてそんな」

キミールがすぐに返事を返してくる。

後ろを見るとカフィレットも頷いている。

「気にするな。あとで行くし先にどうぞ」

「いえいえ。重要な話ですので団長が報告しないと駄目です」

「そうです」

2人の言葉にため息がでた。